クラウドとは、インターネットを通じてサーバー・ストレージやアプリケーションなどを利用できる仕組みをいいます。
インターネット経由で利用者にサービスを提供する形態のことです。
オンライン上でソフトウェアの利用やデータのやり取りが可能になります。
自分が使っている目の前のパソコンやスマートフォンの中ではなく、別の場所にあるコンピューターの中にデータを入れておき、インターネットを通じて利用することになります。
個人であれば、MicrosoftのOneDriveやAppleのiCloudを利用すれば、自分のパソコンやスマートフォンの中にデータを保存しなくても、インターネットを通じてクラウドにデータを保存しておき、利用することができます。
写真の保存などで広く利用されております。
事業活動では、アマゾンウェブサービス(AWSクラウド)が有名で広く利用されております。
クラウドが登場する前は、自分たちで情報システムを保有し、自分たちの設備内で運用することが当たり前でした。
しかし、こうしたシステムは費用や管理コストがかかり、特に企業にとって大きな負担となっていました。
クラウドが登場したことによって、よりコストを抑えたうえで、便利に利用することができるようになりました。
クラウドは世界的に広まり、多く利用されるようになりました。
クラウドシステムは今の社会で重要性が高まっております。
便利で広く利用されておりますが、トラブルも発生します。
クラウド事業者が、誤ってクラウド内のデータを消去させてしまう可能性があります。
クラウド事業者に対して、利用契約違反・債務不履行に基づく損害賠償請求が考えられます。
しかし、基本的には契約時の約款に記載された賠償額の上限の取り決めに従って対応され、支払われることになります。
約款の上限額が不当に低いような場合は、この条項は無効となります。
民法でも、「条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項(※ 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。」と規定されております。
利用者がデータのバックアップを取っておかなかったら、過失相殺で減額される可能性もあります。
利用者は、クラウドだけに頼らず、別でデータのバックアップをしておき、万が一に備えておく必要があります。
クラウドの不具合により、一定期間の間に利用できなくなり、事業活動に支障が出て損害が発生することもあります。
原因は、クラウド事業者のサーバーのオーバーヒートや人為的ミスなどによるものです。
ネットニュースでも、クラウドの不具合で多くの企業の活動に支障が生じていることが報道されることがあります。
クラウドを利用している以上、このような障害を避けることは難しいです。
やはり、クラウド事業者に対する債務不履行に基づく損害賠償請求が問題となってきます。
クラウドを利用している企業は、クラウド事業者の過失で個人情報が漏洩してしまうリスクがあります。
セキュリティーが甘く、サイバー攻撃で漏洩してしまうこともあります。
顧客だけでなく、企業としても社会的信用を大きく失うことになり、被害は大きなものとなってしまいます。
この場合、流出させたのがクラウド事業者だとしても、企業は顧客に対して損害賠償責任を負います。
企業は、クラウド事業者に対して、企業に発生した損害を賠償請求することになります。
しかし、全額の賠償が認められるとは限りません。
企業は、クラウド事業者の選定を慎重にし、契約後も事業者を変える可能性を考慮して対応しなければなりません。