SNSは情報を手軽に広げることができますが、一方で、名誉毀損や侮辱に当たる表現も容易に拡散するおそれがあります。このようなときは、その内容を削除することが効果的です。
ここでは、X(旧Twitter)に書き込まれた内容の削除請求について解説します。
【事例】
Aさんは日本に住む在日韓国人です。
ある日,「B市のお祭りに参加しました。盆踊りサイコー」と写真付きで投稿したところ。
αを名乗るアカウントの人物から,「チョンコが祭りに参加すんのかよ,B市の伝統が汚れる」「こーいう奴が日本の伝統を乗っ取るんだよな,屋台をキムチまみれにする前に半島に帰れ」などと返信欄に書き込まれました。
このような書き込みがされた場合に,削除請求を行うことができるか検討します。
X(Twitter)での不適切な投稿があった場合,X社に報告フォームを使って対応を求めるか,裁判所の削除仮処分によって投稿の削除を求めることになります。
ただし,X社に報告フォームで報告しても削除されることは無く,「有害な投稿」という警告が付いたまま表示がされ続けるようです。
そのため,一応報告フォームに通報して削除を求めるとしても,裁判所の関与が必要になり,削除を求める場面が多いようです。
報告フォームを使って,X社に対応を求める場合
運営会社であるX社に対応を求める場合、複数手段があるようです。
①対象のツイートから報告する方法
この場合,対象の投稿の「・・・」アイコンを選択して,【ポストを報告】を選択します。
その上で,どういう問題があるかを聞かれますので,「人種差別」,「ハラスメント」などを選択します。
例えば,「人種差別」を選択した場合,「差別的発言」,「人種差別的なアイコンの表示」などが表示され,それを選択することになります。
そうして,報告内容についてどういう問題があるのかX社で検討して,「有害な投稿」との表示を行ったり,投稿したアカウントの凍結を行います。
このように対応されていることから,問題となる投稿の削除ではなく問題となる投稿がXの利用者に見られないようにしています。
②対象のアカウントのプロフィールから報告する方法
プロフィールの「・・・」アイコンを選択します。
「○○さんを報告する」を選択し,報告する問題の種類を選択します。
そうすることで,X社がアカウントの凍結などの形で対応してくれます。
③ヘルプセンターから報告する方法
Xのヘルプセンターを開き,「ルールとポリシー」→「すべての記事を見る」→「違反の報告」の順に選択していきます。
その「違反の報告」の中で,報告を求める理由を選択し,X社に対応を求めます。
この①~③の手段を使うと,Xより,身分証を求められ,本人確認が済んだら,X社からツイートやアカウントの所有者に対して対応が行われるようです。
裁判所の手続を使ってX社に対応を求める場合
X社が取ってくれる対応が,利用者に見えにくくすることや,不適切な投稿を行ったアカウントの凍結であることや,X社の対応が悪い場合,裁判所を利用して投稿の削除を求めることになります。
具体的には,削除仮処分を申し立てることによって,Xのふてきせつな投稿の削除を求めることになります。
この場合,X社を被告として,どのような投稿によって名誉が侵害されたのか,URLは何かということを明らかにして投稿の削除を求めます。
この手段を使い,申し立てが認められるとX社はたいていの場合,投稿の削除に応じてくれます。
今回の事例の場合,「チョンコが来るな」とか,「半島に帰れ」と言った侮辱的,差別的な内容の投稿がされていることから,X社に対して報告を行うことと裁判所に対して削除仮処分を行うことが考えられます。
今回のような事例の場合,裁判所による削除請求を行う方が適切かと思われ,その手段を使うためには弁護士に依頼する必要があります。
SNSに投稿された内容でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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