業務妨害・脅迫

業務妨害罪

業務妨害罪については大きく2種類あります。

まず、刑法233条の偽計業務妨害罪です。

この犯罪は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて…(中略)…その業務を妨害した」場合に成立します。

「虚偽の風説の流布」とは、客観的真実に反するうわさや情報を不特定又は多数人に伝播することを指します。簡単に言えば、嘘のうわさを広めるということです。

また、「偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤又は不知を利用することを指します。偽計に当たる例としては、虚偽の通報などです。

もう一つの業務妨害罪というのは、刑法234条の威力業務妨害罪です。

この犯罪は、「威力を用いて人の業務を妨害した」場合に成立するとされています。

この「威力」というのは、人の自由意思を制圧するに足りる勢力をしめすことを指します。

この威力の例に当たるのが、働いている人を殴るというのもそうですが、働いている人に向けて七輪の煙を向けるということもこの威力に含まれます。

特にインターネットで問題になる業務妨害罪の例は何か

インターネットで問題になる業務妨害罪の例は、SNSや電子掲示板に「明日、○○駅で通行人を片っ端からナイフで突き刺して殺す」などの虚偽の犯罪予告を行う事例です。

このような虚偽のインターネットの書き込みをした場合、○○駅周辺での警察官のパトロール体制を強化せざるを得なくなり、警察官に無意味な巡回活動を強いることになるためです。そうすると、本来やるはずだった警察官の仕事ができなくなり、警察官の業務が妨害されます。

また、最近問題になる事例として、炎上系ユーチューバーの非行動画があります。問題となった事例としては、すし屋の醤油さしの注ぎ口をなめたり、スーパーで精算前に刺身を食べたりという様子を撮影して、ユーチューブにアップする事例があります。

このようなことをすることで、店員が醤油さしをきれいにするよう管理することを徹底せざるを得なくなったり、商品管理を厳しくせざるを得なくなるため、業務が妨害されると考えられます。

脅迫罪

インターネットで問題になりえる犯罪としてはもう一つ脅迫罪というものもあります。

刑法222条の脅迫罪が成立するためには、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」と言えなければなりません。

インターネットで脅迫罪になる例としては、SNSで有名人に対して、「スタジオの入り口で待ってろ、刺すからな」などのメッセージを送ることがこういう犯罪の例に当たります。

逮捕される可能性

業務妨害罪であったり、脅迫罪であったりということで逮捕される可能性はあります。

ただし、インターネットでの場合、誰が書き込んだのかなどが特定できなければ逮捕などをすることができないので、特定して、処罰するということにはある程度難しいところはあります。ですが、IPアドレスから特定して、犯人を特定するということは行われます。

そのため、インターネットだからと言って特定されないということはありません。

どのくらいの刑罰が予想されるのか

業務妨害罪の場合、法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が予定されています。

脅迫罪の場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が予定されています。

そのため、どちらの犯罪であっても、初犯で財産的被害も少ないということであれば、罰金刑になる可能性は十分あります。

しかし、ユーチューブにアップロードされ、会社全体の信用を失わせるような内容になっていたり、脅迫の程度がひどかったりすると、業務妨害罪や脅迫罪で、執行猶予付きの有罪判決であったり、実刑になるということはあり得ます。

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