インターネットと闇バイトー闇バイトをした場合に成立する犯罪について解説

闇バイトが大きな社会問題となっています。

闇バイトの多くはインターネット上での募集に応じて参加してしまうことが多いです。

ここでは、闇バイトに関わった場合の刑事責任について解説します。

【事例】
Aさんは,インターネットの求人サイトをみていたところ,「荷物を運ぶだけの簡単なお仕事,未経験者歓迎 日給2万円」と書かれた求人を発見したため,求人に応募したところ,Bという会社に履歴書と,運転免許証,預金通帳の写しを送るように言われ,これらの書類を送りました。
面接に通過し,最初の仕事の日ということで呼び出され,行ってみたところ,Cさんと,Dさんがおり,Cさんから仕事の内容の説明として,深夜に金属加工工場に侵入して,くず鉄を持ち出し,会社に運ぶよう言われ,金属加工工場に到着したところ,Dさんが金属加工工場のくず鉄を運び出しました。
そのため,Aさんも同様にくず鉄を運び出し,トラックに詰めていたところ,B社の宿直の人に見つかり,警察を呼ばれ,現行犯逮捕されてしまいました。

以上を前提として,
①どのような犯罪が成立するのか,②犯罪が成立するとして,どのくらいの刑罰が予定されているのか
について解説していきます。

成立する犯罪について
・建造物侵入罪
まず,金属加工工場に立ち入っていることから,建造物侵入罪が成立します。
人の看守する建物に立ち入ることが必要で,今回のAさんは,人が看守している金属加工工場内に侵入していることから,この犯罪が成立します。

・窃盗罪
窃盗罪の成立が考えられます。
窃盗罪が成立するためには,「他人の財物を窃取した」という事情が必要です。
今回の事例の場合,くず鉄をトラックに詰めており,いつでも運び出すことができるような状態にしているため,窃盗罪も成立します。

また,窃盗罪と,建造物侵入罪は目的と手段の関係にあるので、法律上牽連犯の関係にあり,刑事手続上,一罪として扱われ,窃盗罪の法定刑の範囲で刑罰を負います。

見込まれる刑罰
窃盗罪の法定刑は,10年以下の懲役又は,50万円以下の罰金が予定されています。そのため,今回の事例の場合についても,この範囲で刑罰を負います。
実際の量刑傾向からすると,前科前歴のない人が,建造物に侵入し,窃盗を行った場合,多くの場合,執行猶予付きの有罪判決になっています。ただし,同様の余罪があったり,被害金額が多額だったりすると,実刑になる可能性もあります。
今回の事案の場合,Aさんに余罪はありませんし,くず鉄の時価相当額は不明ですが,多額に上るとは考えられないことから,執行猶予付きの有罪判決となる可能性が高いです。
そのため,今回の事例の場合,弁護活動としては,執行猶予付きの有罪判決を目指すよう活動していく必要があります。

闇バイト事件について注意すること
このような闇バイト事件はかつては,特殊詐欺に関するものが多かったのですが,
窃盗や強盗に関する闇バイトが存在するというような報道もあります。
また,普通のバイトを装って募集されていることから,犯罪行為に加担する気が無くとも加担することがあります。
そのため,普通のアルバイトの求人であっても,応募の際に免許証などの身分証明書を要求してこないかということや,現場での説明がどうなっているかということについて注意しておく必要があります。
特に,強盗に関わるような闇バイトでは,強盗殺人を命じられるケースがあるということも聞きます。
強盗殺人の場合,無期懲役か死刑しか予定されていない関係から,強盗殺人に該当することになった場合,実刑となり,社会復帰が困難になりますので注意が必要です。

ご自身又はご家族が闇バイトに関わっていないか心配な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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