インターネットの発達により、世界中の人が繋がることができるようになりました。特にSNSの普及で、気軽に他の人と繋がることができるようになりました。
一方で、性的な映像を簡単に目にするようになり、また他人に送ることも容易になりました。また、マッチングアプリなどで人と会うことも便利になりましたが、その一方で性犯罪に遭ってしまう恐れも高まりました。このため、世界中で青少年の性被害が多発しています。
ここでは、日本における性被害防止のための法律について解説します。
16歳未満の者に対する面会要求等罪
わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限ります。例えば、14歳の相手に対し17歳の者が行為した場合は含まれません。)は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(刑法第182条第1項)。
① 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
② 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
③ 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
この罪を犯した上で、よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(第2項)。
また、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第2号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限ります。)を要求した者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、第1項の犯罪と同様、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限ります。)は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
① 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
② 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。
児童ポルノ
18歳未満の児童(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法第2条第1項)について、写真のほか、画像データなど「電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物」であって、次のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものが児童ポルノに該当します。
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
18歳未満の児童のものと知って性的な画像をダウンロードしたりすれば、児童ポルノの所持に該当し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます(児童ポルノ法第7条第1項)。この児童ポルノを電子メールで他人に送るなどの提供をすれば、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(児童ポルノ法第7条第2項)。、ます。児童に裸の画像を取って送らせるなど性的な画像の作成に強く関与したのであれば、児童ポルノ製造に該当し、同様に3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(児童ポルノ法第7条第4項)。SNSに挙げるなど、不特定多数に提供した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処され、又はこの両方を科されます(児童ポルノ法第7条第6項)。
青少年健全育成条例
各都道府県の青少年健全育成条例では、青少年に児童ポルノなどの提供を求める行為や下着の買受などを禁止ししています。
東京都の青少年の健全な育成に関する条例では、次のように定め、児童ポルノや下着等の提供を求めることを禁止しています。
(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第十八条の七 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行つてはならない。
一 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ(以下単に「児童ポルノ」という。)又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
二 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
(着用済み下着等の買受け等の禁止)
第十五条の二 何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。
2 何人も、前項に規定する行為が行われることを知つて、その場所を提供してはならない。
第18条の7の規定に違反した場合、30万円以下の罰金に処されます(第26条第1項第7号)。
第15条の2第1項の規定に違反した場合、30万円以下の罰金に処されます(第26条第1項第4号)。これを業として行っていた場合は、50万円以下の罰金に処されます(第24条の4第1号)。
第15条の2第2項の規定に違反した場合、50万円以下の罰金に処されます(第24条の4第1号)。
まとめ
このように、様々な法律で青少年を性被害から保護しています。
インターネット上での性被害にお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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