投げ銭について

投げ銭とは何か

「投げ銭」とはもともと、路上での大道芸や演奏を楽しんだ観客が、パフォーマーに対して、応援や感謝の意を伝えるために金銭を集金箱に投げ入れることを指します。

一方、インターネットで見られる「投げ銭」とは、YouTube等の動画投稿サイトで動画配信者やクリエイターが公開している作品に対して応援や感謝のために視聴者が金銭をオンラインで送金することを指します。

特に、最近ではライブ配信に対して、投げ銭が行われ、動画配信者によっては、1回の配信で2億円以上の投げ銭を受け取る例があるようです。

インターネットの動画投稿サイトで投げ銭を行う方法としては、サービスごとに指定される「コイン」などと言われるポイントを購入して送金する方法や、クレジットカードで直接決済することによって行われます。

「投げ銭」によって発生するトラブル

投げ銭によって発生しているトラブルとしては、

  1.  クレジットカード決済で利用していたところ、想像以上に投げ銭を行っていた
  2.  未成年の子供が大金の投げ銭を行っていた

というトラブルが発生しています。

①に対する対策は、クレジットカードの利用状況について関心を持ち、いくら投げ銭を行ったのかを確認しましょう。

②については、民法5条2項による未成年者取消を行使できる場面が多いです。

未成年者取消のポイント

たしかに、18歳以上ですかという確認画面が表示され、子供が「はい」というボタンを押している場合があります。

これが、民法21条の詐術に当たり、未成年者取消が出来ないとの主張も考えられるのですが、経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」によれば、単に「18歳以上ですか」というボタンが示され、「はい」を押したというだけでは足りないとされています。

また、未成年者が成人のクレジットカードを利用して決済していたという場合でも、クレジットカードの名義人が同意しているということは限らないため、経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」によれば、詐術に当たると解するのは、難しいと考えられています。

そのため、未成年者が勝手に投げ銭を行っていた場合については、未成年者取消を検討してみるのがいいと思います。

子どもによる投げ銭トラブルを防ぐには

子どもによる投げ銭トラブルを防ぐには、まず、子どもに対して動画配信サイトでの投げ銭というのはどういうものなのか、何に対して対価を支払ったのかということを教えておく必要があります。特に、家庭内で日ごろから教えておくことで、子どもも、投げ銭がどのようなものなのか理解するのではないかと考えられます。

また、投げ銭の意義を伝えても、どうしても課金をしたいということが子どもの意見であれば、子どもと話し合い子どもの小遣いの範囲やお年玉の範囲までと決めて課金を許しておくことが良いと思われます。

子どもによる投げ銭を一切許さないということであれば、子どもにスマホを貸さないとか、パソコンを貸さないということになると考えられます。

また、アカウント決済やキャリア決済についてペアレンタルコントロールをかけることによってアカウント決済やキャリア決済を未然に防止するということができるようです。

また、いつの間にか子どもが課金しているということを防ぐために、決済完了メールや明細書を確認することをお勧めします。こうすることによって、子どもが課金したかどうかが分かります。

「投げ銭」について注意するポイント

国民生活センターとしては、投げ銭によるトラブルが起こる原因として、配信者が金銭を受け取ることで配信者のランキングが上がることを上げています。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/20220401-1.pdf

例えば、ユーチューバーであれば、累計スパチャ、月間スパチャのランキングを表示するユーチューバーのファンが作ったと考えられるサイトがあります。このファンサイトでランキングが表示されることから、ファン同士での競争が起き、投げ銭にはまりやすくなり、大金を投げ銭として配信者に送ってしまうということが起こってしまうようです。

また、このように、高額課金にはまってしまう構造や、依存症の問題から高額の投げ銭を行ってしまうということがあります。また、動画配信者に対する投げ銭を行うのは10代から20代の若者が多いという統計があるため、特に、子供の投げ銭の様子について注意をする必要があります。

また、同じ統計によれば、一回の配信で最も多くのアイテムを送った時の金額は、500円以下が多いことが指摘されています。そのため、少額しか投げ銭を行っていないとしても、少額の投げ銭が積み重なり、大金を投げ銭しているという事態もあります。

そのため、月に合計でいくら投げ銭をしたのかということを詳しく把握する必要があると考えられます。

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