インターネットに掲載されている実名付きの過去の犯罪事実の削除請求は認められるか

犯罪を行って逮捕されたら、マスコミに実名報道されてしまうことがあります。
インターネットでニュースとして報道され、その記事が個人により更に転載されることがあります。
インターネット上に実名入りで犯罪事実の情報が残ってしまい、多くの人に知られてしまうことになります。
このような情報の削除請求は認められるのでしょうか。
投稿記事削除請求事件・最高裁判所第二小法廷令和2年(受)第1442号・令和4年6月24日判決では、以下のように判断しています。
「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、このような人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解される」
「人格権に基づき、本件各ツイートの削除を求めることができるか否かは、本件事実の性質及び内容、本件各ツイートによって本件事実が伝達される範囲と上告人が被る具体的被害の程度、上告人の社会的地位や影響力、本件各ツイートの目的や意義、本件各ツイートがされた時の社会的状況とその後の変化など、上告人の本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である。」
過去の犯罪事実は、他人にみだりに知られたくないプライバシーに属する事実です。
有罪判決を受けた人は、その後、一市民として社会に復帰することを期待されており、前科等に関する事実の公表によって、新しく形成している社会生活の平穏を害され、その更生を妨げられることのない利益を有しています。
家族や知人が記事をいつ見るかもしれないと危惧し続けることによって平穏な暮らしを妨げられることになります。
他方で、犯罪事実は、公共の利害に関する事実として、報道する必要があります。
特に犯罪が発生して逮捕された直後は、実名とはいえ報道の価値が高いと評価され、記事の削除請求は難しいです。
しかし、何年も時間が経過したら、実名で報道までされ続ける必要性は低くなってきます。
一つの目安として、刑法による刑の言い渡しの効力が失われる期間があります。
「(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
第27条 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
(刑の消滅)
第34条の2 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。」
犯罪を行った人が公的な立場にいるかによっても評価は異なってきます。
政治家やそれに準ずる著名人であれば、時間が経過しても実名報道される必要性は低くはありません。
しかし、それ以外の一般人については、年数が経過しても実名報道されなければならない必要性は高くはありません。
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