不正競争防止法

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

インターネットを通じて会社のコンピューターや情報システムに不正にアクセスされ、会社が保有する営業秘密が不正に取得されることがあります。

また、営業秘密を不正に取得した者から、その営業秘密を取得し、使用・開示することによって、営業秘密を侵害するケースもあります。

営業秘密に関する不正な取得、使用、開示などの行為については、「不正競争防止法」によって規制されています。

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。

不正競争防止法では、営業秘密に関して、例えば次のような行為を「不正競争」として規制しています。

  • 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段によって営業秘密を取得する行為(営業秘密不正取得行為)、及び営業秘密不正取得行為によって取得した営業秘密を使用・開示する行為
  • 営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知り、又は重大な過失によって知らないで、その営業秘密を取得し、又は取得した営業秘密を使用・開示する行為
  • 営業秘密を取得した後に、その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知り、又は重大な過失によって知らないで、その営業秘密を使用・開示する行為
  • 営業秘密の保有者から営業秘密を示された者が、不正の利益を得る目的又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用・開示する行為
  • 営業秘密について不正な開示があったことを知り、又は重大な過失によって知らないで、その営業秘密を取得し、又は取得した営業秘密を使用・開示する行為
  • 営業秘密を取得した後に、その営業秘密について不正な開示があったことを知り、又は重大な過失によって知らないで、その営業秘密を使用・開示する行為
  • 技術上の秘密について、その不正使用行為により生じた物を譲渡・引渡し、その譲渡・引渡しのために展示し、輸出・輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

ただし、これらの行為については、それぞれ成立要件が定められており、営業秘密に関する行為であれば当然に不正競争に該当するわけではありません。

営業秘密とは

営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます。

営業秘密に該当するためには、一般に、有用性、秘密管理性、非公知性の3つの要件を満たす必要があります。

有用性とは、その情報が事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることをいいます。

秘密管理性とは、情報を保有する事業者が、その情報を秘密として管理していることが客観的に認識できる状態にあることをいいます。

非公知性とは、その情報が一般に知られておらず、又は容易に知ることができない状態にあることをいいます。

営業秘密を侵害された場合の差止請求

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます。

また、侵害の停止又は予防を請求する際には、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができます。

損害賠償請求

故意又は過失によって不正競争を行い、他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。

不正競争による損害額を被害者が立証することは容易ではないため、不正競争防止法には、一定の場合に損害額を推定する規定が設けられています。

信用回復措置

故意又は過失によって不正競争を行い、他人の営業上の信用を害した者に対しては、裁判所は、営業上の信用を害された者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、営業上の信用を回復するために必要な措置を命ずることができます。

営業秘密の侵害に対する刑事罰

営業秘密を侵害する一定の不正競争については、刑事罰も定められています。

営業秘密の不正取得、使用、開示などについて、行為の内容や主体、目的などに応じて罰則が定められており、最大で10年以下の拘禁刑若しくは2,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。

また、一定の場合には、法人についても罰金刑が科されることがあります。

そのため、会社の営業秘密を不正に取得したり、取得した営業秘密を不正に使用・開示したりする行為は、民事上の責任だけでなく、刑事責任が問題となる可能性があります。

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