近年は物件情報などをまとめているサイトが多く見られます。これらは市民の利便性を向上させる可能性がある一方で、誤った情報や差別的な情報が拡大される可能性があります。
ここでは、事故物件サイトの「大島てる」に書き込まれた事故物件情報の削除を例に解説します。
【事例】
AさんはB市内でマンションを所有し管理している人です。
ある日,事故物件サイト(大島てる)をみていたところ,Aさんのマンションについて「〇月〇日殺人事件が発生」と書き込まれているのを発見しました。
Aさんが,その日のニュースを確認したところ,やはり自身のマンションで殺人事件が起きたというニュースは無く,虚偽の情報であることが判明しました。そのため,大島てるに書かれている殺人事件の情報を削除することを考えるようになりました。
このような書き込みを削除することができるかについて解説していきます。
大島てるというのは,事故物件を掲載している不動産情報サイトです。このサイトは,誰でも事故物件情報を投稿できることから,業務妨害目的などで偽の事故物件情報が書き込まれることがごくたまにあります。特に,事故物件であるかどうかというのは,不動産の価格や賃貸価格に関わってきます。
削除する方法については,大きく,①大島てるのサイト運営者に削除依頼をする方法,②裁判所を通じて削除請求をする方法の2通りがあります。
(1)大島てるのサイト運営者に削除請求をする方法
大島てるのサイトに入り,投稿された事故物件情報のある不動産のマークをクリックします。
投稿ごとにコメントを打ち込めるようになっているので,そのマークをクリックして投稿のコメント欄に事実ではないことを入力します。
入力を完了させ,待っていると,誤った情報の投稿については,削除されます。
また,株式会社大島てるが運営会社となっていますので,送信防止措置依頼書を株式会社大島てるに送信することで,対応してもらうということも,もう一つの手段として考えられます。
幸い,株式会社大島てるは所在地の住所を明らかにしていますので,東京都にある株式会社大島てるの住所に宛て送信防止措置依頼書を送ることになります。
これらの手段を用いて,削除依頼をすることになります。
(2)裁判所を通じて削除請求をする方法
削除依頼を大島てるにしたにもかかわらず,情報が削除されない場合には,裁判所に投稿記事削除仮処分の申し立てを行い,削除させることになります。
大島てるの運営会社は株式会社大島てるが行っていますので,被申立人は株式会社大島てるを選択することになります。
このように被申立人を大島てるとしたうえで,大島てるにあるどのような情報から,どのように名誉権が侵害されたのか,人格権が侵害されたのか主張することになります。しかし,大島てるに書かれている情報はほとんどが,「殺人事件がありました」「自殺がありました」と投稿されるのみですので,人に関する情報が含まれておらず,人の名誉権を侵害するような内容がほとんどありません。そのため,「ここの大家は事故物件を放置する」など人に対する情報が含まれていない限り,裁判所を通じての削除が難しいという実態はあります。
仮に,大島てるに対する投稿から,人格権侵害があったと大まかに認められる場合には,簡易・迅速な手続によって投稿された記事の削除が認められます。
(3)結語
このように,大島てるに投稿された記事の削除を行うことができますので,偽の情報でお困りの場合には弁護士に相談されることをお勧めします。
偽情報にお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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