違法コンテンツアップロードと共有サイトについて

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

著作権法違反の罪(著作権法119条1項)

著作権法119条1項は、著作権、出版権または著作隣接権を侵害した者を、刑事罰の対象としています。

例えば、漫画や書籍などの著作物を権利者の許諾なくコピーして販売する行為は、著作権者が有する複製権を侵害する可能性があります。

また、著作権者には公衆送信権が認められています。公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として、無線通信または有線電気通信の送信を行うことをいいます。

インターネット上のウェブサイトに漫画の画像データをアップロードし、不特定多数の利用者がアクセスすれば漫画を閲覧できる状態にする行為は、著作権法上の「送信可能化」に該当し、公衆送信権を侵害する可能性があります。送信可能化とは、著作物を自動公衆送信できる状態にすることをいい、実際に利用者へ送信される前の段階も含まれます。

したがって、違法に漫画をアップロードして、多数の利用者がインターネットを通じて閲覧できる状態にした場合には、著作権法違反として刑事責任を問われる可能性があります。

組織的犯罪処罰法

違法漫画サイトの運営によって犯罪収益を得て、その収益を隠匿したり、取得について事実を仮装したりした場合には、著作権法違反だけでなく、組織的犯罪処罰法の適用が問題となることがあります。

組織的犯罪処罰法10条1項は、犯罪収益等の取得・処分について事実を仮装したり、犯罪収益を隠匿したりする行為を処罰の対象としています。

もっとも、違法漫画サイトを運営して収益を得たからといって、当然に組織的犯罪処罰法違反が成立するわけではありません。前提となる犯罪収益に該当するか、取得・処分について事実を仮装したか、隠匿したかなど、法律上の要件を満たす必要があります。

犯罪収益に該当する財産については、組織的犯罪処罰法上、没収や、その没収に代わる追徴が問題となる場合があります。

漫画村事件

海賊版漫画サイト「漫画村」の運営をめぐっては、福岡地方裁判所令和3年6月2日判決が重要な事例となっています。

この事件では、被告人が管理・運営するウェブサイトに漫画等の画像データを掲載し、不特定多数の利用者が閲覧できる状態にしたことなどについて、著作権法違反が問題となりました。

漫画村では、漫画の画像データを運営者が管理するサーバーにアップロードする方法だけでなく、第三者が管理するサーバーにある画像データを、リバースプロキシの仕組みによって漫画村のウェブサイトから閲覧できるようにする方法も用いられていました。

被告人側は、第三者サーバーにある画像を表示しているにすぎず、自ら漫画をアップロードしたものではないなどと主張しました。

これに対し裁判所は、関係者間のやり取りや漫画がサイトに掲載された時期などから、被告人が漫画のアップロードに関与したことを認定しました。また、漫画村のサーバーがインターネットに接続され、記録媒体に保存された漫画の画像データなどを利用者からの求めに応じて自動的に送信する仕組みであったことから、著作物を自動公衆送信し得る状態にする行為について著作権侵害を認定しました。

さらに、組織的犯罪処罰法違反についても、漫画村に掲載された漫画を無料で閲覧するために利用者がサイトにアクセスすることによって広告の価値が生じていたことなどを踏まえ、アフィリエイト広告による収益と著作権侵害行為との結びつきを認定しました。

また、アフィリエイト報酬を海外の銀行口座や第三者名義の口座などに送金した行為について、犯罪収益の所在を不明にするものであるとして、犯罪収益等の隠匿や取得についての事実の仮装に当たると判断しました。

その結果、被告人には著作権法違反及び組織的犯罪処罰法違反について、懲役3年、罰金1,000万円、追徴金6,257万1,336円の判決が言い渡されました。これは現在の刑罰制度では、当時の「懲役」に相当する部分を現行法上の「拘禁刑」と表現することになります。

違法漫画アップロードサイトを立ち上げた場合の刑罰

漫画村事件は、海賊版サイトの運営について、著作権法違反だけでなく、犯罪収益の隠匿等についても刑事責任が認められた重大な事例です。

もっとも、違法漫画サイトを運営した場合に必ず漫画村事件と同じ刑罰になるわけではありません。著作権侵害の規模や期間、関与の程度、得た利益、犯罪収益の処分・隠匿の有無、前科・前歴など、具体的な事情によって処分や刑罰は異なります。

したがって、違法漫画アップロードサイトを運営した場合には、著作権法違反に加えて、犯罪収益に関する行為についても刑事責任を問われる可能性があることに注意が必要です。

違法漫画アップロードサイトを立ち上げた場合の民事的責任

違法漫画サイトを運営して著作権を侵害した場合、刑事責任だけでなく、著作権者から損害賠償を請求される可能性があります。

漫画村については、KADOKAWA、集英社及び小学館が、17作品について19億2,960万2,532円の損害賠償を求めて提訴し、2024年4月18日、東京地方裁判所は漫画村の運営に積極的に関与した者に対して17億3,664万2,277円の支払いを命じました。この判決は同年7月に確定しています。

なお、「漫画村による被害額3,200億円」という数字は、漫画村による無料閲覧によって生じた被害についての推計値であり、裁判所が運営者に対して3,200億円の損害賠償を認めたという意味ではありません。したがって、民事責任について説明する際には、推計被害額と実際に裁判所が認定した損害賠償額を区別する必要があります。

また、漫画村への広告提供については、広告会社に対して著作権侵害の幇助を理由とする損害賠償が認められた裁判例があります。知的財産高等裁判所令和4年6月29日判決では、漫画村に広告を提供した広告会社について、漫画村における著作権侵害を幇助したとして、1,100万円の損害賠償責任が問題となりました。

このように、違法漫画サイトについては、サイトの運営者だけでなく、具体的な関与の内容によっては、周辺事業者についても民事上の責任が問題となる場合があります。

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