インターネットを通じて、企業への誹謗中傷がなされることがあります。
SNS、ブログ、レビュー掲示板、等に企業に関して嘘の情報を流されて、事業活動に大きな支障が生じてしまうことがあります。
企業の評判や信用に大きな損害が生じることになります。
商品やサービスが売れなくなり、従業員の会社に対する信用も失って退職となったりしてしまいます。
単純な評価として企業を批判するだけであれば、個人の感想の範囲内となり、許容されます。
しかし、企業に所属している個人を殊更貶めるような事実無根の書き込みや、企業活動に関して嘘の情報を流すことに対しては、刑事・民事上の責任が問題となってきます。
「この会社は脱税している」「社長が違法薬物を使用している」「裏社会とのつながりがある」「刑事事件となる不祥事を多く起こしている」等の書き込みは悪質性が強いことから、早急に対応していくべきです。
インターネットへの書き込みは半永久的に残りますし、時間が経過すればするほど拡散されていく可能性が高まります。
素早い対応が必要になってきます。
名誉毀損
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処されることになります。
名誉を毀損するとは、社会的評価を低下させる行為をいいます。
民事上も不法行為が成立し、加害者に対して損害賠償請求ができます。
しかし、企業への誹謗中傷が、必ず名誉毀損となるわけではありません。
個人の感想程度の内容であれば、違法とは言えずに許容されることになります。
公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しないとされています。
真実でなかったとしても、真実であると信じるにつき相当の根拠があれば、故意が阻却されることになります。
名誉毀損事件として警察がきちんと対応していくためには、法律上の名誉毀損と評価できるかを分析し、証拠を確保し、警察に対して懇切丁寧に説明していかなければなりません。
信用毀損罪・業務妨害罪
嘘の情報を流されたら、信用毀損罪・業務妨害罪が成立することになります。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。
信用毀損罪としては、「あの飲食店は賞味期限切れの食材を使用している」「あのレストランは非常に不潔で腐った食材を使用している」「あの服屋の服は偽ブランド商品だ」「あの会社は多大な借金がありもう少しで倒産するので取引しない方がいい」「あの店で食事をしたら食中毒になった」などと事実無根の嘘の情報を流すケースが考えられます。
業務妨害罪としては、「店に爆弾を設置した」「店に放火する」等の書き込みをすることが考えられます。
削除請求・損害賠償請求
誹謗中傷が書き込まれたサイトの運営者に対して、削除請求を求めることになります。
しかし、必ず削除請求に対応してくれるとは限りません。
そこで、発信者情報開示請求をして、誹謗中傷を書き込んだ加害者に対して請求していくことが考えられます。
加害者が特定されたら、損害賠償請求をすることになります。
また、書き込みが犯罪に当たるのであれば、刑事告訴をすることも検討できます。
インターネットでの誹謗中傷は、簡単にすることができる一方で、悪質性も影響力も大きくなってしまいます。
事業活動に多大な影響が生じてしまいますので、迅速な対応が必要になってきます。
特に犯人・加害者の特定は非常に難しい部分です。
対応は専門的な分析と手続きが必要になってきますので、弁護士にご相談ください。