集客にネットの口コミを利用することが広く行われています。一方で、次の【事例】のように、事実に反する口コミが拡散するおそれがあります。
【事例】
AさんはBというホストクラブでホストとして,勤務している人です。
ある日,サイトをみていると,「新宿B(ホストクラブ名)A(ホスト名)part8」『264 最近やばい,「エースが抜けちゃったから,きみがソープで働いて稼いでくれないと困るね」「君ならできるよね」「知り合いの店紹介するから,働いてよ」とか言ってた』との書き込みがありました。
スレッド全体の趣旨からして,Aさんがホストの代金を払えないお客さんに風俗店を紹介して,風俗店で働かせようとさせていたということのようです。
Aさんとしては,そうしたように,女性客に風俗店で働くよう促したり,紹介したりしたことは無く,そもそも知り合いに風俗店の店員はいないとのことでした。
そのため,Aさんとしては,このような口コミの削除を請求することにしました。
この場合に,口コミの削除をどのように行っていくのか解説します。
口コミの削除をどのようにするのか
口コミの削除の方法は,①ホストクラブのサイトに削除依頼をする手段と,②裁判所に申し立てを行い,削除請求を行うという手段が考えられます。
ホストクラブに削除依頼をする方法について
① ホストクラブの各地方の版にアクセスして,下の方にある「削除依頼」をクリック
②削除依頼の中の,「削除依頼フォーム」をクリック
③そこで,スレッド番号,レス番号,削除理由,名前,メールアドレスを入力し,送信します。
④すると,4日以内に,削除がされます。
なお,③にある「スレッド番号」というのは,ホストクラブの個別のスレッドのURLにある数字のことを指します。
例えば,ホストクラブの「https://・・・/2024102598766/1」ページの場合,このURLの途中にある14桁の数字,「2024102598766」がスレッド番号です。
また,書き込まれる内容が性的な内容であったり,公表したくないような事実に関わることをインターネットに残す可能性が高くなってしまうことから,削除理由については,詳細に書かないことが多いようです。
このような手段によって,ホストクラブの口コミを削除することができます。
裁判所に削除請求を行う場合
ホストクラブの運営会社については,公表されていない関係から,被申立人の特定については,WHOISの過去の履歴をたどって,法人を調べ,法人検索をする方法によってしかできないようです(もっとも,発信者情報開示をよく行う法律事務所の弁護士はどこなのか把握しているようですが)。
この場合には,どのような投稿からAさんの名誉権が侵害されたのかということを主張することになります。
このように主張を行い,名誉権が侵害されていると大まかに認められる場合,通常の裁判より簡易・迅速に投稿された記事の削除を行うことができます。
今回の【事例】のような場合,口コミの投稿によって,Aさんが売春行為を女性にあっせんするような人物であるとの事実を公表していますので,名誉権が侵害されていると考えられます。
そのため,今回のような事例の場合,ホストクラブへの削除依頼や裁判所の仮処分によって投稿された口コミの削除が認められる可能性があります。
このような手続によって口コミの削除を請求することが考えられます。
名誉毀損を内容とするような口コミにお悩みの場合には,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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口コミの削除-グーグルマップに投稿された口コミの削除を例に解説