違法薬物の売買

麻薬を取り締まる法律

麻薬の定義というのは、むずかしいです。広辞苑の定義によれば、「麻酔作用を持ち、常用すると習慣性となって中毒症状を起こす物質の総称」とされます(これだと、正確にはLSDが含まれないなどの問題があるようですが、ひとまず、これで進めていきます)。

麻薬を取り締まる法律としては、「麻薬及び向精神薬取締法」、「覚醒剤取締法」、「大麻取締法」、「あへん法」、「国際的な協力のもとに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例(麻薬特例法)」があります。これらを、麻薬五法と言います。

このうち、麻薬特例法はコントロールドデリバリーについて定めていることから、特定の物質を規制する法律ではありません。

また、薬物五法以外に、危険ドラッグ関係については、医薬品医療機器法(薬機法)が麻薬の取り締まりを担っています。

麻薬五法の対象薬物

麻薬五法と薬機法の対象薬物については、以下の通りです。

麻薬及び向精神薬取締法

ジアセチルモルヒネ、コカイン、コデイン、LSD、MDMA、マジックマッシュルームなど(2条各号と、別表第1から第4を参照)

覚醒剤取締法

フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及びその塩類(覚せい剤取締法1条1項1号)

大麻取締法

カンナビス・サティバ・エル(なお、カンナビス・インディカなどの別種の大麻もあるが、これも、法令上取り締まりの対象とされる。)や大麻成分であるTHCの入った製品(大麻取締法1条参照)

あへん法

けし族の植物であって、厚生労働大臣が指定するもの(あへん法3条)、アツミゲシ、ハカマオニゲシなどが対象

薬機法

厚生労働大臣が指定するものを「指定薬物」として規制(薬機法2条1項15号)している。例えば、合成カンナビノイド(THC成分類似のものを合成して人工的に作ったもの)、亜硝酸エステル(セックスドラッグの一種)などがこの規制対象です。

ただし、麻薬及び向精神薬取締法とあへん法の両方で規制される薬物(モルヒネなど)、麻薬及び向精神薬取締法と大麻取締法の両方で規制される薬物(THCなど)というものもあります。

刑罰の対象となる行為

薬物五法と薬機法で細かく違う場合があるのですが、おおむね、製造、輸入、輸出、所持、譲渡、使用が取り締まられます。

また、営利目的で、これらの行為を行っている場合には、重い刑罰が予定されています。

予想される刑罰

麻薬五法に違反した場合の罪については、罰金刑が予定されていませんので、起訴されれば、実刑か、執行猶予付きの有罪判決となります。

また、違法薬物のまん延防止から、警察は逮捕に踏み切る可能性が高いです。そのため、逮捕されるリスクも高いです。

さらに、所持しただけで処罰されるため、示談等もできません。そのため、不起訴を狙うということは困難です。

注意が必要な点として、覚醒剤の営利目的での輸入、輸出、製造(覚せい剤取締法41条2項)とジアセチルモルヒネ等の輸入、輸出、製造(麻薬及び向精神薬取締法64条2項)については、無期懲役が予定されていることから、裁判員裁判対象事件になります(裁判員裁判法2条1項1号)。

一方、薬機法に違反した場合のうち、製造、輸入、販売、授与、所持については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科と規定され、使用については3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科と規定されています。

そのため、一応罰金刑は予定されているのですが、量刑傾向的に罰金刑で済むということは考えにくいです。

インターネットでの麻薬取引について

最近では、SNSなどを使って麻薬取引を行う例があるようです(ヤサイの販売をしていますなどとうたって、大麻の取引をする例)。そのため、このような書き込みに応じて違法薬物を購入しないよう気を付ける必要があります。

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