投げ銭とは何か
「投げ銭」とは、もともと路上での大道芸や演奏などを楽しんだ観客が、パフォーマーに対して応援や感謝の気持ちを表すために、金銭を渡すことを指します。
現在では、インターネット上のライブ配信などで、視聴者が配信者に対してオンラインで金銭を支払う行為も「投げ銭」と呼ばれています。
ライブ配信サービスでは、サービス内で使用するコインなどのポイントを購入して配信者に送ったり、クレジットカードやキャリア決済などを利用して課金したりする仕組みが設けられています。
投げ銭は、配信者を応援する手段の一つである一方、短時間に繰り返し課金することで、利用額が想定以上に高額になるトラブルも発生しています。国民生活センターにも、子どもが保護者の端末を使ってライブ配信の投げ銭を繰り返し、高額な請求につながった事例が寄せられています。
「投げ銭」によって発生するトラブル
投げ銭については、例えば次のようなトラブルが考えられます。
- クレジットカードやキャリア決済を利用して、想定以上の金額を課金してしまった
- 子どもが保護者に無断で高額な投げ銭を行ってしまった
特に子どもの課金については、保護者が登録していたクレジットカード情報やキャリア決済を利用して、本人の知らないうちに課金されるケースがあります。国民生活センターも、端末のクレジットカード登録状況やキャリア決済の設定を確認し、暗証番号を適切に管理することなどを注意喚起しています。
高額課金に気付いた場合には、まず利用明細や決済履歴を確認し、どのサービスで、いつ、いくら課金されたのかを把握することが重要です。
未成年者取消のポイント
未成年者が法定代理人の同意を得ずに契約をした場合、原則として民法5条2項により、その法律行為を取り消すことができます。
ただし、未成年者が契約をする際に「成年である」と相手方を誤信させるなど、一定の場合には、民法21条の「詐術」に当たって取消しが認められないことがあります。
もっとも、インターネット上の取引で、単に「18歳以上ですか」と表示された画面で「はい」をクリックしただけで、直ちに詐術に当たるとは限りません。経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」でも、単に「成年ですか」という問いに「はい」とクリックさせるだけの場合は、詐術に当たらず、取消しが可能と考えられる例として示されています。もっとも、実際に詐術に当たるかどうかは、年齢や画面の表示方法など、具体的な事情を踏まえて判断されます。
また、親など法定代理人名義のクレジットカードを未成年者が使用した場合も、カード情報を利用できたという事実だけで、法定代理人が個々の契約に同意していたとは限りません。経済産業省も、契約者とカード名義人が一致しない場合、未成年者がカード情報を入力できたことだけから法定代理人の同意があったと推定することは適切ではないとしています。
そのため、子どもが保護者に無断で投げ銭を行った場合には、契約時の年齢、利用したアカウント、決済方法、法定代理人の同意の有無などを確認した上で、未成年者取消しが可能かどうかを検討する必要があります。
なお、未成年者であっても、法定代理人から処分を許された財産の範囲で行った取引などについては、未成年者であることを理由として取り消すことができない場合があります。
子どもによる投げ銭トラブルを防ぐには
子どもによる投げ銭トラブルを防ぐためには、まず、家庭内で投げ銭の仕組みや、課金によって実際に金銭の支払いが発生することを説明しておくことが重要です。
子どもが課金することを一定の範囲で認めるのであれば、月額や1回当たりの利用額について家庭内でルールを決めておく方法もあります。
一方、子どもによる課金を認めないのであれば、保護者のアカウントや決済情報を子どもが利用できないようにする必要があります。
国民生活センターも、保護者のアカウントを子どもに利用させないことや、ペアレンタルコントロールを利用して子どもの利用を制限することを勧めています。
また、クレジットカードやキャリア決済の利用履歴、アプリストア等の購入履歴を定期的に確認することで、子どもによる無断課金を早期に発見することができます。
「投げ銭」について注意するポイント
投げ銭は、1回当たりの金額がそれほど大きくなくても、繰り返し利用することで最終的な支払額が高額になることがあります。
国民生活センターも、ライブ配信サービスの投げ銭について、子どもが保護者に無断で課金するトラブルを紹介し、決済状況の確認やペアレンタルコントロールなどの対策を呼びかけています。
また、ライブ配信では、配信者を応援したいという気持ちから、視聴者が繰り返し課金することがあります。ランキングや他の視聴者との競争などが課金を促す要因となる場合もあるため、1回ごとの金額だけでなく、一定期間にどれだけ課金したのかを確認することが大切です。
特に子どもについては、自分のお金を使っているつもりでも、実際には保護者のクレジットカードやキャリア決済を利用していることがあります。保護者は、子どもが利用しているサービスや決済方法を把握し、定期的に利用明細や購入履歴を確認することが重要です。
投げ銭による高額課金について困った場合には、契約や決済の状況を確認した上で、サービス提供者への問い合わせや、消費生活センターへの相談を検討するとよいでしょう。
