闇バイトーインターネットを利用するなかで巻き込まれうる犯罪について解説

インターネット上で行われる犯罪
インターネット上で行われる犯罪としては、かつては不正アクセスや名誉棄損などが多く見られました。
しかし、対面でなくとも様々な人とやり取りできる環境が犯罪組織に利用され、一般の人も以前では考えられなかった形で犯罪に加担してしまうおそれも強くなりました。
ここでは、最近問題となっている闇バイトについて解説します。

闇バイト
近年インターネット上で多くの問題を起こしているのが闇バイトです。
X(旧Twitter)などで「#高額報酬」「#ホワイト案件」など安全で高額の報酬を得られるかのように謳い募集してきます。
初めに免許証のコピーを求められたり、住所や家族構成などの個人情報を求められます。逃げようとすると、家族に危害が及ぶなどと脅すためです。
また、テレグラムやシグナルなど秘匿性の高いSNSアプリをスマートフォンにインストールするよう求められます。これは後の警察の捜査が指示役に及ぶことを防ぐためです。

特殊詐欺
「仕事」の内容として、指定した家に行って荷物を受取るだけというものがあります。これは、既に「かけ子」が被害者を騙して、受取りに来た「受け子」に現金が入った封筒やキャッシュカードを渡すように仕向けています。「荷物」を受取りに行くと、この「受け子」として犯罪に加担してしまうことになります。このような場合、詐欺罪(刑法第246条第1項)の共犯(刑法第60条)となり、10年以下の懲役に処されます。
この他、銀行員や警察官などのふりをして訪れ、隙を見てキャッシュカードをすり替える手口もあります。この場合、窃盗罪(刑法第235条)が成立し、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
このように、非対面の状況で相手を騙して行う犯罪は、特殊詐欺と呼ばれています。

トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)
SNSなどで不特定の者を集め、広域で犯罪を行うグループをトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)と呼びます。
上記のような特殊詐欺も含まれますが、近年問題となっているのは、被害者を騙すことすらせず、初めて会うような人たちを現場付近に集め、個人宅に侵入して金品を奪わせる事件です。
このような犯行は住居侵入罪(刑法第130条。3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)や窃盗罪(刑法第235条)にあたります。よりおそろしいのは、指示役から家人が居たら暴行してでも金品を奪うよう指示されます。これに従ってしまえば強盗罪(刑法第236条)になり、5年以上の有期懲役に処されます。これにより人が負傷すれば強盗致傷罪が成立して無期又は6年以上の懲役に、人が亡くなってしまえば強盗致死罪が成立して死刑又は無期懲役に処されます。
強盗致死や強盗致傷罪は裁判員裁判対象事件であり(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条第1項第1号)、裁判員の参加する法廷で裁かれることになります。少年であっても家庭裁判所での少年審判ではなく、逆送されて20歳以上の人と同様の刑事裁判にかけられる可能性があります(少年法第20条第1項第2項)。18歳以上の少年は特定少年として、より逆送される可能性が高まり(少年法第62条第2項)、起訴されると実名で報道される可能性があります(少年法第68条・第61条)。

インターネット上の犯罪への対応
「#高額報酬」「#ホワイト案件」など謳うだけであったり、具体的な仕事の内容を示していなかったり、時給10万円以上など過剰に高額な条件が示されている仕事は注意が必要です。
仮に申込んでしまっても、警察に保護を求めれば必ず守ってくれます。すぐに警察に相談してください。
参考
警視庁「#BAN 闇バイト」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/drug/yami_arbeit/ban_yamiarbeit.html

本人やご家族が既に闇バイトに加担してしまった場合、警察への出頭や被害者との示談が考えられます。このような場合は、弁護士にご相談ください。
ご自身やご家族が闇バイトに関わってしまいお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

こちらの記事もご覧ください
インターネットと闇バイト-闇バイトをした場合に成立する犯罪について解説

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