公務員のインターネット情報漏洩|SNS投稿・写真共有でも処分の対象になる?

情報漏洩

公務員は国や地方公共団体の国民・住民の個人情報を集め、これを基に重要な政策上の決定を行います。中には、安全保障上重要な情報もあります。これらの情報が漏洩すれば重大な事態になります。近年ではコンピューターウイルスによる攻撃だけでなく、SNSに投稿してしまうなど漏洩が安易になってしまいます。
ここでは、公務員による情報漏洩について説明します。

インターネット時代の情報漏洩

情報漏洩といえば、役所のデータを印刷したり、私用の媒体にコピーして持ち出すという態様が典型的でした。
しかし、現在ではスマートフォンで撮影して持ち出すようなことも可能となってしまいます。
さらに、情報漏洩を意図していなくても、SNSやオンラインゲームで自慢しようと、組織内の者しか知り得ない情報を基にした投稿をしてしまうこともあります。

また、撮影した事務所内の写真に秘密情報が写ってしまうこともあります。文字情報だけでなく、職員の数、職場の雰囲気、所在地なども秘密情報に含まれる場合があり、周囲の風景などを撮影しただけで情報漏洩に当たる場合もあります。
今やこうした態様での漏洩も問題となっています。

公務員の問題

国家公務員法・地方公務員法違反

国家公務員は、国家公務員法第100条1項において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と定められています。

地方公務員についても、地方公務員法で同様に定められています(地方公務員法第34条第1項)。

これらの規定に違反して秘密を洩らしたときは、いずれも1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(国家公務員法第109条第12号地方公務員法第60条第2号)。

特定秘密保護法違反

我が国の安全保障に関わるような重要な情報は「特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)」により保護されています。
この法律では、「国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、デジタル社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的」としています(特定秘密保護法第1条)。

特定秘密保護法では、「当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」が特定秘密として指定されます(特定秘密保護法第3条第1項)。別表には防衛に関する事項や外交に関する事項などが挙げられています。

特定秘密の取り扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を洩らしたときは、10年以下の拘禁刑に処され、情状によりさらに1000万円以下の罰金に処されます。特定秘密の取り扱いの業務に従事しなくなった後に漏らした場合も同様です(特定秘密保護法第23条第1項)。

また、行政機関の長が内閣に提示したり(同法第4条第5項)、外国の政府や国際機関に提供したり(同法第9条)、国会両議院や裁判所など公益上必要の認められる相手に提供したり(同法第10条)、内閣総理大臣が特定秘密の指定及び解除並びに適正評価の実施のため特定秘密である情報を含む資料の提出を求めること(同法第18条第4項後段)により、特定秘密が第三者に提供されることがあります。
これらの提供の目的である業務により当該特定秘密を知得したものがその特定秘密を洩らしたときは、5年以下の拘禁刑に処され、又は情状によりさらに500万円以下の罰金に処されます(同法第23条第2項)。

これらの罪は未遂も処罰します(同法第23条第3項)。
また、過失により漏らした場合も処罰されます(同法第23条第1項の罪については2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金同法第23条2項の罪ついては1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)。

懲戒処分

公務員が秘密情報の漏洩等をすれば、厳しい懲戒処分が下されます。

人事院の「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)」の「第2 標準例」、「1 一般服務関係」では、次のように定められています。

(8) 秘密漏えい
ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(12) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

個人情報保護法違反

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、個人情報(同法2条第1項第1号)について、「デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、個人情報を取り扱う事業者及び行政機関等についてこれらの特性に応じて遵守すべき義務等を定めるとともに、個人情報保護委員会を設置することにより、行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的」としています(同法第1条)。

個人情報保護法は、国の責務として、「この法律の趣旨にのっとり、国の機関、地方公共団体の機関、独立行政法人等、地方独立行政法人及び事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有」すると定めています(同法第4条)。
地方公共団体についても、「この法律の趣旨にのっとり、国の施策との整合性に配慮しつつ、その地方公共団体の区域の特性に応じて、地方公共団体の機関、地方独立行政法人及び当該区域内の事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」と定められています(同法第5条)。

行政機関の職員でなくても、個人情報を取扱う者は「個人情報取扱事業者」(同法第16条第2項)等に当たり、利用目的の特定、制限、不適正利用禁止等の規定を遵守する必要があります(第17条以下)。報告や立ち入り検査などを受けることもあり、従わなければ違反是正の措置や命令違反の公表などの制裁措置が取られます(第146条以下)。

行政機関等の職員若しくは職員であった者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された同法第60条第2項第1号(保有個人情報を含む情報の集合物であって、一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの)に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます(同法第176条)。
行政機関等の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(同法第181条)。

マイナンバー法

マイナンバーは多くの個人の繊細な情報と結びついているため、より慎重な管理が必要になります。そのため、個人情報保護法の特例として、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が定められました。

個人番号利用事務(同法第2条第12項)等に従事する者又は従事していた者が、正当な理由がないのに、その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工した特定個人情報ファイルを含む。)を提供したときは、4年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(同法第48条)。

国の機関、地方公共団体の機関若しくは機構の職員又は独立行政法人等若しくは地方独立行政法人の役員若しくは職員(領事官であってこれらの者以外の者を含む。)が、その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する特定個人情報が記録された文書、図画又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。)を収集したときは、2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に処されます(同法第52条)。

まとめ

以上のように、公務員でも公務員以外の方でも、情報を漏洩しないように注意しなければなりません。
インターネットでの情報漏洩に不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご相談ください。

keyboard_arrow_up

0359890996 問い合わせバナー LINE予約はこちら