インターネット上の契約と消費者契約法
インターネット上で契約を締結する場合でも、事業者と消費者との間で契約が成立すれば、消費者契約法が適用されることがあります。
消費者契約法は、消費者と事業者との間にある情報の質・量や交渉力の格差を踏まえ、不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効などを定めることで、消費者の利益を保護することを目的としています。
そのため、インターネット上の利用規約などに消費者にとって不当に不利益な条項が定められていても、その条項が有効とは限りません。
事業者・消費者には契約内容を理解するための努力義務がある
消費者契約法3条では、事業者に対し、契約条項を定める際に、消費者の権利義務などの契約内容が明確で、かつ平易なものになるよう配慮することを求めています。
また、事業者が消費者契約の締結について勧誘する際には、消費者の年齢、心身の状態、知識、経験などを総合的に考慮し、契約内容について必要な情報を提供するよう努めることとされています。
さらに、消費者から求められた場合には、消費者契約により定められた解除権の行使に関して必要な情報を提供するよう努めなければなりません。
一方、消費者も、事業者から提供された情報を活用し、自らの権利義務などの契約内容を理解するよう努めるものとされています。これらの努力義務は、オンラインで締結される契約にも適用されます。
事業者の損害賠償責任を免除する条項は無効となる場合がある
消費者契約法8条では、事業者の損害賠償責任を不当に免除する条項などについて、無効としています。
例えば、次のような条項です。
- 事業者の債務不履行によって消費者に生じた損害について、事業者の損害賠償責任を全部免除する条項
- 事業者の故意または重大な過失による債務不履行について、損害賠償責任の一部を免除する条項
- 事業者の債務の履行に際してされた不法行為について、損害賠償責任を全部免除する条項
- 事業者の故意または重大な過失による不法行為について、損害賠償責任の一部を免除する条項
また、事業者が自ら損害賠償責任の有無や責任の限度を決定できることとする条項についても、一定の場合には無効となります。
ただし、これは「故意または重大な過失がなければ、責任を免除する条項はすべて有効」という意味ではありません。例えば、事業者の責任を一部免除する条項については、通常の過失による場合にのみ適用されることが明確になっている必要があります。また、消費者契約法10条によって無効となる可能性もあります。
契約不適合がある場合の責任免除にも注意が必要
有償の消費者契約において、引き渡された目的物が種類または品質について契約内容に適合しない場合などには、事業者の損害賠償責任を免除する条項について特別の規定があります。
一定の場合には、事業者が履行の追完や代金・報酬の減額などの責任を負うことを定めている場合や、一定の第三者が損害賠償や履行の追完を行うこととされている場合には、免責条項が無効とならないことがあります。
したがって、契約不適合が発生した場合に消費者が受けられる救済が確保されているかどうかなど、契約内容を具体的に確認する必要があります。
消費者の解除権を放棄させる条項も無効となる
消費者契約法8条の2では、事業者の債務不履行によって生じた消費者の解除権を放棄させる条項や、事業者に解除権の有無を決定する権限を与える条項を無効としています。
例えば、事業者が契約上の義務を果たさなかった場合でも、消費者が契約を解除できないとする条項などが問題となります。
消費者の利益を一方的に害する条項も無効となる
消費者契約法10条では、法令の公の秩序に関しない規定を適用した場合と比べて消費者の権利を制限したり、消費者の義務を加重したりする条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効としています。
例えば、消費者が何も意思表示をしていないにもかかわらず、新たな契約の申込みや承諾をしたものとみなす条項などが対象となり得ます。
したがって、インターネット上の利用規約についても、「消費者が同意した」と表示されていることだけで、すべての条項が有効になるわけではありません。個々の条項が消費者契約法などの法律に違反していないかを確認することが重要です。
