特にインターネットでは、大量に取引が行われていることから、定型約款による契約が多く行われております。
定型約款とは、定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいいます。
定型取引とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいいます。
定型取引を行うことの定型取引合意をした者は、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、又は定型約款を準備した定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときには、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなされます。
しかし、通常、定型約款はかなりの量があり、全てに目を通して同意しているという人は少ないです。
そうすると、不当に不利な内容の条項が後に問題となってくる可能性があります。
そこで、民法で、定型約款の内容について規制されております。
定型約款の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして信義誠実の基本原則(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなされます。
定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければなりません。
ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、不要です。
定型約款準備者が定型取引合意の前において定型約款の内容を示すことの請求を拒んだときは、定型約款の合意は成立しません。
ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りではありません。
これにより、消費者はきちんと定型約款の内容を確認する機会を得ることができます。
定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができます。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
定型約款準備者は、定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければなりません。
上記の二号の規定による定型約款の変更は、効力発生時期が到来するまでに周知をしなければ、その効力を生じません。
定型約款の変更された条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして信義誠実の基本原則(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することはできません。
これにより、契約成立後についても不当な条項で消費者が一方的に不利にならないようにしたうえで、事業者の条項変更を可能としております。