※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。
個人や会社が利用するコンピューターやオンラインサービスに対して、不正アクセスが行われる事件が発生しています。
不正アクセスとは、アクセス制御機能によって利用が制限されているコンピューターに対して、他人のIDやパスワードなどの「識別符号」を不正に入力するなどして、その制限を免れ、制限されている機能を利用できる状態にする行為などをいいます。
不正アクセスによって、電子メールやSNSなどのアカウントを不正に利用されたり、保存されている情報を閲覧されたりするなどの被害が生じることがあります。
不正アクセス行為は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」といいます。)によって規制されています。
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則や、その再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置などを定めています。その目的は、電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止や、アクセス制御機能によって実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することにあります。
不正アクセス行為の禁止
不正アクセス禁止法3条では、何人も、不正アクセス行為をしてはならないと定めています。
不正アクセス行為に該当する行為は、例えば、アクセス制御機能によって利用が制限されているコンピューターについて、正当な権限を持たない者が他人のIDやパスワードなどを入力し、その利用制限を免れてコンピューターを利用できる状態にする行為などです。
不正アクセス行為を行った者は、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます。
他人の識別符号を不正に取得する行為
不正アクセス禁止法4条では、不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得する行為を禁止しています。
ここでいう識別符号には、IDやパスワードなどが含まれます。
この規定に違反して、他人の識別符号を不正に取得した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます。
不正アクセス行為を助長する行為
不正アクセス禁止法5条では、正当な理由がないのに、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、アクセス管理者やその識別符号の利用権者以外の者に提供する行為を禁止しています。
もっとも、業務上必要な場合など、正当な理由がある場合は規制の対象となりません。
この規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処されます。
また、相手方が不正アクセス行為をする目的を有していることを知りながら、その相手方に他人の識別符号を提供した場合には、より重い罰則が適用され、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます。
他人の識別符号を不正に保管する行為
不正アクセス禁止法6条では、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得された他人の識別符号を保管する行為を禁止しています。
この規定に違反して他人の識別符号を不正に保管した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます。
識別符号の入力を不正に要求する行為
不正アクセス禁止法7条では、いわゆるフィッシング行為について規制しています。
具体的には、アクセス管理者になりすましたり、アクセス管理者であると誤認させたりして、識別符号を付された利用権者に対し、インターネットや電子メールなどを利用して、その識別符号を入力することを求める行為が禁止されています。
この規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます。
アクセス管理者による防御措置
不正アクセス禁止法8条では、アクセス制御機能を付加したアクセス管理者について、一定の防御措置を講ずる努力義務を定めています。
アクセス管理者は、アクセス制御機能に係る識別符号や、それを確認するために使用する符号を適切に管理するとともに、アクセス制御機能の有効性を検証し、必要があると認めるときには、その機能の高度化その他、不正アクセス行為からコンピューターを防御するために必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。
都道府県公安委員会による援助
不正アクセス禁止法9条では、都道府県公安委員会による援助について定めています。
都道府県公安委員会は、不正アクセス行為が行われたと認められる場合において、その不正アクセス行為に係るコンピューターのアクセス管理者から、再発防止のための援助を受けたいとの申出があり、その申出を相当と認めるときは、必要な援助を行うものとされています。
具体的には、不正アクセス行為が行われた際のコンピューターの作動状況や管理状況などに関する資料の提供を受けた上で、不正アクセス行為の手口や原因に応じて、コンピューターを不正アクセス行為から防御するために必要な応急措置が的確に講じられるよう、資料の提供、助言、指導その他の援助を行います。
また、都道府県公安委員会は、アクセス制御機能を有するコンピューターを不正アクセス行為から防御するための啓発や知識の普及に努めることとされています。
