インターネット上では、なりすまし被害が多発しています。
ネットのなりすまし事件が起きた場合に,どのような理由で損害賠償請求をすることができるのか,損害賠償請求をするとして,それが認められるのかについて解説します。
ネットのなりすまし事件
ネットのなりすまし事件といっても,様々あります。
例えば,Aさんという人にBさんがなりすまして,Aさんの裸の写真を投稿したり,本人の名誉を害するような書き込みをするものもあれば,愉快犯的に,Aさんと名乗って,日常的な書き込みをする例もあります。
そのため,なりすまし事件としても,名誉毀損やプライバシー権侵害を認めることができるような事件なのか検討する必要があります。
そのため,もし悪質ななりすまし事件ということでしたら,弁護士に相談されることをお勧めします。
ネットのなりすまし事件の解決方法
こういったネットのなりすまし事件については,①発信者情報開示請求を行ってなりすましをした人の特定を行い,②なりすましをした人に対する損害賠償請求を行う必要があります。
そのため,①,②の手続について解説していきます。
発信者情報開示請求手続
まず,XやフェイスブックなどSNSのサービスを提供するコンテンツプロバイダ(「CP」と略称される。)に対して,発信者情報開示仮処分を行い,IPアドレスやタイムスタンプの開示を行い,発信者が使ったNTTやソフトバンクなどの経由プロバイダ(アクセスプロバイダ,「AP」と略称される)を特定します。
その後,APに対して,投稿した人の情報開示請求を行います。
これによって,投稿した人の住所や氏名が判明ます。
このように,発信者情報開示が認められるためには,権利侵害が明らかであること,損害賠償請求権の行使のためという正当な理由があるときでなければなりません。また,ログの保存期間についても注意する必要があります。
正当な理由については,大体の場合認められますので,「権利侵害が明らかであること」の要件を満たすかどうかが問題になります。
なりすまし被害の場合,自身のプライベートな情報をなりすましで投稿しているためプライバシー権侵害であることや,なりすましを行った者が名誉を侵害するような内容を投稿しているため名誉権侵害であること,そもそも名前をそのまま表示ているため氏名権侵害であることなどを主張する必要があります。
そして,投稿内容から,このような権利侵害が認められる場合で,ログの保存期間も経過していない場合,発信者情報が開示されます。
このようにして,発信者情報の開示を受けてから損害賠償請求に移ることになります。
損害賠償請求手続き
このように,発信者情報の開示を受けた後は,損害賠償請求を投稿者に対して行うことになります。
損害賠償請求を行う場合,プライバシー権や名誉権,氏名権が侵害されて,いくらくらいの損害を被ったのか特定して請求する必要があります。
損害賠償請求で認められる金額としては,一般的なケースでは数十万円から数万円程度にはなりますが,発信者情報開示請求にかかった弁護士費用(の一部)についても請求することができます。
そのため,多ければ百万円程度の金額を損害額として認めてもらえるケースがあるようです。
また,和解で終わらせる場合もあります。
このように,ネットのなりすまし被害に対しても,発信者情報開示請求を行い,損害賠償を認めさせることができますので,ネット上でのなりすましトラブルでお困りの場合は迅速に弁護士に相談されることをお勧めします。
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