ネットトレード・オンライントレードとは
ネットトレード・オンライントレードとはインターネットを利用した株式や投資信託の取引のことを指します。
ネットトレード・オンライントレードに関連してトラブルになる物としては、大きく、①投資で損をしたから、証券会社に対して責任追及をしたい、②システム障害で証券会社との取引が出来なくなったことで証券会社に責任追及したいというものです。
不適切な勧誘の禁止規制
金融商品を使った投資についての投資者の損失についての原則は、「投資者の自己責任」が原則です。
そのため、500万円のレバレッジをかけて、500万円をアメリカドルに投資したところ、アメリカドルが急激に下落し、500万円分のアメリカドルが200万円の価値になってしまい、300万円損をしたという場合について証券会社に対して300万円の損害賠償請求を行うことは原則出来ません。
ニュースを見て、アメリカドルの価値が上がるらしいとか、友人に言われて、アメリカドルの価値が上がるらしいと言われたという事情があっても、原則は証券会社やニュース番組、友人に責任追及を行うことは出来ません。
「ダービーでは1番の馬が勝つ」と決めて、500万円をその馬に賭けて500万円を失うような競馬場にたまにいる人と変わりません。
しかし、例外的に不適切な勧誘によって、損失を被ったと言える場合については、証券会社に損害賠償請求を行い、被害回復を行うことができます。この不適切な勧誘については、金融商品取引法上どのような勧誘が不適切な勧誘となるのかが規定されています。
不適切な勧誘により損害賠償請求ができる場合としては、虚偽告知(金商法38条1号)、断定的判断提供(金商法38条2号)などの説明義務違反、顧客の資産状況や知識状況からして適切でない金融商品を販売する行為(適合性原則違反、金商法40条)が挙げられます。
一般投資家に対して、対象商品の仕組みについて説明せずに金融商品の販売をしない場合には、説明義務違反ということになります。
また、一般投資家に対して、仕組みが分かりにくいうえ、その投資家が望まないと考えられるハイリスクな金融商品を販売する場合には、適合性原則違反ということになります。
システム障害の場合の対応
システム障害というのは、証券取引会社の取引システムについて遅延が生じたり、取引システムの故障で取引できなくなったりする場合を指します。
例えば、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、システム障害の定義について「当社のシステムに障害が発生していると当社が判断し、オンライントレードやテレフォントレードでのご注文が不能・遅延する状態」と定義されています。
このシステム障害に陥った場合、システム障害前に注文しており、システム障害により注文通りの金融商品を得ることができなかった場合について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、以下のように対応すると契約しています。
【ご注文のお取扱いについて】
・執行条件付でない通常の成行注文・指値注文については、証券取引所側の再開時に、当社にて原則再発注を行います。*
・執行条件付(「指値出来ず引け成行」など)のご注文については、証券取引所側の復旧手順により再発注対象外(失効対象)の通知があるため失効とさせていただきます。
・自動売買(逆指値注文・リレー注文など)は、再発注対象外とさせていただきます。
*お客さまのご注文と障害発生のタイミングによっては、再発注の対象外となる場合がございます。オンライントレードなどでご注文状況をご確認いただきますようお願いいたします(二重発注等にご注意ください)。
【注文受付について】
・(証券取引所が取引再開を判断した場合)前述の障害発生前時に受付けしたご注文の再発注準備のため、オンライントレード・ボイストレードにおけるご注文(国内株式・CB等)の受付けを一時的に停止させていただきます。
・一定時間後に注文受付を再開いたしますので、新規のご注文は、しばらくの間お待ちいただきますようお願いいたします。
そのため、システム障害の起こった場合の対応については、この約定をよく読み、証券会社の対応を待つことになります。
なお、この約定が不合理である等を理由として、裁判所に裁判を提起することも考えられないではないですが、損害として認められることは難しいと思われます。