※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。
このページの目次
Toggle景品表示法違反に対する調査・措置命令
景品表示法に違反する不当表示が行われている疑いがある場合、消費者庁は、関連資料の収集や事業者への事情聴取などの調査を行います。調査の結果、違反行為が認められた場合には、事業者に弁明の機会を付与した上で、措置命令などの行政処分が行われます。
また、景品表示法の運用は消費者庁だけでなく、都道府県も行っています。都道府県知事には、景品表示法に基づく調査権限や措置命令権限が委任されており、都道府県知事が自らの判断と責任で措置命令を行うことがあります。
不実証広告規制とは
優良誤認表示については、「不実証広告規制」という制度があります。
内閣総理大臣は、事業者が行った表示が優良誤認表示に該当するかどうかを判断するため必要があると認めるときは、事業者に対し、期間を定めて、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。実際の権限は政令により消費者庁長官に委任されています。
事業者が期限までに資料を提出しなかった場合、または提出した資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合には、措置命令との関係では、その表示が優良誤認表示に該当するものとみなされます。
一方、課徴金納付命令との関係では、優良誤認表示に該当するものと推定されます。この点は、措置命令の場合と課徴金納付命令の場合で効果が異なるため、注意が必要です。
合理的な根拠を示す資料については、単に数字や試験結果が存在すればよいわけではありません。消費者庁は、①資料が客観的に実証された内容であること、②表示された効果・性能と、資料によって実証された内容が適切に対応していること、という2つの要件を示しています。
例えば、健康食品について特定の健康効果を表示したり、電化製品について特定の性能を表示したりする場合には、その表示を裏付ける合理的な根拠をあらかじめ準備しておくことが重要です。
措置命令
不当表示が認められた場合、消費者庁長官は、事業者に対して措置命令を行うことができます。
措置命令では、例えば、一般消費者に与えた誤認を排除すること、再発防止のために必要な措置を講じること、今後同様の違反行為を行わないことなどが命じられます。
また、違反行為がすでになくなっている場合でも、一定の要件の下で措置命令を行うことができます。
措置命令に不服がある事業者は、行政不服審査法に基づく審査請求や、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟などの手段を検討することになります。
措置命令に違反した場合の罰則
措置命令に違反した場合には刑事罰の対象となります。
個人については、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があり、情状によっては拘禁刑と罰金が併科されることがあります。
また、措置命令に違反した法人等については、3億円以下の罰金刑が科される可能性があります。
課徴金納付命令
優良誤認表示や有利誤認表示については、一定の要件を満たす場合、課徴金納付命令の対象となります。景品表示法第5条第3号の指定表示は、課徴金制度の対象外です。
課徴金の額は、原則として、課徴金対象行為に係る商品・サービスの売上額に3%を乗じて算定されます。課徴金対象期間は原則として最長3年間です。また、課徴金額が150万円未満となる場合には、課徴金納付命令は行われません。
また、事業者が不当な表示であることを知らず、かつ、知らなかったことについて相当の注意を怠った者ではないと認められる場合には、課徴金納付命令の対象外となることがあります。
さらに、課徴金対象行為に該当する事実を自主的に報告した場合には、一定の要件の下で課徴金額が2分の1減額される制度があります。
また、事業者が所定の手続に従って消費者への返金措置を実施した場合には、その返金額に応じて課徴金額が減額され、返金額が課徴金額以上となる場合には課徴金の納付を命じられないことがあります。
景品表示法の確約手続
2024年10月1日から、景品表示法に「確約手続」が導入されています。
確約手続は、不当表示などの疑いがある事業者が、自主的に違反被疑行為やその影響を是正するための計画を作成し、消費者庁長官の認定を受ける制度です。
消費者庁から確約手続通知を受けた事業者は、通知を受けた日から60日以内に確約計画の認定を申請することができます。確約計画には、違反被疑行為やその影響を是正するための措置などを記載します。
消費者庁長官は、確約計画が違反被疑行為やその影響を是正するために十分なものであり、かつ、その措置が確実に実施されると見込まれる場合などに、その計画を認定します。
確約計画が認定された場合、原則として、その確約計画の対象となった表示について措置命令や課徴金納付命令は行われません。ただし、認定後に計画どおりに措置が実施されていないことが判明した場合や、虚偽・不正の事実に基づいて認定を受けたことが判明した場合などには、認定が取り消されることがあります。
なお、確約計画が認定された場合、その認定自体が、消費者庁によって違反行為があったと認定されたことを意味するものではありません。実際の認定事例でも、消費者庁はこの点を明示しています。
適格消費者団体による差止請求等
景品表示法では、行政機関による規制だけでなく、適格消費者団体による差止請求等の制度も設けられています。
適格消費者団体は、事業者が不特定かつ多数の一般消費者に対して優良誤認表示または有利誤認表示を現に行い、または行うおそれがある場合には、当該行為の停止・予防や、違反表示を行った旨の周知など、必要な措置を請求することができます。
また、適格消費者団体は、事業者が行っている表示が優良誤認表示または有利誤認表示に該当すると疑うに足りる相当な理由がある場合、その理由を示した上で、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を開示するよう事業者に要請することができます。
事業者は、その資料に営業秘密が含まれる場合など正当な理由がある場合を除き、この要請に応じるよう努めなければなりません。
