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差別的投稿の削除についてーSNSでの差別を内容とする投稿の削除
X(旧Twitter)等のSNSでは、誹謗中傷や差別を内容とする投稿が行われることがしばしばあります。このように書き込まれた内容について削除請求をすることができるか解説します。
【事例】
Aさんは日本に住む在日韓国人です。
ある日,「B市のお祭りに参加しました。盆踊りサイコー」と写真付きで投稿したところ。
αを名乗るアカウントの人物から,「チョンコが祭りに参加すんのかよ,B市の伝統が汚れる」「こーいう奴が日本の伝統を乗っ取るんだよな,屋台をキムチまみれにする前に半島に帰れ」などと返信欄に書き込まれました。
このような書き込みがされた場合に,削除請求を行うことができるか検討します。
X(Twitter)での不適切な投稿があった場合,X社に報告フォームを使って対応を求めるか,裁判所の削除仮処分によって投稿の削除を求めることになります。
ただし,X社に報告フォームで報告しても削除されることは無く,「有害な投稿」という警告が付いたまま表示がされ続けるようです。
そのため,一応報告フォームに通報して削除を求めるとしても,裁判所の関与が必要になり,削除を求める場面が多いようです。
報告フォームを使って,X社に対応を求める場合
複数手段があるようです。
①対象のツイートから報告する方法
この場合,対象の投稿の「・・・」アイコンを選択して,【ポストを報告】を選択します。
その上で,どういう問題があるかを聞かれますので,「人種差別」,「ハラスメント」などを選択します。
例えば,「人種差別」を選択した場合,「差別的発言」,「人種差別的なアイコンの表示」などが表示され,それを選択することになります。
そうして,報告内容についてどういう問題があるのかX社で検討して,「有害な投稿」との表示を行ったり,投稿したアカウントの凍結を行います。
このように対応されていることから,問題となる投稿の削除ではなく問題となる投稿がXの利用者に見られないようにしています。
②対象のアカウントのプロフィールから報告する方法
プロフィールの「・・・」アイコンを選択します。
「○○さんを報告する」を選択し,報告する問題の種類を選択します。
そうすることで,X社がアカウントの凍結などの形で対応してくれます。
③ヘルプセンターから報告する方法
Xのヘルプセンターを開き,「ルールとポリシー」→「すべての記事を見る」→「違反の報告」の順に選択していきます。
その「違反の報告」の中で,報告を求める理由を選択し,X社に対応を求めます。
この①~③の手段を使うと,Xより,身分証を求められ,本人確認が済んだら,X社からツイートやアカウントの所有者に対して対応が行われるようです。
裁判所の手続を使ってX社に対応を求める場合
X社が取ってくれる対応が,利用者に見えにくくすることや,不適切な投稿を行ったアカウントの凍結であることや,X社の対応が悪い場合,裁判所を利用して投稿の削除を求めることになります。
具体的には,削除仮処分を申し立てることによって,Xのふてきせつな投稿の削除を求めることになります。
この場合,X社を被告として,どのような投稿によって名誉が侵害されたのか,URLは何かということを明らかにして投稿の削除を求めます。
この手段を使い,申し立てが認められるとX社はたいていの場合,投稿の削除に応じてくれます。
今回の事例の場合,「チョンコが来るな」とか,「半島に帰れ」と言った侮辱的,差別的な内容の投稿がされていることから,X社に対して報告を行うことと裁判所に対して削除仮処分を行うことが考えられます。
今回のような事例の場合,裁判所による削除請求を行う方が適切かと思われ,その手段を使うためには弁護士に依頼する必要があります。
SNSで差別的な投稿をされてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
こちらの記事もご覧ください
SNSでの投稿の削除についてーXに書き込まれた内容を削除請求できるか
SNSでの投稿の削除についてーXに書き込まれた内容を削除請求できるか
SNSは情報を手軽に広げることができますが、一方で、名誉毀損や侮辱に当たる表現も容易に拡散するおそれがあります。このようなときは、その内容を削除することが効果的です。
ここでは、X(旧Twitter)に書き込まれた内容の削除請求について解説します。
【事例】
Aさんは日本に住む在日韓国人です。
ある日,「B市のお祭りに参加しました。盆踊りサイコー」と写真付きで投稿したところ。
αを名乗るアカウントの人物から,「チョンコが祭りに参加すんのかよ,B市の伝統が汚れる」「こーいう奴が日本の伝統を乗っ取るんだよな,屋台をキムチまみれにする前に半島に帰れ」などと返信欄に書き込まれました。
このような書き込みがされた場合に,削除請求を行うことができるか検討します。
X(Twitter)での不適切な投稿があった場合,X社に報告フォームを使って対応を求めるか,裁判所の削除仮処分によって投稿の削除を求めることになります。
ただし,X社に報告フォームで報告しても削除されることは無く,「有害な投稿」という警告が付いたまま表示がされ続けるようです。
そのため,一応報告フォームに通報して削除を求めるとしても,裁判所の関与が必要になり,削除を求める場面が多いようです。
報告フォームを使って,X社に対応を求める場合
運営会社であるX社に対応を求める場合、複数手段があるようです。
①対象のツイートから報告する方法
この場合,対象の投稿の「・・・」アイコンを選択して,【ポストを報告】を選択します。
その上で,どういう問題があるかを聞かれますので,「人種差別」,「ハラスメント」などを選択します。
例えば,「人種差別」を選択した場合,「差別的発言」,「人種差別的なアイコンの表示」などが表示され,それを選択することになります。
そうして,報告内容についてどういう問題があるのかX社で検討して,「有害な投稿」との表示を行ったり,投稿したアカウントの凍結を行います。
このように対応されていることから,問題となる投稿の削除ではなく問題となる投稿がXの利用者に見られないようにしています。
②対象のアカウントのプロフィールから報告する方法
プロフィールの「・・・」アイコンを選択します。
「○○さんを報告する」を選択し,報告する問題の種類を選択します。
そうすることで,X社がアカウントの凍結などの形で対応してくれます。
③ヘルプセンターから報告する方法
Xのヘルプセンターを開き,「ルールとポリシー」→「すべての記事を見る」→「違反の報告」の順に選択していきます。
その「違反の報告」の中で,報告を求める理由を選択し,X社に対応を求めます。
この①~③の手段を使うと,Xより,身分証を求められ,本人確認が済んだら,X社からツイートやアカウントの所有者に対して対応が行われるようです。
裁判所の手続を使ってX社に対応を求める場合
X社が取ってくれる対応が,利用者に見えにくくすることや,不適切な投稿を行ったアカウントの凍結であることや,X社の対応が悪い場合,裁判所を利用して投稿の削除を求めることになります。
具体的には,削除仮処分を申し立てることによって,Xのふてきせつな投稿の削除を求めることになります。
この場合,X社を被告として,どのような投稿によって名誉が侵害されたのか,URLは何かということを明らかにして投稿の削除を求めます。
この手段を使い,申し立てが認められるとX社はたいていの場合,投稿の削除に応じてくれます。
今回の事例の場合,「チョンコが来るな」とか,「半島に帰れ」と言った侮辱的,差別的な内容の投稿がされていることから,X社に対して報告を行うことと裁判所に対して削除仮処分を行うことが考えられます。
今回のような事例の場合,裁判所による削除請求を行う方が適切かと思われ,その手段を使うためには弁護士に依頼する必要があります。
SNSに投稿された内容でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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インターネット記事の削除-掲示板のスレッドや書込みの削除について解説
インターネット上での名誉毀損に対する損害賠償請求
インターネット上で名誉毀損となる内容の投稿をされた場合、広範に拡散して大きな被害を受けるおそれがあります。このような場合、投稿をした者を特定して損害賠償を請求することが重要となります。
ここでは、5chに名誉毀損となる内容を書き込まれた場合に,書き込んだ人に対して損害賠償請求できるか解説します。
【事例】
事実を基にしたフィクションです。
AさんはB県C市においてAクリニックを開業している医者です。
ある日,5chの掲示板に「C市のAクリニックの院長が詐欺」というタイトルのスレッドが立ちあげられ,「この前,A院長が『最新の医療機器を導入する必要がある』と言って,C市に補助金を申請していたんです。しかし,今日『医療機器の件どうなりました?』と聞いたら,『買わない買わない,その話は補助金のための嘘だから』と言っていたんです。私としても,こういわれてしまい,どうしたらいいか分からず,ここに書いてみました。」と書き込まれている投稿を発見しました。
Aさんとしては,最新の補助金の申請をして,医療機器を買ったのは本当のことであるにもかかわらず,このような書き込みがされていたため,このような投稿をした人が誰なのかを明らかにして,損害賠償請求をしたいと考えました。
この場合に,発信者情報の開示を行い,書き込んだ人に対して損害賠償請求を出来るか検討していきます。
大きな流れ
このようなインターネットでの名誉毀損が行われた場合,書き込んだ人が誰だか分からないため,そのままでは書き込んだ人に対して損害賠償請求をすることができません。
そのため,まず,①発信者情報開示請求を行って,②名誉毀損を理由とする損害賠償請求を行うことになります。
発信者情報開示請求
まず,コンテンツプロバイダにIPアドレスの開示請求を民事保全請求の形で行い,次にアクセスプロバイダに対してIPアドレスの開示を裁判で行う手続で進んでいきます。
5chである場合,コンテンツプロバイダになるのは,Loki Technology,Incです。
そのため,まず,コンテンツプロバイダに対して,名誉毀損の対象となる投稿をURLやスクリーンショットから特定して,投稿の際に使われたIPアドレスと,ポート番号,送信された日時を開示するように求めます。
すると,コンテンツプロバイダからのIPアドレスの情報開示と,タイムスタンプについての連絡があります。
このように,コンテンツプロバイダからの情報開示があったことから,アクセスプロバイダに対して,発信者情報消去禁止仮処分を請求することになります。
発信者情報消去禁止仮処分が認められた場合,発信者が投稿した際に経由したアクセスプロバイダに対して,発信者情報開示請求の裁判を提起することになります。このアクセスプロバイダというのは,掲示板に投稿する際に使われた通信会社のことを指します。そのため,たとえば,NTTがアクセスプロバイダになります。
このように,裁判を行って,発信者情報の開示請求が認められた場合に,ようやく,名誉毀損の投稿を行った人物の名前と,住所を特定することができます。
損害賠償請求
このように,発信者情報を特定した場合,損害賠償請求に進んでいきます。
損害賠償請求の段階に入ったら,どのような書き込みがされたのか,これによってどんな損害を被ったのかということについて審理し,金銭による損害の回復を行う段階に入っていきます。
今回の事例の場合
今回の事例の場合,まず,Loki Technology,Incに発信者情報の開示を求め,次に,NTTなどに対して,発信者情報開示請求を行います。
そこで,ようやく発信者がXと特定され,その人に対して,Aさんが名誉毀損を理由とする損害賠償請求を行って行き,金銭による損害の回復を行うということになります。
注意点
注意点としては,ログの保存期間の関係から,アクセスプロバイダに対して開示請求を行ったとしても開示が認められない可能性もあることや,発信者がXさんと特定されても,書き込みをしたのはXさんの家でインターネットを使ったYさんが書き込んだと言われてしまい,損害賠償請求が認められないというケースもあります。
もし,インターネットのトラブルにあったため,書き込んだ人を何とかしたいということであれば,弁護士に依頼して,このような形で損害賠償請求を行っていくことになります。
インターネットのトラブルでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
こちらの記事もご覧ください。
インターネット記事の削除-掲示板のスレッドや書込みの削除について解説
詐欺の方法を記載したマニュアルを配布したら詐欺罪に問われるの?ーインターネット上での投稿において注意すること
「いただき女子」と称する女性が詐欺を実行する際のマニュアルを販売しており,その販売行為が問題となった事件がメディアで取り上げられました。
このような詐欺を実行する際のマニュアルの販売行為については,詐欺幇助として刑事責任を負うことになります。
ここでは,このような詐欺を実行する際のマニュアルの販売行為が詐欺になるのか解説します。
・詐欺罪について
刑法246条1項の詐欺罪が成立するためには,「人を欺いて財物を交付させた」と言えなければならないとされています。
まず,財物交付の基礎となる重要な事実についてうそを言ったということが言えなければなりません。
財物交付の基礎となる重要な事実というのは,例えば,会社を設立するつもりが無いのに,「会社を作るから,株主になってほしい」などの事実を言うことを指します。会社を作るか作らないかということは,株を購入する株主にとって株式の価値を増加させることができるかどうかという関心ごとに関わることですので,財物交付の基礎となる重要な事実ということができます。
また,同様に,結婚するつもりがないにもかかわらず,「結婚するから,日々のアパートの家賃を払ってほしい」というのも,相手の歓心を買い相手と結婚するかどうかが重要な事実となっていることから,この事実を偽っている場合は,欺いたということに該当することになります。
・詐欺幇助について
そのため,詐欺幇助となる場合というのは,こういった欺罔行為を助けた場合です。
このように助けたということが言えるためには,他人の犯罪を容易ならしめる行為を,それと認識,認容しつつ行い,実際に正犯行為が行われたということが言えなければなりません。
例えば,名古屋地方裁判所令和6年4月22日判決によりますと,「いただき女子」のマニュアルに記載されていた内容について,「男性を篭絡して自己に好意を抱かせた後に同男性に対して家賃の支払いを滞納しているなど自分が経済的苦境に陥っている旨の種々のうそを告げて同男性から現金をだまし取る方法などを記載した」と認定されており,このマニュアルを使って男の篭絡方法について助言をし,実際に詐欺を行った人の犯行を容易にしたため詐欺幇助を行ったということが認定されています。
そのため,このようにマニュアルを販売し,助言をすることについては少なくとも,詐欺罪の幇助犯になるようです。
一方,ただマニュアルを販売した点について詐欺罪に問えるかということが問題になりますが,これについては,マニュアルというものは,詐欺にしか利用できないものではないので,具体的にある人物が詐欺に利用するという認識がありつつ,このようなマニュアルを提供したということが言える事情がなければ詐欺罪の幇助として刑事責任を問うことは困難であると考えられます。
・このような事件の弁護活動
近年,「いただき女子りりちゃん」のマニュアルを真似てインターネットで販売する例があるということをニュース等で耳にします。
「いただき女子」に限らず,詐欺の事件というものは,金額が100万円を超えたら,実刑になることが考えられる類型の犯罪です。
そのため,数百万円の示談を行い不起訴や執行猶予をねらうか,実刑の中でも軽い刑罰を目指すかということが重要な関心ごとになります。
このようなマニュアルの販売行為というものについて,マニュアルを販売しただけではなく,助言までしていたということであれば詐欺の幇助として,罪責を負うことは間違いないのですが,単なる販売のみをとらえて詐欺罪の幇助に問うことは難しいです。
この場合の弁護士の弁護活動としては,助言を行っていないということ,具体的に詐欺行為が行われることを認識した上でマニュアルを提供したわけではないということ,示談を行い被害回復を行ったことを主張することになると考えられます。
他にも,マニュアルを販売し,だまし取った犯人に代わって示談を行い,被害回復に努めることが考えられます。詐欺罪というのは,財産犯ですので,財産的被害の回復が行われた場合,被害回復が済んでいるということになり不起訴であったり,有利な事情として考慮されることになります。
このように、インターネット上で犯罪の方法を公開するようなことをした場合、罪に問われる可能性があります。
インターネットでの情報の公開について不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
インターネット記事の削除-掲示板のスレッドや書込みの削除について解説
5chのような掲示板に書き込まれた記事の削除をしたい場合に,どのようにすれば削除することができるか解説します。
【事例】
事実を基にしたフィクションです。
Aさんは一般生活を送る主婦です。
ある日,5chの掲示板に,「A(本名)さんのやってきた悪行一覧」というタイトルのスレッドが立ちあげられ,「AというやベーBBAが○○市○○(細かい住所)にいてさ,Aのやってきた悪行一覧がこれ,①生活保護受給資格が無いのに,生活保護を受給,②風俗店で勤務し,ヤクザを使って恐喝(以下略)」と最初に書き込まれ,「>>1 こいつマジバカだろ,大体生活保護不正受給については,マジでパクられたしな。ソースはこれな(URL)」「>>1 風俗で,ゆすりとか終わってんなwww強盗で捕まって死刑にでもなればいいのに」と続いて書き込まれました。なお,Aさんが,風俗店で勤務し,ヤクザを使って恐喝を行ったことについては,虚偽の事実であることが,法律相談で判明しました。
5chの記事の削除はどのようにするのか
大まかに,裁判によらない方法と裁判による方法があります。
裁判によらない方法というのは,削除申請フォームに申請し,投稿の削除を行ってもらう方法です。
裁判による方法というのは,発信者情報開示請求を行い,削除の仮処分を行う方法です。
5chで削除申請を行う方法
「5ちゃんねる」のトップページ右側の「削除ガイドライン」というリンクから,削除要請版に飛び,「5ちゃんねる削除体制」というページの【削除フロー】に書かれたメールアドレスにメールを送ることで,削除することができる場合があります。
このメールには,件名を「削除申し立て」として,内容に「URL,レス番号,削除理由」を書き,「理由を根拠づける資料(あれば),本人確認のための資料」を添付する必要があります。
この削除対象になる判断基準として,5チャンネル側は1名誉,2プライバシー,3平穏に生活する利益,4社会に害悪が生じる現実的危険のある情報についてリクエストのあった記事について削除すると宣言しています。
なお,犯罪に関する情報や法人に関する情報については,原則として,裁判手続によって仮処分を取得する司法判断を経てから応じると宣言しています。
そのため,Aさんについても,1の名誉や2のプライバシーにかかわる情報を書き込まれたとして,削除ガイドラインに基づき削除要請をすることができます。
なお,この削除申請ですが,本人が削除申請を行うことは出来るのですが,この削除申請については,ノウハウのある弁護士に頼むべきです。
また,弁護士以外の人に頼むことについては,弁護士法72条,27条によって禁止される非弁行為に該当する可能性がありますので,弁護士以外に頼むことは控えるべきです。
裁判所の仮処分によって投稿の削除を行う方法
5chの削除ガイドラインの方針としては,「犯罪に関する情報及び法人に関する情報に関する情報の場合は,原則として,裁判手続によって仮処分を取得して,司法判断を待つことにする」とされています。そのため,犯罪報道に関する情報が書き込まれている場合は,裁判所の仮処分によって削除申請をすることしかできないという場合があります。
裁判所の仮処分によって投稿の削除を行う方法としては,投稿記事削除仮処分を行う方法があります。
この手続は,名誉権あるいは,プライバシー権などが侵害されているとおおむね認められる場合,通常の裁判よりも迅速かつ,簡易な手続によって暫定的に投稿記事の削除を行わせるものです。
この判断については,裁判所に申し立ててから,1か月から2か月程度で結論が出るとされています。そのため,比較的迅速に記事の削除を行わせることができます。
この手続についてもノウハウのある弁護士に頼むことが望ましいです。
また,弁護士や,裁判所から見てどのような書き込みがどのような文脈で出てきたのか分かりやすくするために,書き込まれた記事のスクリーンショットを残しておくと望ましいです。
記事の削除を行わせる場合の注意点
記事の削除を行わせる場合,ログも削除されるのが一般的です。そのため,投稿された記事の削除だけではなく書き込んだ人に対しても責任追及を行いたいという場合,記事の削除ではなく,発信者情報開示請求によるべきです。
この記事の削除については,あくまで,書き込んだ人に対して責任追及を行うつもりはないが,投稿された記事が削除されればそれで,事件が沈静化するという人にとっては有効な手段です。
【事例】の場合の対処方法
この事例の場合,Aさんについての過去の犯罪報道や,別の犯罪行為についての記事が書かれています。
このうち,少なくとも②の風俗店に勤務してゆすりを行ったという事実については虚偽の事実ですので,名誉権侵害を理由として削除請求をすることができます。
また,Aさんの住所について正確な住所が書かれていますので,この点をとらえて,プライバシー権侵害を理由に削除請求をすることができます。
続いて,方法ですが,今回の事例の場合,Aさんの住所について正確に書かれていますので,プライバシー侵害を理由に最初に書き込んだ人の投稿を削除ガイドラインで削除するよう申請することは可能であると考えられます。
一方,最初に書き込んだ人に続いて,書き込んだ人については,個人の犯罪に関する情報ですので,5chへの削除申請によって対応してもらうことは期待できません。そのため,裁判手続を用いて削除するよう仮処分の申し立てを行うことになります。
仮処分による場合,少なくとも,事実無根のAさんが風俗店で恐喝を行ったことの記事については削除が認められそうです。一方,犯罪報道として存在している生活保護の詐取については,事件が発生してから長い年月が経過した等の事情が無い限り削除は簡単には認められないということになります。
このようにインターネット上の投稿の削除は複雑で、法律専門家の弁護士に依頼することで適切な対応が可能になります。
インターネットの記事にお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
チケットの不正転売ーチケットの不正転売に関わった場合にどのような刑事罰を受けるかについて解説
【事例】
Aさんは,イベントのチケットを大量に購入して販売するということを長年繰り返している人です。
ある日,Aさんは,ミュージシャンαのコンサートのチケットを正規の販売会社からインターネットで自宅から購入し,販売価格より高額でBさんに販売しました。
このαのコンサートのチケットは,転売してはならないとの特約が付いており,日時・場所,座席指定がされており,購入者についての連絡先やメールアドレスを購入の際に登録する必要があったものでした。
以上を前提として,
①どのような犯罪が成立するか,
②犯罪が成立するとして,どのくらいの刑罰が予定されているか
について解説していきます。
成立する犯罪について
・詐欺罪
まず,詐欺罪の成立が考えられます。
刑法246条2項の詐欺罪が成立するためには,人を欺いて「財産上の利益を得」たということが言えなければなりません。
不正転売について,詐欺罪になると考えられるのは,転売する意思を秘して,チケット販売者に転売してはならないチケットの購入の意思表示をしているためです。
この詐欺罪に該当すると判断された例として,神戸地方裁判所平成29年9月22日判決の例があります。
この事件では,ミュージシャンのライブコンサートの転売が禁止されている電子チケットを転売目的で注文し,チケット販売会社の社員に転売目的がないとの誤信させ,ライブコンサートの電子チケットの送信を受けたという事件です。
この事件について裁判所は,転売目的を秘することについて,「その性質上販売数が限定されているものであり,営利目的転売を企図した購入が横行すると,真にコンサートに参加したい一般客の機会が奪われ,又は一般客が適正価格を著しく超過した暴利価格を支払うことを余儀なくされ,最終的に音楽業界全体に大きな不利益が生じる」ため,財産上の利益の移転のための重要な事項に当たるため,転売目的を秘して注文した行為を人を欺く行為に該当すると判断しています。
そのため,チケットの転売目的があるのか,転売目的があるとして,転売目的があるかどうかを見分ける仕組みがあり,その仕組みを欺いたと言えるかどうかが問題となります。
・迷惑防止条例(ダフ屋規制)
次に,都道府県の迷惑防止条例違反が考えられます。
迷惑防止条例上,ダフ屋規制がされており,迷惑防止条例上のダフ屋行為に該当する場合,迷惑防止条例違反を理由に処罰されます。
例えば,東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」2条1項によれば,「何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。」と規定されています。
つまり,コンサートの観覧券をチケット販売店で転売目的で購入したことを理由に処罰されるというものです。
しかし,この規定の問題点としては,「公共の場所」で買わなければならないことから,自宅でインターネットでチケットを購入する行為を処罰することができません。そのため,インターネットを用いたチケットの高額転売に対して,対処できない規定になっています。
・チケット不正転売禁止法
チケットの転売そのものについては、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(チケット不正転売禁止法)による処罰ということも考えられます。
チケット不正転売禁止法上販売が規制される「特定興行入場券」というのは,チケット不正転売防止法2条3項によれば,以下のように定義されています。
「一 興行主等(興行主(興行の主催者をいう。以下この条及び第五条第二項において同じ。)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者をいう。以下同じ。)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたものであること。
二 興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(興行主等が当該興行を行う場所に入場することができることとした者をいう。次号及び第五条第一項において同じ。)又は座席が指定されたものであること。
三 興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第一号に規定する方法により表示し又は表示させたものであること。
イ 入場資格者が指定された興行入場券 入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。)その他の連絡先(ロにおいて単に「連絡先」という。)
ロ 座席が指定された興行入場券(イに掲げるものを除く。) 購入者の氏名及び連絡先」
簡単に言うと,①正規のチケット販売業者が販売する紙のチケットかQRコードであること,②入場資格者の氏名か,指定席で購入されるもの,③入場者の氏名,電話番号,メールアドレスを確認する措置が購入の際にとられているチケットである必要があります。
また,チケット不正転売禁止法上の「不正転売」というのは,チケット不正転売防止法2条4項によれば,「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」を指します。
つまり,正規のリセール業者ではないにもかかわらず,チケットを販売価格よりも高く販売する行為を規制対象としています。
このように,チケット不正転売行為を定義した上で,チケット不正転売禁止法3条,9条により,不正転売を行った場合に処罰することを規定しています。
このチケット不正転売禁止法は3条で不正転売行為を禁止しているだけではなく,4条で不正転売されたチケットを購入する行為についても規制されています。
そのため,購入者についても,チケット不正転売禁止法により処罰されます。
見込まれる刑罰
詐欺罪の法定刑は,10年以下の懲役が予定されており
迷惑防止条例違反の場合,6月以下又は,50万円以下の罰金が予定されており,
チケット不正転売禁止法違反の場合,1年以下の懲役又は,100万円以下の罰金が予定されています。
実際の量刑傾向としては,前科前歴のない人が詐欺罪で有罪になるとしても,執行猶予付きの有罪判決になっている例が多いです。
迷惑防止条例違反については,罰金で略式起訴され有罪になる例が多いです。
チケット不正転売防止法での例としては,ほとんどが罰金刑で有罪になっているようです。
弁護活動
そのため,弁護活動としては,詐欺罪での起訴を避ける方向で検討することになります。
事例についての検討
事例について,Aさんは,少なくとも,正規の販売会社を通じてチケットを購入していること,指定席での観覧が予定されていること,本人確認の措置が購入の際にとられていること,正規の価格より高額でBさんに販売していることから,チケット不正転売防止法で刑事処分を受けることが想定されます。
詐欺罪による処分については,Aさんが,転売目的を秘していたか,チケット購入の際に不正転売を防止できるような仕組みになっていたかによって判断されます。
また,Bさんについては,正規のチケット代と異なる規制対象となるチケットを購入していることから,チケット不正転売防止法による刑事処分が想定されます。
まとめ
このように、チケットの転売により刑事処分を受ける可能性があります。
チケットの転売について不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
トレント利用による犯罪と法的問題点について解説
Bit Torrentやμトレントというものは,P2P方式のファイル共有ソフトです。
このトレントを使った場合にどのような犯罪が成立するか解説します。
トレントとは何か?
トレントとは,クラウドコンピューティングなどのようにどこかのサーバーにデータを保存する仕組みではなく,それぞれのパソコンでデータを細分化して共有する仕組みによりデータのやり取りをスムーズに行うソフトです。このような仕組みになっていることから,トレントにデータをアップロードした場合はもちろん,ダウンロードした場合もダウンロードするのと同時にアップロードをするというデータのやり取りを行っていることになります。
トレントを利用するとなぜ犯罪になるのか
著作権法119条1項によれば,著作権を侵害した場合には,10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科が予定されています。
この著作権侵害の中には,著作権法23条1項の公衆送信権侵害が含まれており,著作物を無断でインターネットにアップロードした場合に,この公衆送信権侵害になります。
トレントというのは,ダウンロードをすると同時に細分化したデータのアップロードを行い,共有者との間でデータのやり取りをすることになりますので,著作物を著作者に無断でアップロードしているということを理由として著作者の公衆送信権侵害を行っているということになります。
このように,著作権侵害があるため,著作権法119条1項の著作権侵害罪が成立することになります。
トレントを利用した場合に見込まれる刑罰はどのようになるか
トレントを利用した場合,ダウンロードしたデータについてダウンロードしただけではなく,同時にアップロードしていることになることから,少なくともダウンロードしたファイル分についての責任を負います。
そのため,警察にとって捜査する必要があると考えられた場合には,逮捕などがされる可能性があります。
トレントからの数点のダウンロードを理由として逮捕された場合に,裁判所で裁判が開かれ,実刑にしたり,執行猶予付きの有罪判決にしたりということは考えにくいのです。しかし,略式裁判を経て,罰金刑になる可能性はあります。
ただし,ダウンロードしたファイルの点数が多くなると,罰金ではすまず,裁判所での裁判が開かれるということになります。
また,アップロードした場合については,情状が悪くなる傾向があり,アップロードを行い,アップロードした点数も膨大に上るということになると,実刑判決を受ける可能性が出てきます。
トレントを利用したダウンロード行為について弁護士として何ができるか
まず,不起訴を目指すということであれば,ダウンロードしたファイルについて示談を行い不起訴にすることが考えられます。
ダウンロードした著作物が数点であれば,事件化したり,示談金も数百万円などの多額にはならないと考えられます。
ただし,アップロードしたような事件で,アップロードした点数も多数に上る場合,示談を行っても実刑になることが考えられます。
ただし,どのように悪質であっても,示談を行えば有利な事情として考慮されることにはなります。
執行猶予を目指すということであれば,ダウンロードしたファイルの点数が少ないことや,アップロードしたような事件でも,示談したという事情を主張することによって,執行猶予を目指すことができると考えられます。
いずれにせよトレントを利用して著作物に関するデータをやり取りしてしまったということであれば,迅速に弁護士に頼むことが良いと考えられます。
まとめ
このように、トレントを使用することが犯罪となってしまう場合があります。
トレントなどのファイル共有ソフトの使用で不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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