※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。
児ポ法違反(児童ポルノ所持罪)
児童ポルノ禁止法(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)7条1項は、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した場合について、児童ポルノの所持罪を定めています。
また、同項は、同じ目的で、児童の姿態を視覚により認識することができる方法で描写した情報を記録した電磁的記録を保管した場合についても、同様に処罰することを定めています。もっとも、いずれの場合も、自己の意思に基づいて所持又は保管するに至った者であり、かつ、その者が所持又は保管していることが明らかに認められることが要件とされています。
「所持」とは、児童ポルノを自己の支配下に置いていることをいい、物理的に手元に持っている場合に限られません。そのため、児童ポルノが保存された記録媒体などを自己の支配下に置いている場合には、所持に該当する可能性があります。
また、児童ポルノの電磁的記録については、「保管」が処罰対象となります。そのため、保存場所やデータへのアクセス方法などの具体的事情によっては、自己のパソコンからアクセスできる外部の記録媒体やオンラインストレージなどに保存されている場合についても、保管に該当するかが問題となります。
児ポ法の提供目的所持等について
児童ポルノについては、単純な所持だけでなく、他人に提供する目的で所持する行為について、より重い処罰が定められています。
児童ポルノを提供する目的で所持した場合などは、児童ポルノを提供した場合と同様に、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象となります。電磁的記録の保管についても同様です。
さらに、児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列する目的で所持した場合などについては、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科という、より重い刑が定められています。
したがって、元の文章にある「7条3項が特定かつ少数の者への提供目的所持」「7条7項が不特定多数への提供目的所持」という整理は、現在の条文番号とは一致しません。
また、「児童ポルノの販売サイトの運営者などは必ずこの一番重い刑罰で処罰される」と断定することも適切ではありません。実際に成立する犯罪や適用される法定刑は、サイトの運営方法、提供行為、所持・製造行為など具体的な事実関係によって判断されます。
児童ポルノをダウンロードせずにパソコンで視聴する行為は犯罪か
児童ポルノをインターネット上で閲覧しただけで、直ちに児童ポルノ所持罪が成立するとはいえません。
もっとも、「ダウンロードしていないから必ず犯罪にならない」と断定することも適切ではありません。閲覧の過程でデータが端末等に保存され、その保存が法律上の「保管」などに該当するかどうかは、データの保存状況や本人の意思、支配可能性などの具体的事情を踏まえて判断する必要があります。
また、ブラウザのキャッシュについても、「キャッシュであれば必ず所持・保管に当たらない」と一律に断定することは避けるべきです。キャッシュの存在だけで直ちに犯罪が成立するわけではありませんが、保存されたデータの内容や保存状況などを含め、個別具体的に判断する必要があります。
したがって、「インターネットで児童ポルノを閲覧しても、キャッシュが残るだけなら絶対に処罰されない」といった説明は避けるのが適切です。
児童の年齢を知らなくても成立するのか
児童ポルノ所持罪については、児童ポルノを自己の性的好奇心を満たす目的で所持又は保管することについての故意が必要です。
ただし、児童ポルノ禁止法には、児童の年齢について特別の規定が設けられています。そのため、「児童の年齢を知らなければ、故意犯なので必ず犯罪が成立しない」と単純に説明することはできません。
実際に児童ポルノに該当する画像等を所持・保管したとして捜査や裁判の対象となった場合には、画像等に写っている人物が「児童」に該当するか、その人物が児童であることについてどのような認識があったのかなどが、具体的な証拠に基づいて判断されます。
インターネット上の画像などでは、本人の年齢が明らかでないこともあります。その場合でも、画像の内容、掲載状況、付随する情報など、さまざまな事情が問題となり得ます。
なお、画像生成AIによって作成された画像については、実在する児童の姿態を描写したものではない場合には、児童ポルノ禁止法上の「児童ポルノ」に該当するかという別の問題があります。ただし、実在する児童を加工した画像など、具体的な作成方法によっては別の犯罪が問題となる可能性もあるため、「AI生成画像ならすべて規制対象外」と断定することはできません。
予想される刑罰について
児童ポルノ所持等については、行為の態様によって法定刑が異なります。
- 第7条1項の児童ポルノ所持・電磁的記録の保管:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
- 提供目的での所持・保管等:3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
- 不特定又は多数の者への提供等の目的での所持・保管等:5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科
警視庁の現行資料でも、第7条の所持・提供等について、これらの法定刑が整理されています。
もっとも、実際にどのような刑事処分となるかは、所持していた数量、入手経緯、所持期間、目的、前科前歴、捜査への対応など、個別の事情によって異なります。
また、児童ポルノ所持罪で逮捕される可能性もあります。児童ポルノに関する事件では、単純所持であっても捜査の対象となり得るため、捜査機関から連絡を受けた場合には、早い段階で刑事事件を取り扱う弁護士に相談することが重要です。
