インターネット上で誤情報や名誉毀損、誹謗中傷を内容とする投稿をされた場合、複数のサイトに投稿されたり、それを見た者が拡散してしまうことがあります。
【事例】
Aさんは甲という会社を経営する経営者です。
ある日,5chを見ていたところ,「甲という会社では社長が成績の悪い社員に対して追い出しのための作業をさせるらしく,出勤したら一日中会社の庭に穴を数十メートル掘らされ,堀り終ったらその穴を埋めるという繰り返し作業をさせられるらしい」という書き込みがされていました。実際はAさんは経営する甲社でそのような業務命令を命じたことはありませんでした。
そのため,Aさんは5chに削除要請をして,その削除要請が認められました。そのため,Aさんは5chでは,この書き込みが削除されました。
しかし,ネットで検索を続けていたところ,「暇つぶし2ch」にまだ書き込みが残っているのを発見しました。
そのため,Aさんはこの暇つぶし2chに対しても削除要請をすることを考えています。
このような場合にどのような手段を使って削除請求を行うことができるのか,削除請求は認められるのかについて解説していきます。
(1)コピーサイトとは何か
5chにはいくつかのコピーサイトがあり,5chなどに書き込まれた内容を自動的に転載するサイトがあります。
このようなサイトは5chなどとは別に個人的に運営されており,5chなどで削除された投稿があったとしても,その削除を自動的に反映するということはしていません。
そのため,5chの投稿を削除しても別個で5chのコピーサイトに対しても対応する必要がある場合があります。
なお,このようなコピーサイトは5chに投稿された内容をそのまま転載しているだけですので,ここから発信者を特定するということはできません。そのため,ここから発信者情報開示を行うことはできません。
(2)コピーサイトに対する削除請求の方法
コピーサイトに対する削除請求を行う方法については2種類の手段を取ることができます。
それは,コピーサイトに削除依頼をする方法です。
(3)コピーサイトに削除依頼する方法
コピーサイトに対して削除依頼する方法はコピーサイトに応じて様々です。
ここでは,【事例】で名前を挙げた「暇つぶし2ch」の場合について説明します。
問題となる書き込みのあるスレッドのページを開くと,下の方に,「オプション」が表示されます。
すると,「オプションモード」が表示されますので,「スレッド再取得/レス削除」を選択します。
すると,「スレッドメンテナンス」画面が現れ,「処理」と書かれた者がありますので,そこで,どのような処理を行うか選択します。
このうち,「再取得」というのは,5chで投稿が削除されたことをコピーサイトの方にも反映させるものであり,「削除」というのは5chでも削除されていない場合にコピーサイトの方でのみ削除するというものです。
「再取得」を選択して「実行」をすれば,5ch側で削除された情報が反映されると考えられます。
「削除」を選択すると,削除対象のスレッドを選択し,どのような理由で削除したいのか理由を書き込む欄が出てきますので,そこに削除すべき理由を書き込み,「実行」を選択します。
すると,たいていの場合すぐに削除されます。
(4)裁判所を通じて削除する方法
コピーサイトで削除依頼をしたにもかかわらず,削除されないというのはやや珍しいのですが,それでも削除されない場合には,コピーサイトの運営者に対して投稿削除の仮処分を行うことになります。
この場合には,5chのコピーサイトにおいて名誉が侵害されていることを裁判所に主張することになります。
名誉を侵害していることが大まかに認められる場合,通常の裁判より,簡易・迅速に削除をすることができます。
(5)【事例】の場合の対応
今回の【事例】の場合,暇つぶし2chの「オプション」から「スレッドの再取得/レスの削除」に入り,「再取得」を実行することによって,解決することができると考えられます。それでも,反映されない場合に,裁判所を通じて投稿削除の仮処分を行うことになります。
このように,コピーサイトにおける名誉毀損に対処できるため,コピーサイト対応が必要な場合で,面倒な作業を誰かに任せたい場合には弁護士に相談することをお勧めします。
コピーサイトに名誉毀損投稿をされてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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