ワンクリック詐欺とは何か
SMSやメール、インターネットサイトなどのURLをクリックしただけで、一方的にサービスへの入会などの契約成立を宣言され、多額の料金の支払いを求められるという詐欺です。
この手法の詐欺は、アダルトサイト、出会い系サイトでよく見られます。
クリックしただけで契約は成立するのか
覚えておいて欲しい法律として、「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」というものがあります。
民法の原則からすると、意思表示の合致があった場合、すなわち、契約することに「合意する」と一度言った場合に契約が成立することになるのですが、この法律によれば、インターネットサイトで契約を締結する場合、そうはなりません。
電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律3条によれば、「電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申し込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思表示があった場合」には操作ミスを理由に契約の取り消しを行うことができないと規定されています。
反対に言えば、確認画面が表示されない場合、操作ミスを理由に契約を取り消すことができると考えられています。
そのため、契約の確認画面を出さずに契約が成立した旨を表示しても、その契約は有効ではありません。いわゆるワンクリック詐欺で高額の利用料を請求されても無視することができます。
ワンクリック詐欺を行った者は詐欺罪に問えるのか
有料サイト利用の利用契約は成立しないにもかかわらず、有料サイトの利用契約が成立したと表示していることから、欺罔行為があるといえ、これによって、支払う必要のないサイトの利用料を受け取っているため、詐欺罪が成立します。
このようなワンクリック詐欺について、詐欺罪と認めた例として、最高裁平成19年12月3日決定があります。
この平成19年12月3日の事件で問題になった行為は、アダルトサイトのURLをクリックした被害者に対して、有料サイトの利用契約が成立しましたとの画面を表示して、有料サイトの利用料を受け取った行為です。
なお、この事例もそうなのですが、ワンクリック詐欺については事業者が組織的に活動しているため、組織犯罪処罰法により詐欺罪より重く処罰されるという例が多いようです。
ワンクリック詐欺に遭った場合どうすればいいのか
まず、簡単な解決方法として、無視することが考えられます。
すでに書いた通り、法律上ワンクリックで契約が成立することは無いためです。
ただし、動揺して料金を支払ったり、契約を解除しようとして連絡をしたり、個人情報を教えていたりすると問題の根が深くなります。
料金を支払ったり、連絡をとったり、個人情報を教えたりすると、被害者を特定する情報が詐欺業者にわたりますので、詐欺業者が更に連絡をしてきます。
さらに連絡をしてきた場合は、詐欺業者の連絡先を控えるなどして、警察や国民生活センターに連絡し、これ以上連絡してこないようにする措置をして問題を解決するようにしましょう。
ワンクリック詐欺被害に遭わないために
ワンクリック詐欺被害に遭わないために以下の点に注意しましょう。
- 知らないSMSや電子メールのURLはクリックしない。
- アダルトサイトなどでワンクリックで料金を請求されても、契約上有効ではないため、無視する。
- 通信の保護されたサイトを利用する。
- 不審なメールを受け取らないために、セキュリティ対策ソフトを導入する。
ということが考えられます。
また、ワンクリック詐欺を見かけても、すぐにサイトの管理者やメールの送り主に連絡をとったり、請求された料金を支払わないようにしましょう。