トレント利用による犯罪と法的問題点について解説

Bit Torrentやμトレントというものは,P2P方式のファイル共有ソフトです。
このトレントを使った場合にどのような犯罪が成立するか解説します。

トレントとは何か?
トレントとは,クラウドコンピューティングなどのようにどこかのサーバーにデータを保存する仕組みではなく,それぞれのパソコンでデータを細分化して共有する仕組みによりデータのやり取りをスムーズに行うソフトです。このような仕組みになっていることから,トレントにデータをアップロードした場合はもちろん,ダウンロードした場合もダウンロードするのと同時にアップロードをするというデータのやり取りを行っていることになります。

トレントを利用するとなぜ犯罪になるのか
著作権法119条1項によれば,著作権を侵害した場合には,10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科が予定されています。
この著作権侵害の中には,著作権法23条1項の公衆送信権侵害が含まれており,著作物を無断でインターネットにアップロードした場合に,この公衆送信権侵害になります。
トレントというのは,ダウンロードをすると同時に細分化したデータのアップロードを行い,共有者との間でデータのやり取りをすることになりますので,著作物を著作者に無断でアップロードしているということを理由として著作者の公衆送信権侵害を行っているということになります。
このように,著作権侵害があるため,著作権法119条1項の著作権侵害罪が成立することになります。

トレントを利用した場合に見込まれる刑罰はどのようになるか
トレントを利用した場合,ダウンロードしたデータについてダウンロードしただけではなく,同時にアップロードしていることになることから,少なくともダウンロードしたファイル分についての責任を負います。
そのため,警察にとって捜査する必要があると考えられた場合には,逮捕などがされる可能性があります。
トレントからの数点のダウンロードを理由として逮捕された場合に,裁判所で裁判が開かれ,実刑にしたり,執行猶予付きの有罪判決にしたりということは考えにくいのです。しかし,略式裁判を経て,罰金刑になる可能性はあります。
ただし,ダウンロードしたファイルの点数が多くなると,罰金ではすまず,裁判所での裁判が開かれるということになります。
また,アップロードした場合については,情状が悪くなる傾向があり,アップロードを行い,アップロードした点数も膨大に上るということになると,実刑判決を受ける可能性が出てきます。

トレントを利用したダウンロード行為について弁護士として何ができるか
まず,不起訴を目指すということであれば,ダウンロードしたファイルについて示談を行い不起訴にすることが考えられます。
ダウンロードした著作物が数点であれば,事件化したり,示談金も数百万円などの多額にはならないと考えられます。
ただし,アップロードしたような事件で,アップロードした点数も多数に上る場合,示談を行っても実刑になることが考えられます。
ただし,どのように悪質であっても,示談を行えば有利な事情として考慮されることにはなります。
執行猶予を目指すということであれば,ダウンロードしたファイルの点数が少ないことや,アップロードしたような事件でも,示談したという事情を主張することによって,執行猶予を目指すことができると考えられます。
いずれにせよトレントを利用して著作物に関するデータをやり取りしてしまったということであれば,迅速に弁護士に頼むことが良いと考えられます。

まとめ

このように、トレントを使用することが犯罪となってしまう場合があります。

トレントなどのファイル共有ソフトの使用で不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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