ホームページ関連トラブル

ホームページ開発契約と請負契約、委任契約

まず、請負契約(民法632条)と委任契約(民法643条)の違いを確認しておきます。

この契約はどちらも、サービスの提供を行う契約です。

しかし、二つの契約には、以下の2点に違いがあります。

  1. 引き受けた仕事を完成させる必要があるか
  2. 報酬の支払いが必要か

という点です。

請負契約と委任契約の違い

①の点について

民法632条によれば、「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定されています。

このように、「仕事の完成」が約束されていることから、請負契約の場合には、仕事を完成させる必要があります。なお、「仕事の完成」というのは、依頼された通りの仕事ということです。そのため、サービスを提供する人に裁量がないです。

これに対して、民法643条によれば、「委任は当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生ずる。」と規定されています。

こちらは、「仕事の完成」ということが法律上出てきていません。そのため、委任契約の場合は、仕事を完成させる必要がありません。また、完成させたとしても、依頼者の考えにぴたりと一致する必要がありません。

②の点について

すでにみたように、民法632条には、報酬の支払いが、請負契約の内容となっていますので、請負契約が成立したといえるためには、報酬の支払いについての定めが必要です。

一方、民法643条によれば、報酬の支払いについては、規定されていません。そのため、委任契約は、報酬に関する契約がなければ、無償で行うことになります。(ただし、契約の性質上委任契約に該当するものであっても、大体、報酬に関する規定が定められています。)

サービスを提供する契約であっても、どちらの性質であるかによって、依頼を受けた人にとっては、責任の内容が異なります。

そのため、これらを念頭において、ホームページ作成契約について考えてみましょう。

ホームページ作成契約

ホームページ作成契約を締結する場合、以下の点について契約書で定められます。

  •  作成代金、代金の支払い時期
  •  納期
  •  著作権
  •  中途解約時の代金支払い
  •  対応ブラウザ

などです。

このように、ホームページ作成契約というのは、どのようなデザインにするか、どのように完成させるかについては、製作者にゆだねられています。そのため、どちらかと言えば、委任契約に近い契約内容となっています。

そのため、もう少し細かく指定したい場合には、契約書にそのような内容を盛り込んでおく必要があります。

例えば、注文者が完成されたホームページを見て、動かしてみて修正することのできる回数や、どのようなデザインにするかについても指定することによって、思った通りのホームページができないことに対する対処はできると考えられます(細かい指定をすると、代金額があがるかもしれませんが)。

ホームページ作成のトラブルの回避方法

このように、ホームページ作成契約のトラブルの原因は、契約書を確認していないとか、作りたいホームページの内容について契約書にきちんと盛り込んでいないことに起因するものと考えられます。

このようなトラブル回避のため、法務部であるとか、契約書に関する部門とよくよく相談したうえで、契約を締結するのがいいと考えられます。

納期遅れについて

ホームページ作成について納期に遅れている場合、民法の原則からすると、民法415条1項に基づく履行遅滞を理由とする損害賠償請求ができることになります。

そのため、納期についてきちんと考えておく必要があります。なお、無理な納期を定めてしまった場合、それは、ホームページ作成を行った会社に問題がありますので、ホームページ作成を請け負う会社が損害賠償責任を負います。

このような責任を回避するためにも、現場と見通しについてきちんと話し合い、納期を決定する必要があります。

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