賭博罪
刑法185条によれば、賭博罪が成立するためには、「賭博をした」と言えなければならないとされています。
「賭博」とは、偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うことを指します。そのため、賭けマージャン、賭け花札などが処罰の対象になります。
また、オンラインカジノについては、東京高裁平成18年11月28日判決で、オンラインカジノについても賭博罪が適用され、有罪となることが示されています。
平成18年11月28日の判決で、オンラインカジノが賭博に当たるのは、パソコン画面上で行われるゲームの結果という偶然の事情にポイントを賭け、賭けに買った場合はポイントを取得して、これに見合う金員を取得し、賭けに負けた場合は、ポイントを失って、店がそれに見合う金員を取得するという関係にあること、ポイントは、現金と交換できることが挙げられます。
このことから、偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うという要素が認められると判示しています。
常習賭博罪
「常習として賭博をした者」場合には、刑法186条1項によって、賭博罪より重い常習賭博罪になるとされています。
「常習」というのは、繰り返し賭博をする習慣や状態のことを指します。
職業として博徒になっている場合だけでなく、賭博の前科、賭博で賭ける金額などから、常習であるかどうかが判断されます。
繰り返し賭けに参加しているならば、この常習賭博罪となる可能性があります。
海外の合法な事業者が経営しているオンラインカジノについて
日本から、海外の事業者の合法的なオンラインカジノにアクセスし、オンラインカジノで遊ぶことについて、海外で合法なのだから、日本でも合法だろうと考える人がいます。
これについては、刑法1条1項の問題となります。
国内から、海外の賭博に関わっているため、海外では合法な事業者のオンラインカジノにアクセスしたとしても、刑法1条1項の国内犯として賭博罪として処罰されることになります。
つまり、海外で合法であっても、日本国の観点からは違法な賭博と評価されるため、海外で合法であるかというのは、賭博罪の成立を否定する理由にならないということです。
カジノの旅行のために海外に行くのは問題ないのか
これについては、刑法3条の国外犯の規定に賭博罪が挙げられていないことから、日本人が海外に行って、海外のカジノで遊んでいたとしても日本の賭博罪で処罰されることはありません。
公営競技のインターネット投票は問題ないのか
競輪、競馬、オートレース、宝くじ、サッカーくじについては、戦後の財政上の理由から、特別法で定められた範囲であれば、賭博罪にならないと考えられています。
そのため、これらの賭博にインターネットから関わっても賭博罪にはなりません。
e-スポーツに賞金が出るのは問題ないのか
これについては、確かに、参加者から参加費を徴収して、大会に出場させ、大会の優勝者に賞金を分配するという方式にすると、賭博罪ということになります。
しかし、現状のe-スポーツについては、参加費無料でスポンサーから賞金を出してもらうという形式にしていたり、参加費を徴収するとしても、賞金ではないものの対価に充てることで、賭博罪に該当しない形式をとっています。
どのような処分が予想されるのか
賭博罪の場合の法定刑は、50万円以下の罰金又は科料で、常習賭博罪の場合の法定刑は、3年以下の懲役です。
どちらの罪であったとしても、法律上は逮捕される可能性があります。しかし、前科も無い人が自宅でオンラインカジノで遊んでいた場合にいきなり賭博罪で逮捕ということについては考えにくいです。
単純な賭博罪で有罪となった場合、数十万円の罰金が認められる例が多いです。
一方、常習賭博罪で有罪となった場合、執行猶予付きの懲役刑となることが多いようです。
不起訴であったり量刑を軽くすることをねらうためには、前科が無いことや、賭けた金が小さいことを主張するだけでなく、賭博に関わらないようにするための支援や更生計画を立てる必要があると考えられます。