SNSだけでなく、グーグルマップなど公開されている情報に、実際に現地を体験した人が情報共有のため口コミを書き込むこともできるようになっています。各店舗も、集客のためこうした情報を利用しています。一方で、こうした機能が悪用されて、虚偽の内容を書きこまれることもあります。
ここでは、グーグルマップに投稿された口コミの削除を例に解説します。
【事例】
事例を基にしたフィクションです
AさんはB県C市において,蕎麦屋を営んでいる人です。
ある日,地元のタウン誌にそばの名店として特集が組まれ,客足が伸びていた頃,グーグルマップの口コミに「★1 店長がたかだか地元の雑誌に取り上げられたからと言って調子に乗っている。雑誌に取り上げられてから,客のいる前で『マジ,クソ客増えたわ』『神であるおれの作ったそばの味をほめろや写真なんて撮らずに』などと独り言を言っているし,閉店時間頃になると,レジ締めをやっているからなのか『いやー味もわからんバカ客から巻き上げる金サイコー!そば神から愛されてるわ!』という声が聞こえてきます。」という口コミがかかれていました。
Aさんは接客の際や,閉店時間のレジ締めの際もそういう独り言は言っておらず,そう言った声が聞こえてきたという常連さんの話もありませんでした。そのため,Aさんとしては,この口コミの削除を請求することにしました。
この場合,口コミの削除をどのような手段で行っていくのか解説していきます。
口コミの削除をどのようにするのか
この手段は①Googleの削除依頼をするという手段と,②裁判所に申し立てを行い,削除請求を行うという手段が考えられます。
Googleに削除依頼をする方法について
①「Google検索結果からウェブ検索結果を削除する」と検索して,グーグルの該当ページに入り,「法的な理由でコンテンツを削除するようリクエストする」という項目があるので,「法的な理由でコンテンツを報告」をクリックします。
②「法的な理由でコンテンツを報告」のページには行ったら,「リクエストを作成する」をクリックします。
③報告対象のコンテンツを選ぶよう言われますので,今回のようなAさんの場合,「Googleマップと関連プロダクト」を選択します。
④「どのプロダクトに関するリクエストですか?」と聞かれますので,「ローカルリスティング」を選択します。
⑤コンテンツを報告する理由について選択するよう言われますので,「法律に関するもの」を選択します。
⑥コンテンツを報告する理由について選択するよう言われますので,今回のAさんの場合,「名誉毀損」を選択します。(なお,他にも著作権侵害やヘイトスピーチなどについても報告をすることができます。)
⑦「リクエストを作成する」をクリックして,削除申請をする人が誰なのか,どういう記載が問題となっているのかについて詳しく書き込むページが出てきますので,そこでどういう投稿が問題になっているのか,これでどうして名誉が毀損されるのかということについて詳細に書いていきます。
なお,URLを書くよう求める欄がありますが,このURLは問題となる口コミの縦の「・・・」となっているところをクリックし,「口コミを共有」を選択することでそのURLを取得し,リンクを貼ることができます。
⑧リクエストを送信した後,1,2週間してGoogle側からの回答が返ってきます。そこで,削除するとの連絡や削除するために理由を追加してほしいなどの内容の連絡があります。
このような手段によって,Googleマップの口コミの削除を行うことができます。
裁判所に削除請求を申し立てる方法について
被申立人をGoogle LLCとして,仮処分としての削除仮処分を申し立てることも考えられます。
この場合には,グーグルマップの口コミの記載から,Aさんの名誉権が侵害されたということを主張することになります。
この手続によって,名誉権が侵害されていると大まかに認められる場合,通常の裁判より簡易,迅速に投稿された記事の削除を行わせるというものです。
今回の【事例】のような場合,口コミの投稿によって,Aさんの名誉権が侵害されていると考えられます。
そのため,今回のような事例の場合,Googleへの削除依頼や裁判所の仮処分によって投稿された口コミの削除が認められる可能性があります。
このような手続によって口コミの削除を請求することが考えられます。
名誉毀損を内容とするような口コミにお悩みの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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