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犯収法改正で何が変わった?有償口座譲渡・不正送金の厳罰化を弁護士が解説

インターネットが発達し、銀行に行かずとも、インターネット上の操作で銀行の口座の管理や振込みなどもできるようになりました。
一方で、こうした口座が特殊詐欺に使われることも問題となっています。犯罪組織が通帳やキャッシュカードがなくても口座を集めたり、被害金を不正に送金してマネーロンダリングを行うことができてしまいます。
こうした事態を防ぐべく、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)の改正法が令和8年7月10日に施行されました。有償口座譲渡を重く処罰し、送金自体も犯罪とするなどの改正が行われました。
ここでは、犯収法の改正について解説します。
有償口座譲渡
犯収法
第二十八条 他人になりすまして第二条第二項第三十一号に掲げる特定事業者(以下この項及び第三十二条第四項第一号において「資金移動業者」という。)との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるもの(以下「為替取引カード等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3 業として前二項の罪に当たる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。
口座の譲受については、以前から罰則付きで規制されていました。
第1項は譲り受ける側、第2項は譲り渡す側を処罰します。いずれも前段の「他人になりすまして」よりも後段の「通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、」の場合が多く検挙されてきました。正当な理由もないのに有償で口座の譲渡を行えば、通常は不正な行為であることが明確だからです。
「有償」とは、実際に報酬を支払った場合はもちろん、お金を貸す場合や、報酬を支払う約束をしてまだ支払っていない場合も含まれます。
改正前は、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金又はその併科でした。これが、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科と大幅に引き上げられました(犯収法第26条第2項・第1項)。
譲受する側も譲渡する側も、業として行えば、さらに重い処罰が科されます(第3項。改正法では5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又はその併科)。
不正送金の処罰
犯収法
第三十二条 通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転することを目的として、人に、有償で特定役務利用財産移転行為をするように依頼した者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、当該目的で、有償で特定役務利用財産移転行為をするよう、広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、同様とする。
2 通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、他人の依頼を受けて、当該他人に前項前段の目的があることの情を知って、有償で特定役務利用財産移転行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、特定役務利用財産移転行為を引き受けることを示して、有償での特定役務利用財産移転行為の実施を自己に依頼するよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、同様とする。
3 業として第一項前段又は前項前段の罪に当たる行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 第一項及び第二項において「特定役務利用財産移転行為」とは、次に掲げる行為をいう。
一 預貯金契約等役務(次のイからホまでに掲げる特定事業者との間における当該イからホまでに定める契約に係る役務及び預貯金取扱事業者又は資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に係る役務をいう。次号及び第三号において同じ。)を利用して自己以外の者に財産を移転する行為
イ 預貯金取扱事業者 預貯金契約
ロ 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者 高額電子移転可能型前払式支払手段利用契約
ハ 電子決済手段等取引業者 電子決済手段等取引契約
ニ 電子決済等取扱業者等 電子決済等利用契約
ホ 暗号資産交換業者 暗号資産交換契約
二 預貯金契約等役務を利用して受け取った財産に相当する財産の全部又は一部を自己以外の者に移転する行為
三 預貯金契約等役務を利用して財産を受け取ることを約して、当該財産に相当する財産の全部又は一部を自己以外の者に移転する行為
通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転することを目的として、人に、有償で送金(「特定役務利用財産移転行為」犯収法第32条第4項)をするように依頼した者、広告その他これに類似する方法により人を誘引した者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金を科され、又は併科されます(犯収法第32条第1項)。
そして、通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、他人の依頼を受けて、この他人が自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転する目的があると知って、有償で送金した者も、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金を科され、又は併科されます(犯収法第32条第2項前段)。
このような送金をすることを引受けることを示して、送金を自分に依頼するよう人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、同様の刑を科されます(犯収法第32条第2項後段)。
これにより不正送金や、その勧誘を処罰します。
業としてこれらの行為をすれば、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金を科され、又は併科されます(犯収法第32条第3項)。
「正当な理由」とは、飲食会の幹事が代金を参加者から集めてお店に振込むような場合です。
まとめ
このように、特殊詐欺やマネーロンダリングを防ぐため、有償口座譲渡や不正送金を厳格に処罰するようになりました。
他人に依頼されて口座譲渡や送金をしてしまいお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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生成AIで作成した児童ポルノは違法?児童ポルノ法・ディープフェイク規制の最新動向を解説

X社の提供するサービスのGrokなど生成AIによる画像作成がより容易になってきました。一方で、児童ポルノなどのわいせつな画像を作成し拡散するといった問題も起きています。特に児童が被写体の場合、被害はより深刻です。ここでは、生成AIにより作成された児童ポルノについて解説します。
生成AIで作成されたポルノは「児童ポルノ」か
児童についてのわいせつな画像は「児童ポルノ」として規制されます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)第2条第3項)。
18歳未満の児童のわいせつな画像を作成した場合、児童ポルノの製造に当たります(児童ポルノ法第7条第3項。3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金)。
不特定多数に提供又は公然と陳列すれば、わいせつ電磁的記録頒布より重く処罰されます(同法第7条第6項。5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科)。
日本の児童ポルノ法では、「児童」(同法第2条第1項)は実在する18歳未満の者です。
児童ポルノ(同法第2条第3項)は児童の姿態を「描写」したものです。これは写真等により実在する児童をそのままインプットし、そのままアウトプットしたものです。漫画やイラストなどは実在しないキャラクターですし、モデルが実在しているとしてもそのままアウトプットしたとはいえないので、「児童ポルノ」の対象外です。
しかし、今や生成AIにより実在する人物に近い表現や、まさに実在する人物の一部を利用した表現が表れており、これが「児童ポルノ」に該当するかどうかが問題になります。
日本以外の国では、実在する児童の描写以外のわいせつな画像も規制する国があり、当該国内(航空機内も含みます)でそうした画像を閲覧したりすれば、その国の法律により処罰される可能性があります。
2025年にも、日本サッカー協会の責任者がフランスの飛行機内で児童ポルノを閲覧したとして逮捕され有罪判決を受けました。
しかし、日本の場合、上記の通り、実在している「児童」であることが前提ですので、一から生成AIで作成した児童と思われる者のポルノ画像は「児童ポルノ」に当たりません。
一方で、児童の映っている写真を加工するなど一部は実在する児童の姿態を用いた場合は児童ポルノに当たる余地があると考えられます。
このような画像は、ディープフェイクとして問題となっていました。
ディープフェイクとは、深層学習(ディープラーニング)を利用して、複数の画像の一部を結合させ、新たな画像を生成する生成AI技術です。
これまでも、ディープフェイクにより、実在する個人、特にその名前や容姿が重要な価値を有するとみなされている芸能人などに似せることも可能となり、ポルノなどわいせつ画像に、顔だけ有名人の顔に換える画像が問題となっていました。
このような画像は、実在する本人がそのように撮影されたのだと人々に受け取られます。これは、本人の社会的評価を低下させるおそれがあります。このような行為は、名誉毀損(刑法第230条第1項。3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)となる可能性があります。
また、本人の顔や姿を勝手に使用していることで、肖像権を侵害しています。これらにより民事の損害賠償責任を負う可能性があります。
もっとも、これらは、あくまで実在する本人の名誉や肖像権を害することを問題としており、児童ポルノであることを問題にしていません。
「児童ポルノ」該当性の余地
CGで作成した事案ですが、撮影当時18歳未満だった女性の過去のヌード写真をCGで再現したことが児童ポルノ製造にあたると疑われた事件がありました。
最高裁判所は、「同条3項にいう「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まないものと解すべきである。」と判示し、当該事件のCGは児童の姿態を描写したものと判断しました(令和2年1月27日最高裁判所第一小法廷決定)。
これはCGを用いているとはいえ、実在した18歳未満の児童の姿態の画像を作成して、実際に見ても18歳未満の児童と認識できるため児童の姿態を描写したと判断したものです。写真かCGかという違いはあれども、実在する児童をインプットしてアウトプットしたという点では同じだと考えられます。
一方で、生成AIによる画像作成の場合、プロンプトに従って、それまでの学習成果を基に出力しているのであり、実在する児童をそのままインプット・アウトプットしたわけではありません。
ディープフェイクの場合でも、一部は実在する「児童」そのものを「描写」していますが、AIで編集した部分は実在しておらず「描写」とはいえない可能性があります。
最新の裁判例
児童の写真を性的に加工した物が児童ポルノに該当するとした判決が、令和8年6月4日、名古屋地方裁判所で下されました。
この事件は、教員が女子児童の盗撮画像等をSNSのチャットグループで共有したということで社会を震撼させました。その所持していたわいせつな画像の中には、女児の写真をAIで加工した画像もありました。
名古屋地裁は「一般人から見れば裸を誤信させる精巧なもの」などと指摘し、「児童ポルノ」に該当するとしました。画像では児童の顔や姿勢などはそのまま使われており、性的な部分は編集によるものだとしても本物の裸と見分けがつかず、「描写」したものに該当すると判断したと考えられます。
もっとも、これは地裁の判断であり、上級審で覆される可能性があります。
条例による規制
以上のとおり、実在する児童の写真を性的に加工すれば「児童ポルノ」に該当する余地はありますが、まだ確定したわけではなく、情勢は流動的です。
一方で、鳥取県の青少年健全育成条例などのように、条例で実在する児童の写真を性的に加工したものも「児童ポルノ」に含めて規制対象としている自治体もあります。
鳥取県青少年健全育成条例
第3章 青少年の健全な成長を阻害する行為の規制
(定義)
第10条
9 この章以下において「児童ポルノ等」とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいい、生成AIその他の情報処理に関する技術を利用し、青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態(当該青少年の容貌を忠実に描写したものであると認識できる姿態に限る。)を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録及びその記録媒体を含む。
(児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2 何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めてはならない。
(児童ポルノ等の作成、製造及び提供の禁止)
第18条の3 何人も、児童ポルノ等の作成又は製造(県内に居住し、又は県内に通学若しくは通勤する青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態に係る児童ポルノ等について本県の区域外で行われる作成又は製造を含む。)をしてはならない。
2 何人も、SNSの利用その他の手段により児童ポルノ等の提供(県内に居住し、又は県内に通学若しくは通勤する青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態に係る児童ポルノ等について本県の区域外で行われる提供を含む。)をしてはならない。
3 知事は、前2項の規定に違反した者に対して、期限を定めて、当該児童ポルノ等の廃棄、削除その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
4 知事は、前項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、その者の氏名若しくは名称又はこれらに代わる呼称及び当該命令の内容を公表することができる。この場合、当該公表による青少年の心身への影響に十分配慮するものとする。
第6章 罰則
第26条
5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(4) 第18条の2の規定に違反した者
第28条
第18条の3第1項又は第2項の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、5万円以下の過料に処する。
2 第18条の3第3項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、5万円以下の過料に処する。
まとめ
このように、生成AIによる児童ポルノについても処罰できる可能性があります。
児童ポルノについてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
▼こちらの記事もご覧ください。
暗号資産とネットトラブル~仮想通貨取引に潜む法的リスクと規制を解説~

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)に注目が集まっています。こうした新しい分野には、大きな経済効果を期待できる一方で、対面の取引はまず考えられず、過剰な広告、利用者を誤認させる詐欺的な取引、個人情報の漏洩、さらには暗号資産そのものの流出も問題になっています。
ここでは、暗号資産とそれに関わるネットトラブルについて解説します。
資金決済に関する法律
暗号資産について、「資金決済に関する法律」(資金決済法)では、次のように規定されています。
資金決済に関する法律第2条
第14項
この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く。
一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨、通貨建資産並びに電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く。)を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
第15項
この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「暗号資産の交換等」とは、第一号又は第二号に掲げる行為をいい、「暗号資産の管理」とは、第四号に掲げる行為をいう。
一 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。
四 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)。
第16項
この法律において「暗号資産交換業者」とは、第六十三条の二の登録を受けた者をいう。
第17項
この法律において「外国暗号資産交換業者」とは、この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において第六十三条の二の登録と同種類の登録(当該登録に類するその他の行政処分を含む。)を受けて暗号資産交換業を行う者をいう。
暗号資産によるトラブル
資金洗浄(マネーロンダリング)の手段としても利用されます。
特殊詐欺で送金させた詐取金を暗号資産に換えて送金するなどの手口が行われています。
このような悪用を防ぐため、暗号資産について、様々な規制が課せられています。
資金決済法では「第三章の三 暗号資産」(第63条の2以下)で規制されています。
暗号資産(仮想通貨)を扱うためには、暗号資産交換業者として登録する必要があります(資金決済法第63条の2第14項)。
この登録を受けないで暗号資産交換業を行うと、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(資金決済法第107条第12号)。
法人の代表者などが違反をした場合、法人も同額の罰金刑を科されます(資金決済法第115条第1項第4号)。
暗号資産交換業者として登録するためには、株式会社又は外国暗号資産交換業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)であること(資金決済法第63条の5第1項第1号)、(資金決済法第63条の5第1項第3号・暗号資産交換業者に関する内閣府令第9条第1項第1号)などの条件を満たす必要があり、条件を満たさないときは、登録を拒否されます(資金決済法第63条の5第1項柱書)。
登録後も、情報の安全管理(資金決済法第63条の8)、利用者の保護等に関する措置(同法第63条の10)、利用者財産の管理(同法第63条の11)などの規定を遵守し、利用者の保護を図らなければなりません。
暗号資産の性質について利用者を誤認させないよう、様々な規制が設けられています。
暗号資産交換業の広告においては、暗号資産は本邦通貨又は外国通貨ではないことのほか、暗号資産の性質であって、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を表示しなければなりません(資金決済法第63条の9の2)。この重要な事項として、①暗号資産の価値の変動を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由、②暗号資産は代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済のために使用することができること、が定められています(暗号資産交換業者に関する内閣府令第18条)。
暗号資産の売買契約の締結や勧誘などにおいて、虚偽の表示をしたり、暗号資産の性質について相手方を誤認させるようなことは禁止されています(資金決済法第63条の9の3第1号・暗号資産交換業者に関する内閣府令第19条)。これに違反すると、1年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(資金決済法第109条第10号)。法人の代表者などが違反をした場合、法人も2億円以下の罰金刑を科されます(資金決済法第115条第1項第2号)。
資金決済法第63条の9の3第2号では「その行う暗号資産交換業に関して広告をするに際し、虚偽の表示をし、又は暗号資産の性質等について人を誤認させるような表示をする行為」、第3号では「暗号資産交換契約の締結等をするに際し、又はその行う暗号資産交換業に関して広告をするに際し、支払手段として利用する目的ではなく、専ら利益を図る目的で暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換を行うことを助長するような表示をする行為」を禁止しています。これらに違反すると、6月以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(資金決済法第112条第14号)。法人の代表者などが違反をした場合、法人も同額の罰金刑を科されます(資金決済法第115条第1項第4号)。
このように暗号資産は、新しい取引の可能性を持つだけでなく、様々なネットトラブルのリスクもはらんでいます。
暗号資産についてご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
インターネット不正送金被害の法的対応とは?刑事責任・補償・回復手段を解説

インターネットが発達し、銀行に行かずとも、インターネット上の操作で銀行の口座の管理や振込みなどもできるようになりました。一方で、電話やSNSで誘導されて送金したり、アカウントを乗っ取られて預金を下ろされたり送金されてしまう被害も増えてきました。
ここでは、不正送金被害について解説します。
不正アクセス禁止法違反
コンピューターウイルスソフトでネットバンキングのIDやパスワードを盗んでアクセスすることは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)の不正アクセス行為にあたります。
「不正アクセス」とは、次のいずれかに該当する行為と定められています(同法第2条第4項)。
①アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
②アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
③電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
典型的なのがIDとパスワードを入力してアクセスできるところに、許可なく他人のIDとパスワードを入力してアクセスする場合です。
なお、パスワードは「識別符号」(同法第2条第2項)のうちの「当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならないものとされている符号」(同項第1号)に当たりますが、パスワードだけでは意味がないので、IDが「その他の符号」として、IDとパスワードで「次のいずれかに該当する符号とその他の符号を組み合わせたもの」として「識別符号」に当たります。
不正アクセス行為をすれば、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます(不正アクセス禁止法第3条、第11条)。
以下の行為も禁止されています。
不正アクセス行為の用に供する目的で他人の識別符号を取得すること(同法第4条)
業務その他正当な理由による場合でなく他人の識別符号をアクセス管理者や利用権者以外の者に提供すること(同法第5条)
不正アクセス行為の用に供する目的で不正取得された他人の識別符号を保管すること(同法第6条)
アクセス管理者になりすましたりアクセス管理者と誤認させて識別符号の入力を要求すること(同法第7条)
これらの違反行為をすれば、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(同法第12条第1号~第4号)。
詐欺・窃盗
実際に不正送金をして財産的な被害を与えれば、窃盗罪(刑法第235条)や詐欺罪(刑法第246条)といった財産犯が成立します。
ATMからお金を下ろすように人が介在していない場合は、窃盗罪(刑法第235条。10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)となります。
銀行員に対して行えば詐欺罪(刑法第246条。10年以下の拘禁刑)となります。
他人に成りすましてIDやパスワードを入力して勝手に送金などすれば、電子計算機使用詐欺罪(刑法第246条の2。10年以下の拘禁刑)となります。
実際に被害を被るのは口座名義人ですが、法律上はいずれも被害者は銀行になります。
被害の回復
上記のとおり、不正送金をされても法律上は被害者は銀行となってしまいます。そこで、実際の被害者である口座名義人への補償が重要になってきます。
偽造カードや盗難されたカードによる被害であれば、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律(預金者保護法)により補償が行われます。しかし、ネットバンキングでの不正送金被害の場合はこのような救済法はありません。そのため、銀行と利用者の契約(約款)に従って補償されます。
ネットバンキングの不正送金のような被害でも、各銀行は、基本的に全額補償をすると定めています。ただし、被害を受けてから一定期間の内に届出をする、銀行の調査に協力する、警察に相談する、などの要件を満たすことが必要です。また、利用者側に過失があると全部又は一部の支払いをしないと定められているところが多いです。IDやパスワードを入力してしまったような場合、過失があるとされやすいです。
これについては、利用者側で銀行に対し過失がないことを主張・立証することで、補償額を増やすよう求めることが考えられます。
また、不正送金に関わった者が検挙された場合、法律上の被害者は銀行ですが、実質的な被害者である口座名義人ですので、加害者との示談をして被害を回復することが考えられます。
いずれの方法でも、法律の専門家である弁護士の援助があればよりよい結果を目指せるでしょう。
まとめ
このように、不正送金被害を受けると、個人では被害の回復は困難となります。
不正送金被害でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
ママスタ掲示板の誹謗中傷は削除できる?削除請求の方法と弁護士対応を解説

【事例】
Aさんは,ママスタに漫画を投稿している専業主婦です。ある日,義理の母親に小言を言われて腹が立ったことを内容に漫画を描いて投稿したところ,ママスタ内の掲示板に,「そんなんで腹が立つのかよ,幼稚すぎ」「これは,嫁が悪い,こんなことで義理の母を悪く言うなんてとんでもない嫁だ」などと投稿されました。(本事例はフィクションです。)
このような場合に,Aさんがどのようにして,掲示板の投稿の削除を求めることができるか解説します。
削除請求を行う方法として,大きく,①ママスタの掲示板で削除請求を行う方法と,②裁判所に申し立てを行い,削除請求を申し立てる方法があります。
ママスタの掲示板で削除請求を行う方法
ママスタの掲示板については,トピックを削除する方法と,掲示板のコメントを消す方法とで,操作方法は違います。今回は,掲示板のコメントを消す方法について解説していきます。
ママスタの掲示板のコメントの削除請求を行う場合には,問題となる投稿の番号をクリックして,問題となった投稿が拡大されると,右上に,「通報/削除依頼」が表示されるので,クリックします。
そこに,削除依頼をする人の名前と,削除理由を書き込みます。削除理由には,どういう投稿から,請求をする人のどのような権利が侵害されたのかを書き込んでいきます。
その上で,「確認する」をクリックして,請求することができます。
そのようにして,削除請求した後,数日してから,投稿が削除されているということになります。
裁判所を介して削除請求する方法
ママスタに削除請求をしても削除されないという場合には,裁判所を通じて削除請求を行うことになります。
ママスタの運営会社は,株式会社インタースペースであり,どのような投稿から,どのようにして名誉が侵害されたのかということを主張することになります。権利侵害があると大まかに認められれば,通常の裁判より,簡易迅速な手続により削除されます。
今回の【事例】のような事件の場合,Aさんに向けた名誉権侵害があると考えられますので,削除請求が認められる可能性があります。
このような手続で,ママスタのけいじばんの書き込みの削除を行うことができると考えられますので,名誉棄損に当たると考えられる投稿でお困りの場合には,弁護士に依頼されることをお勧めします。
海外企業のプラットフォームでも日本で裁判できる?発信者情報開示請求と国際裁判管轄を弁護士が解説
国際裁判管轄について

発信者情報開示請求について,「誹謗中傷が書き込まれたプラットフォーマーが日本の会社じゃないから日本で裁判を起こせないのではないか」,「プラットフォーマーが海外の会社だとして,日本のどこに裁判管轄があるのかわからない」という意見をいただくことがありますので,発信者情報開示請求の際の国際裁判管轄について解説していきます。
(1)国際裁判管轄とは
国際裁判管轄とは,ある法的問題について,どの国の裁判所で裁判を起こせるかを振り分ける基準のことを指します。
国際裁判管轄についての規定は,民事訴訟法3条の2以下に規定があります。
そのため,例えばシンガポールにいる日本人に対して,日本の新聞社が名誉毀損となるような記事を書き,日本やシンガポールでその記事が見られた場合,被告の住所地が日本にあるため,民事訴訟法3条の2第1項に基づいて,日本の裁判所が国際裁判管轄を有することになります。
また,アメリカのニューヨーク州の新聞社が,日本にいる日本人に対して,名誉毀損となるような記事を書き,日本だけでなくニューヨーク州の人にも見られた場合,民事訴訟法3条の3第8号に基づいて,日本の裁判所にも国際裁判管轄があることになります。
この民事訴訟法上の国際裁判管轄だけではなく,プロバイダ責任制限法にも発信者情報開示請求に関する特別な国際裁判管轄に関する規定があります。この規定によって,海外に本社を有する会社に対しても国際的な裁判管轄があるかどうかが判断されます。
プロバイダ責任制限法9条1項2号には,発信者情報開示請求に関する国際裁判管轄についての規定があります。プロバイダ責任制限法9条1項2号イによれば,「相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にある」場合に日本に国際裁判管轄があると規定されています。そのため,日本にも法人がある会社については,日本に国際裁判管轄があることになります。
(2)日本にも会社法人が無い場合はどうなるのか
日本にも会社法人が無い場合の規定については,プロバイダ責任制限法9条1項3号に規定があり,「日本において事業を行う者を相手方とする場合において,申し立てが当該相手方の日本における業務に関するものである」場合には,日本に国際裁判管轄があることになります。
この規定が使われた例として,知財高裁令和6年10月4日決定があります。
この事例は,申立人が,台湾に所在する法人で,アクセスプロバイダである被申立人(「中華電信股份有限公司」)に対して,著作権侵害を理由として,発信者情報開示を求めた事件です。
この事件について裁判所は,「台湾に所在し,電気通信業を営む法人であるものの,日本国内において,主に台湾からの旅行者のために国際ローミングサービスを提供しており,日本の航空等では日本から台湾への旅行者向けにSIMカードを販売していることが認められる。」として,「日本において事業を行う者」と認めました。
また,コンテンツプロバイダである「『BOOTH』は日本語が使用される日本向けのサイトであって,相手方が台湾で提供するインターネット接続サービスが,当該サイトのサーバに接続され,その結果,本件各投稿がされたこと,本件各投稿のうちの一部の投稿には,『お初のオリジナルTL漫画です。よろしくお願いします』,『追加支援のお方ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。』との流暢な日本語による記載があることが認められ,本件投稿は,日本人向けに提供されているSIMカードその他の相手方の日本人向けサービスを利用して行われた可能性が高いといえる。」として,「日本における業務に関連する」ことが認められました。
その結果,日本にも国際裁判管轄があることが認められ,東京地方裁判所で,発信者情報開示が認められました。
(3)まとめ
このように,日本の会社がアクセスプロバイダや,コンテンツプロバイダになっていないとしても,日本に国際裁判管轄が認められる場合がありますので,アクセスプロバイダやコンテンツプロバイダが日本の会社じゃないとしても弁護士に相談してみることをお勧めします。
投稿したイラストがピクシブに無断転載されてる⁉ 無断転載を削除するための手続や流れを解説!
ピクシブに投稿されたイラストの削除

【事例】
Aさんは,αとしてイラストレーターとして活動しています。Aさんはイラストをピクシブ(pixiv)やXに上げて投稿しており,甲というタイトルのイラストもピクシブやXに上げていました。
しかし,Aさんがある日ピクシブを見ていると,βというアカウントの人が,Aさんのイラストをそのまま自分のイラストとして上げていました。
そのため,Aさんは,βのイラストを削除することを考えました。
この場合に,どのようにして,βが挙げているイラストを削除できるのか解説していきます。
(事例はフィクションです。)
削除請求
削除請求を行う方法は大きく二つあります。
①ピクシブのお問い合わせフォームや郵送で削除依頼を行う方法
②裁判所に対して削除請求を行う方法
そのため,それぞれの方法について解説していきます。
①ピクシブのお問い合わせフォームや郵送をする方法
ピクシブには,削除申請フォームというものは存在していません。ですが,ピクシブのお問合せフォームが削除申請フォームと同様の役割を果たしており,お問い合わせフォームから連絡することによって,削除請求を行うことができるようです。
また,もう一つの手段として,ピクシブの運営会社に送信防止措置依頼書を送信することで対応することも出来ます。
これらのどちらかを使って,著作権侵害などを理由に削除請求を行うことができます。
この方法によって,ピクシブが著作権侵害の著作物を削除してくれることがあるようです。
②裁判所に申し立てを行い,削除請求を行う方法
ピクシブに削除請求を行ったにもかかわらず,削除がされない場合,削除仮処分を申し立てることによって,削除請求を行うことが考えられます。
ピクシブはピクシブ株式会社が運営会社となっています。
そのため,ピクシブ株式会社を被申立人として,どのような投稿が著作権侵害で,誰が著作権者なのかを示し,権利侵害があると主張することになります。そこで,権利侵害があると認められれば,通常の裁判より簡易迅速な手続によって削除が認められます。
今回の【事例】のような事件の場合,著作権者であるAさんではない人が,勝手に甲を公開していますので,著作権侵害が考えられます。
そのため,今回のような事例の場合,ピクシブ株式会社に対して,投稿の削除請求をすることができると考えらえます。
このような手続によって削除をすることが考えられますので,著作権侵害に当たるような投稿でお困りの場合には,弁護士に相談することをお勧めします。
インターネット上に掲載されている実名付きの過去の犯罪事実の削除請求は認められるのか
インターネットに掲載されている実名付きの過去の犯罪事実の削除請求は認められるか

犯罪を行って逮捕されたら、マスコミに実名報道されてしまうことがあります。
インターネットでニュースとして報道され、その記事が個人により更に転載されることがあります。
インターネット上に実名入りで犯罪事実の情報が残ってしまい、多くの人に知られてしまうことになります。
このような情報の削除請求は認められるのでしょうか。
投稿記事削除請求事件・最高裁判所第二小法廷令和2年(受)第1442号・令和4年6月24日判決では、以下のように判断しています。
「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、このような人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解される」
「人格権に基づき、本件各ツイートの削除を求めることができるか否かは、本件事実の性質及び内容、本件各ツイートによって本件事実が伝達される範囲と上告人が被る具体的被害の程度、上告人の社会的地位や影響力、本件各ツイートの目的や意義、本件各ツイートがされた時の社会的状況とその後の変化など、上告人の本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である。」
過去の犯罪事実は、他人にみだりに知られたくないプライバシーに属する事実です。
有罪判決を受けた人は、その後、一市民として社会に復帰することを期待されており、前科等に関する事実の公表によって、新しく形成している社会生活の平穏を害され、その更生を妨げられることのない利益を有しています。
家族や知人が記事をいつ見るかもしれないと危惧し続けることによって平穏な暮らしを妨げられることになります。
他方で、犯罪事実は、公共の利害に関する事実として、報道する必要があります。
特に犯罪が発生して逮捕された直後は、実名とはいえ報道の価値が高いと評価され、記事の削除請求は難しいです。
しかし、何年も時間が経過したら、実名で報道までされ続ける必要性は低くなってきます。
一つの目安として、刑法による刑の言い渡しの効力が失われる期間があります。
「(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
第27条 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
(刑の消滅)
第34条の2 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。」
犯罪を行った人が公的な立場にいるかによっても評価は異なってきます。
政治家やそれに準ずる著名人であれば、時間が経過しても実名報道される必要性は低くはありません。
しかし、それ以外の一般人については、年数が経過しても実名報道されなければならない必要性は高くはありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ネットトラブルの無料相談を実施しております。
050-5830-9572までお気軽にお電話してください。
未成年者によるインターネット取り引きを取り消すことができるのか? 弁護士が解説します
未成年者によるインターネット取り引きを取り消すことができるか

インターネットは年齢にかかわらず、誰でも簡単に利用することができます。
その反面、インターネットショッピングなどで、子供が勝手に高価な商品を購入してしまうようなトラブルも起こります。
あまりに高額な購入をしてしまったら、親としてはその契約を取り消したいと思うのは当然です。
しかし、事業者としても、インターネットだと対面ではないので、購入者が成年か未成年かを外見で判別することはできません。
簡単に取り消しが認められてしまうのであれば、事業者は大きな損害を生じてしまうことになります。
契約を取り消すことによって負う事業者の負担にも配慮しなければなりません。
この契約を取り消すことができるかが大きな問題となり、民法を中心にルールが定められております
取り消しは可能?
原則として、18歳未満の未成年者が契約等の法律行為をしても、取り消すことができます。
未成年者はきちんとした契約をする能力が一般的に不十分であり、取り消しが原則として法律で規定されて、未成年者を保護しております。
しかし、その親権者等の法定代理人の同意を得ていたら、取り消すことはできません。
インターネット取り引きにおいても、契約ごとに申込者の年齢確認や親権者等の同意確認の手続きが行われていれば、取り消すことはできません。
また、未成年者が親権者等の同意なく取り引きが行われたとしても、その後に親権者等が追認したら、やはり取り消すことは出来なくなります。
まずは、この年齢確認や親権者の同意確認の手続きがきちんと行われていたのかをチェックすることになります。
また、親権者等の法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができるので、取り消すことはできません。
目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様となります。
一般的に、親が与えたお小遣いを利用して、お小遣いを利用しての購入が想定されるような物やサービスが対象であったのであれば、基本的には未成年者の自由となります。
未成年者が成年者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。
インターネット取り引きにおいて、年齢確認の手続きが取られているにも関わらず、未成年者が年齢を偽って成年であると示し、事業者が未成年者を成年と誤って判断したら、未成年者は詐術を用いたとして、取消権を失うことになります。
親権者の同意があるように装った場合も同様になります。
しかし、この年齢等の確認手続きはある程度厳格に判断されることになり、単に年齢を確認しただけだったり、利用規約に未成年者は親の同意が必要と記載されているだけだったりした場合は、取消権は失われないと思われます。
事業者が騙されたので取消を認めないことにしてもしょうがないと評価されるような状況であったかが、総合的に判断されることになります。
取り消されたら?
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます。
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負います。
しかし、未成年者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負うにとどまります。
例えば、未成年者がインターネットを利用してダウンロードゲームを購入して遊んだとしても、取り消し後はゲームの利用ができなくなるだけであり、それ以上に事業者へ返さなければならないものはありません。
ただし、未成年者が最初から取り消しを想定して契約をし、事業者に損害が生じた場合は、未成年者は不法行為責任を負う可能性があります。
未成年者に賠償義務・能力がなくても、両親が賠償責任を負わされることになる可能性があります。
インターネットトラブルでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
無料法律相談のご予約は📞050-5830-9572または✉https://nettrouble-bengoshi.com/inquiry/で受け付けています。
インターネット上でのなりすましによる取り引き
インターネット上でのなりすましによる取り引き

インターネットでは、非対面でやり取りされるため、他人になりすまして取り引きが行われることがあります。
他人の名義を悪用した人を特定して責任を追及することは、現実には難しいです。
この場合、騙された側は損害を負ってしまうことがありますので、なりすまされた本人に対して責任追及ができるかが重要になってきます。
なりすましによる取り引きが行われた場合、なりすまされた本人は原則として責任を負いません。
本人とは全く関係なく取り引きが行われたのであれば、本人が責任を負わないのは当然です。
しかし一定の場合には本人が責任を負わされることがあります。
以下の民法の条文が関係してきます。
外観の存在、相手方の善意無過失、本人の帰責事由、があれば、下記条文を類推適用して、本人に効果が帰属し、責任を負わされることがあります。
(代理権授与の表示による表見代理等)
第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第110条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
(代理権消滅後の表見代理等)
第112条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
本人確認方法として、特定のIDやパスワード等が使用されているのであれば、他人により悪用された場合、原則として本人に効果が帰属されるように合意がなされている場合がほとんどです。
しかし、本人が消費者であれば、消費者契約法の以下の条文が問題となってきます。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
民法(基本原則)
第1条第2項 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
事業者に帰責性がある場合、事業者からIDやパスワードが漏洩した場合、等は対象外になると思われます。
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