著作権侵害にならないために

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

著作権侵害とは

他人が創作した写真、動画、イラスト、文章、音楽などの著作物を、著作権者の許諾なくインターネット上に掲載するなど、著作権法が定める権利を侵害する行為をすると、民事上の責任や刑事責任を問われる可能性があります。

特に、インターネットを通じて事業活動を行っている場合には、他人の写真や文章、動画、音楽などを利用する機会が多いため、著作権侵害に注意する必要があります。

著作権侵害が発覚すると、利用の差止めや損害賠償を求められるだけでなく、企業の社会的信用に影響する可能性もあります。

著作権侵害に対する差止め

著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、著作権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます。

また、侵害の停止又は予防のために必要な措置として、侵害行為を組成した物、侵害行為によって作成された物、侵害行為に専ら供された機械・器具などの廃棄を請求することもできます。

そのため、著作権を侵害してインターネット上に写真や動画などを掲載した場合、単に掲載を続けることができなくなるだけでなく、一定の場合には掲載に使用した物などについても廃棄等を求められる可能性があります。

著作権侵害による損害賠償

著作権を侵害した場合、故意又は過失があれば、著作権者等から損害賠償を請求される可能性があります。

著作権侵害による損害額を被害者が立証することは難しい場合があるため、著作権法には損害額の算定について一定の推定規定が設けられています。

例えば、侵害した者が侵害行為によって利益を得ている場合には、その利益の額を損害額と推定する規定などがあります。

著作者人格権を侵害した場合

著作権とは別に、著作者には著作者人格権があります。著作者人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権などがあります。

著作者人格権を侵害した場合、著作者は、損害賠償とは別に、又は損害賠償に代えて、著作者であることを確保するための措置や、訂正、その他名誉・声望を回復するために適当な措置を請求することができます。

例えば、著作者の名前を表示せずに作品を公表したり、著作者の意に反して作品を改変したりした場合には、著作者人格権の問題となる可能性があります。

著作権侵害の刑事罰

著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した場合、一定の要件の下で刑事責任を問われる可能性があります。

著作権等の侵害については、10年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科が定められています。

また、法人の代表者や従業員などが、その法人の業務に関して著作権等を侵害した場合には、行為者だけでなく、法人についても罰金刑の対象となることがあります。著作権等侵害については、法人に対して3億円以下の罰金が科される場合があります。

もっとも、著作権法上の刑事罰はすべての著作権法違反に一律に適用されるものではなく、具体的な行為や違反した権利によって罰則が異なります。また、一定の著作権等侵害罪については、非親告罪となる場合を除き、原則として告訴がなければ公訴を提起することができません。

著作権者から許諾を得て利用する

著作権を侵害しないためには、原則として著作権者から利用の許諾を得る必要があります。

著作権者は、他人に対して著作物の利用を許諾することができます。

利用許諾を受けた者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内で著作物を利用することができます。

また、著作権法上の利用権は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができません。

そのため、例えば「ホームページへの掲載は許可されたが、SNSへの転載までは許可されていない」という場合には、許諾された範囲を超えて利用しないよう注意する必要があります。

許諾を得ずに著作物を利用できる場合

著作権法には、一定の場合に著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる権利制限規定があります。

したがって、著作権者の許諾を得ていないというだけで、必ず著作権侵害になるわけではありません。

例えば、次のような場合があります。

私的使用のための複製

著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とするときは、一定の要件の下で複製することができます。

ただし、私的使用目的であっても、法律が定める例外に該当する場合には、この規定による複製が認められません。

例えば、公衆の使用に供することを目的として設置された自動複製機器を用いて複製する場合などが挙げられます。

引用

公表された著作物は、一定の要件を満たせば引用して利用することができます。

著作権法32条では、引用が「公正な慣行に合致するもの」であり、かつ、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」で行われることなどが求められています。

したがって、他人の文章や画像を自分のウェブサイトに掲載し、「引用元」を記載するだけで自由に利用できるわけではありません。

引用に当たるかどうかは、利用の目的や方法、著作物の性質、利用される範囲などを踏まえて判断する必要があります。文化庁も、引用については、公表された著作物であることに加え、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内であることが必要としています。

非営利・無料での上演等

著作物は、一定の要件を満たす場合、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合などには、公に上演、演奏、上映又は口述することができます。

ただし、実演家等に報酬を支払う場合など、法律上の要件を満たさない場合には、この規定による利用は認められません。

新聞・雑誌の論説等の利用

新聞紙又は雑誌に掲載して発行された、政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説については、一定の要件の下で、他の新聞紙・雑誌への転載や放送等が認められています。

ただし、転載等を禁止する旨の表示がある場合などには、この規定は適用されません。

時事の事件の報道

写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、その事件を構成し、又はその事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物について、報道の目的上正当な範囲内で利用できる場合があります。

例えば、事故や事件を報道する際、その現場に掲示されていた著作物などが偶然写り込む場合が考えられます。

ただし、どのような場合でも自由に利用できるわけではなく、時事の事件を報道する目的との関係で、正当な範囲内であることなどが必要です。文化庁も、この規定について「時事の事件」を「報道」する場合の例外であると説明しています。

著作権の保護期間

著作権の保護期間は、著作物の創作時から始まり、著作者が個人である場合には、原則として著作者の死後70年を経過するまでです。

そのため、「著作者が亡くなってから70年が経過すれば、その著作物について著作権者の許諾なく利用できる」というのが原則です。

ただし、著作権の保護期間が終了していても、著作権とは別の著作隣接権などが存続している場合があります。また、著作者人格権についても注意が必要です。

したがって、古い音楽や映像などについては、「著作権の保護期間が切れているから自由に使える」と直ちに判断するのではなく、利用しようとする対象について他の権利が残っていないかを確認する必要があります。文化庁も、保護期間が満了した著作物については自由利用が可能である一方、録音物には実演家やレコード製作者の著作隣接権が存在する場合があると説明しています。

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