最近,性交渉目的の出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った異性と金銭の授受のある性交渉を行い,後で「レイプだった」と言われたという事件が多く見られますので,解説していきます。
【事例】
事件を基にしたフィクションです。
Aさんは,甲という性交渉目的の出会いを目的とするマッチングアプリを利用し,Bさんと「1万円でマッサージをお願いします」(マッチングアプリの利用者間では「1万円でセックスをお願いします」という約束になることが暗に決まっている)という約束でラブホテルで出会い,1万円を渡して性交渉(暴行脅迫は無い,Bさんが睡眠中であったなどの事情も無い)をしました。
後日,警察から「マッチングアプリで知り合った人と出会い,レイプされましたとの被害届が出されています」との連絡を受け,Bさんに連絡を取ったところ,「あれはレイプだった,アプリも性交渉は許していないし,私も精神的苦痛を被った。1000万円払って,そしたら,被害届を取り下げるから」と言われました。
ただし,Aさんは逮捕されていません。
このような場合に,①どのような犯罪が問題となるのか,②弁護人はこのような事件にどのように対応するのかについて解説していきます。
問題となる犯罪
不同意性交等罪(刑法177条1項)
まず,不同意性交等罪の成立が問題となります。
不同意性交等罪が成立するためには,①刑法176条1項各号の事由かこれに類する事情が認められること,②同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じていると認められること,③性交等を行うことが認められる必要があります。
見込まれる刑罰
仮に,不同意性交等罪が成立するとなると,5年以上の懲役刑が予定されています。
そのため,情状酌量になるような事情が無ければ,実刑となり,すぐに刑務所に行くことになります。
弁護人としての活動
そのため,弁護士としては,①示談をするか,②犯罪になるような事件であると認めず,不起訴になるよう供述をコントロールするということが大事になってきます。
今回のような事例の場合,
もちろん,①の手段を選択して,起訴される前に1000万円で示談を行い,起訴猶予を理由とした不起訴を目指すということも可能です。この場合に弁護人を選任する利益としては,これ以上の不当要求を拒めるという利益があります。
こういった事例の場合,弁護人をつけこれ以上の金銭要求を拒めるような示談を無い限り,被害者が1000万円支払ってくれたから,なんか理由をつけて,更に取れると思い,「精神科に通うための治療費として500万円」などと言い出し,示談金がかさんでいく可能性があります。
そのため,弁護人を選任し,これ以上の金銭要求を拒める形での示談を行うことによって,1000万円支払って事件を不起訴にし,これ以上の不当要求を拒んで事件を解決するということが考えられます。
②の手段を選択することも考えられます。
今回のような事例の場合,Aさんは,Bさんに対して暴行や脅迫を行っていないですし,Bさんの寝込みを襲ったような事情もありません。不同意性交等罪の刑法176条1項各号の要件を満たす事情がありません。そもそも,マッチングアプリのやり取り上,同意して性交に及んだとみられる事情があります。
そのため,Aさんが犯罪を否定した場合,それなりに認められる可能性があります。
そのため,弁護人としては,依頼者に対して,継続的なアドバイスを行って,性犯罪事件ではないという形で話させ示談も何もせずに,不起訴を目指すということが考えられます。
この手段を取る場合,被害者からの金銭要求を弁護士を使って拒むことができますし,弁護士から,継続的なアドバイスをもらって,警察官の取調べに対応でき,不起訴になる可能性を上げるというメリットがあります。
このような弁護人としての活動が出来ますので,このようなトラブルに巻き込まれた場合には,迅速に弁護士に相談して,事件についての解決を目指すということができます。
出会い系サイトやマッチングアプリでのトラブルにお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
こちらの記事もご覧ください