ワンクリック詐欺とは何か
ワンクリック詐欺とは、SMSやメール、インターネットサイトなどに表示されたURLや画像をクリックしただけで、有料サービスへの登録や契約が成立したように表示し、高額な料金の支払いを求める手口です。
アダルトサイトや出会い系サイトなどを利用した際に、「登録ありがとうございます」「契約が成立しました」などと突然表示され、高額な利用料金を請求されるケースがあります。
しかし、単にURLをクリックしただけで、当然に有料サービスの契約が成立するわけではありません。契約が成立しているかどうかは、クリックした際の画面表示や利用規約、申込みの意思表示があったかなど、具体的な状況を踏まえて判断する必要があります。
クリックしただけで契約は成立するのか
インターネット上で契約を締結する場合には、「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」(電子消費者契約法)が関係することがあります。
電子消費者契約法3条は、消費者が電子契約の申込みや承諾をする際に、契約する意思がないのに操作を誤って申込み等の意思表示をしてしまった場合について、民法95条3項の規定を適用しないと定めています。ただし、事業者が申込み等をする意思の有無を確認する措置を講じていた場合や、消費者がそのような確認措置を不要とする意思を示していた場合は、この限りではありません。
そのため、例えば、料金や契約内容について十分な表示がないまま、URLや画像をクリックしただけで「契約が成立した」などと表示されたケースでは、そもそも契約の申込みに当たる意思表示がなかったとして、契約が成立していないと考えられる場合があります。
また、契約の申込みに当たる意思表示があったとしても、確認画面が設けられていないなどの事情があれば、電子消費者契約法3条によって、操作ミスを理由として契約の効力を否定できる場合があります。東京都も、申込み内容を確認できる措置が事業者によって講じられていない場合には、消費者の操作ミスによる申込みについて、錯誤を理由として契約の効力を否定できると説明しています。
したがって、「URLをクリックしただけで有料サービスの契約が成立した」と一方的に表示されたからといって、当然に料金の支払義務が発生するわけではありません。ワンクリック詐欺と考えられる請求については、慌てて支払うのではなく、まず契約が成立しているのかを確認することが重要です。
ワンクリック詐欺を行った者は詐欺罪に問えるのか
ワンクリック詐欺を行った者について、詐欺罪が成立する可能性があります。
例えば、実際には有料サービスの契約が成立していないにもかかわらず、契約が成立したかのように装って利用料金の支払いを求め、被害者を誤信させて金銭を交付させた場合には、欺罔行為によって財物を交付させたものとして、詐欺罪の成立が問題となります。
もっとも、ワンクリック詐欺のすべてについて当然に詐欺罪が成立するわけではありません。実際の画面表示、契約の内容、被害者に対する説明、金銭の交付に至る経緯などを具体的に検討する必要があります。
また、ワンクリック詐欺では、事業者が複数人で役割を分担するなど、組織的に犯行を行っているケースもあります。そのような場合には、詐欺罪だけでなく、組織犯罪処罰法の適用が問題となることがあります。
ワンクリック詐欺に遭った場合どうすればいいのか
ワンクリック詐欺と考えられる請求を受けた場合、まずは慌てて料金を支払ったり、相手に連絡したりしないことが重要です。
ワンクリック詐欺では、請求画面に電話番号やメールアドレスなどを表示し、「退会手続はこちら」「誤って登録した場合はこちら」などとして、被害者から連絡させようとすることがあります。
このような連絡をすると、電話番号やメールアドレスなどの情報を相手に伝えることになり、その後、繰り返し請求や連絡を受ける可能性があります。
そのため、請求画面が表示された場合には、画面を保存するなどして証拠を残した上で、安易に相手へ連絡したり、料金を支払ったりしないようにしましょう。
すでに料金を支払ってしまった場合や、相手に連絡して個人情報を伝えてしまった場合には、銀行や決済事業者への相談が必要になることもあります。また、不安がある場合には、警察や消費生活センターに相談することも有効です。
ワンクリック詐欺被害に遭わないために
ワンクリック詐欺の被害を防ぐためには、次の点に注意することが重要です。
- 身に覚えのないSMSやメールに記載されたURLを安易にクリックしない
- URLをクリックしただけで「契約成立」「登録完了」などと表示されても、慌てて料金を支払わない
- 請求画面に表示された電話番号やメールアドレスに安易に連絡しない
- 不審な請求画面やメールは、削除する前にスクリーンショットなどで保存する
- OSやブラウザ、セキュリティソフトを最新の状態にしておく
特に重要なのは、突然高額な料金を請求されても、慌てて相手に連絡したり、料金を支払ったりしないことです。
ワンクリックしただけで当然に有料サービスの契約が成立するわけではありません。契約が成立しているかどうかは、サイトの表示や申込みの状況などによって判断する必要があります。不安な場合には、消費生活センターや警察、弁護士などの専門家に相談しましょう
