公職選挙法
公職選挙法というのは、公職選挙法1条によれば、「日本国憲法の精神にのっとり、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を抗戦する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする」とされています。
そのため、選挙制度の中身や、選挙運動の方法について規定されています。そのため、選挙の際に、「みんなこの候補者に投票してほしい」と思ってした行動が公職選挙法に違反するということがあり得ます。
特にネットでの選挙運動で注意すること
現在、公職選挙法によれば、①ウエブサイト等を利用する方法による選挙運動、②電子メールを利用した選挙運動、③インターネットを利用した選挙期日後の挨拶行為、④屋内の演説会場内における映写ができるとされています。
ウエブサイトでの選挙運動を行うとしても、公職選挙法142条の3第3項によれば、候補者の電子メールアドレスなどを載せておく必要があります。しかし、この公職選挙法142条の3第3項の規定に違反した場合の罰則規定はありません。
しかし、電子メールを送信する選挙運動については、公職選挙法142条の4第7項各号に規定される事項を記載する必要があり、その事項を記載していない場合、公職選挙法244条1項2号の2によって、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることが予定されています。
また、電子メールの送信先についても制限があります。公職選挙法142条の4第2項によれば、同項各号に掲げる相手にしか電子メールを送信してはならないことになっています。
おおまかにいえば、あらかじめ送ってほしいと言っている人、以前から継続的に選挙に関するメールを受け取っている人についてだけメールを送ることができます。この規定に違反した場合には、公職選挙法243条1項3号の2に基づいて、2年以下の懲役または、50万円以下の罰金刑に処せられることが予定されています。
また、公職選挙法142条の6第1項によって、有料インターネット広告の掲載を行うことは禁止されています。この有料インターネット広告というのは、広告代理店などが政党より対価を得て行う広告のことを指すようです。
この規定に違反した場合、公職選挙法243条1項3号の3により、2年以下の懲役又は50万円移管罰金に処せられることが規定されています。
違反した場合の選挙権・被選挙権の扱い
公職選挙法の犯罪を犯し、罰金刑以上に処せられた場合、選挙権・被選挙権が失われます。
公職選挙法252条1項によれば、罰金刑の場合、「裁判が確定した日から5年間」、公職選挙法252条2項によれば、懲役刑の場合、「裁判が確定した日から、刑の執行を終わるまでの間若しくは、刑の事項による場合を除くほかの刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後5年間又はその裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間」が選挙権・被選挙権が失われる期間になります。
公職選挙法に絡む刑罰について注意すること
このように、罰金で終わるにしても選挙権・被選挙権が失われるので、このような犯罪を行っていないということであれば、争って無罪を得るか、証拠不十分などを理由として不起訴を得る必要があります。
ただし、公職選挙法に関する刑事裁判については、裁判所は、事件を受理した日から100日以内に行わなければなりません(公職選挙法253条の2第1項)。
そのため、認め事件であっても、否認事件であっても、起訴されてから100日以内に事件を迅速に終わらせることのできる弁護士を見つけておく必要があります。