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国際的ネットトラブル

インターネットが発達し、世界中の様々な人たちと交流できるようになりました。一方で、対面では考えられなかったトラブルにも巻き込まれるケースが生じてきました。
ここでは、国際的なネットトラブルについて解説します。
オンラインの危険性
オンラインでは直接相手が見えませんし、声すらもないので、相手の年齢、性別、住所、国籍などが本当かもわかりません。
特に、SNSやオンラインゲームでは、親近感を抱いて、警戒が薄くなったところで、個人情報の提供を求められたり、金銭の支払いを求められたり、危険な仕事に誘われることもあります。
また、コンピューターウイルスを仕込まれてデータを破壊されたり、秘密情報を奪われることもあります。
ロマンス詐欺
年齢、性別、社会的地位や収入などを偽り、言葉巧みに相手を信頼させ好意を抱かせ、外国に行って結婚するためにお金が必要だと、どうしても困っていてお金が必要だ、などと偽って支払いをさせます。
詐欺をした者は10年以下の拘禁刑に処されます(刑法第246条第1項)。しかし、被害を受けた財産はほとんど戻ってきません。
オンラインカジノ
カジノが合法の国もありますが、日本では競馬など認可を受けた賭け事以外は、賭博罪に当たります(刑法第185条。50万円以下の罰金)。
無料版は賭博に当たらないとして、CMも出ていました。無料版から初めて、そこから有料版に手を付けると、賭博をしてしまった事になってしまいます。
トクリュウ・闇バイト
オンラインゲームなどで知り合い、儲かる話があるなどと言われて外国に行き、犯罪組織に捉われ、特殊詐欺などに加担させられてしまう事例が見られます。
前述のロマンス詐欺のほか、オレオレ詐欺などの特殊詐欺もさせられます。無理やりやらされたとしても、自分自身が犯罪者となってしまいます。詐欺のほか、窃盗(刑法第235条。10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。)や強盗(刑法第236条第1項。5年以上の有期拘禁刑)に該当する行為に加担させられることもあります。
不正アクセス
DMや他のSNSに繋がってより親密になったところで、言葉巧みにアカウント情報を出させたり、クレジットカードなどの情報を聞き出すこともあります。聞き出すだけでなく、コンピューターウイルスを仕込んだりして、勝手にパスワードなどを盗み出すこともあります。
他人のIDやパスワードを使って勝手にログインするような行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)の「不正アクセス」に当たります(同法第2条第4項)。
不正アクセス行為をすると、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます(不正アクセス禁止法第3条・第11条)。
不正アクセスをするだけでなく、そのためにパスワードなどを取得したり(同法第4条)や、他人に提供すること(同法第5条)、保管したり(同法第6条)、アクセス管理者になりすましたりアクセス管理者と誤認させてパスワードなどの入力を要求すること(同法第7条)も、禁止されています。これらの違反行為をすれば、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(同法第12条第1号乃至第4号)。
人身取引
前述の詐欺などに加担されるだけでなく、借金をさせられて、監禁され居場所を制限され、著しく低い対価で売春などをさせられることもあります。
監禁(刑法第220条。3月以上7年以下の拘禁刑)、人身売買(刑法第262条の2第1項。3月以上5年以下の拘禁刑)や被略取者等所在国外移送(刑法第262条の3。2年以上の拘禁刑)などに当たります。
まとめ
このように、オンラインでは、国をもまたいだ、様々なトラブルに遭遇する恐れがあります
国際的なネットトラブルに遭いお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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闇バイトについて解説

インターネット上で行われる犯罪
インターネット上で行われる犯罪としては、かつては不正アクセスや名誉棄損などが多く見られました。
しかし、対面でなくとも様々な人とやり取りできる環境が犯罪組織に利用され、一般の人も以前では考えられなかった形で犯罪に加担してしまうおそれも強くなりました。
ここでは、最近問題となっている闇バイトについて解説します。
闇バイト
近年インターネット上で多くの問題を起こしているのが闇バイトです。
X(旧Twitter)などで「#高額報酬」「#ホワイト案件」など安全で高額の報酬を得られるかのように謳い募集してきます。
初めに免許証のコピーを求められたり、住所や家族構成などの個人情報を求められます。逃げようとすると、家族に危害が及ぶなどと脅すためです。
また、テレグラムやシグナルなど秘匿性の高いSNSアプリをスマートフォンにインストールするよう求められます。これは後の警察の捜査が指示役に及ぶことを防ぐためです。
特殊詐欺
「仕事」の内容として、指定した家に行って荷物を受取るだけというものがあります。これは、既に「かけ子」が被害者を騙して、受取りに来た「受け子」に現金が入った封筒やキャッシュカードを渡すように仕向けています。「荷物」を受取りに行くと、この「受け子」として犯罪に加担してしまうことになります。このような場合、詐欺罪(刑法第246条第1項)の共犯(刑法第60条)となり、10年以下の懲役に処されます。
この他、銀行員や警察官などのふりをして訪れ、隙を見てキャッシュカードをすり替える手口もあります。この場合、窃盗罪(刑法第235条)が成立し、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
このように、非対面の状況で相手を騙して行う犯罪は、特殊詐欺と呼ばれています。
トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)
SNSなどで不特定の者を集め、広域で犯罪を行うグループをトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)と呼びます。
上記のような特殊詐欺も含まれますが、近年問題となっているのは、被害者を騙すことすらせず、初めて会うような人たちを現場付近に集め、個人宅に侵入して金品を奪わせる事件です。
このような犯行は住居侵入罪(刑法第130条。3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)や窃盗罪(刑法第235条)にあたります。よりおそろしいのは、指示役から家人が居たら暴行してでも金品を奪うよう指示されます。これに従ってしまえば強盗罪(刑法第236条)になり、5年以上の有期懲役に処されます。これにより人が負傷すれば強盗致傷罪が成立して無期又は6年以上の懲役に、人が亡くなってしまえば強盗致死罪が成立して死刑又は無期懲役に処されます。
強盗致死や強盗致傷罪は裁判員裁判対象事件であり(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条第1項第1号)、裁判員の参加する法廷で裁かれることになります。少年であっても家庭裁判所での少年審判ではなく、逆送されて20歳以上の人と同様の刑事裁判にかけられる可能性があります(少年法第20条第1項第2項)。18歳以上の少年は特定少年として、より逆送される可能性が高まり(少年法第62条第2項)、起訴されると実名で報道される可能性があります(少年法第68条・第61条)。
インターネット上の犯罪への対応
「#高額報酬」「#ホワイト案件」など謳うだけであったり、具体的な仕事の内容を示していなかったり、時給10万円以上など過剰に高額な条件が示されている仕事は注意が必要です。
仮に申込んでしまっても、警察に保護を求めれば必ず守ってくれます。すぐに警察に相談してください。
参考
警視庁「#BAN 闇バイト」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/drug/yami_arbeit/ban_yamiarbeit.html
本人やご家族が既に闇バイトに加担してしまった場合、警察への出頭や被害者との示談が考えられます。このような場合は、弁護士にご相談ください。
ご自身やご家族が闇バイトに関わってしまいお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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インターネットと闇バイト-闇バイトをした場合に成立する犯罪について解説
バイトテロをどうするか―SNSでの迷惑行為への対応について解説

飲食店内で容器を舐めるような迷惑行為の様子を撮影してネットに上げるといった事件が続発し、社会問題となりました。このような迷惑行為の存在自体お店のイメージを下げることになりますが、SNSで拡散されることで、お店のマイナスイメージがさらに広がり、社会的信用を失うことになりかねません。さらに、自社の従業員やアルバイトが、調理に使う具材にいたずらをするなどの迷惑行為の様子を撮影してネットに上げる、いわゆるバイトテロをされてしまえば、企業の社会的信用もさらに下がりかねません。
迷惑行為への対応
投稿者の特定、投稿の削除
まずは投稿者を特定し、問題の投稿を削除し、画像が広がるのを防ぐ必要があります。
自社の従業員やアルバイトがネットに挙げたのであれば、その者に指示をして削除させることができます。
しかし、来店客など自分のお店や会社に所属していない者が行った場合や一度ネットに挙げたものを他の者が転載してしまうと、そのようなことは困難になります。この場合、名誉毀損の投稿をされたとして、SNSの運営会社などに、発信者情報の開示を求めたり、削除を求めることが考えられます。任意で応じなかったときは、裁判手続きにより、迅速に行うことができます。
投稿者への対応
迷惑行為をSNSに挙げた者に対しては、民事責任の追及として、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます(民法第709条)。
投稿者が未成年者(18歳に満たない者。第4条)で自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった場合、監督義務者である保護者に請求することになります(民法第712条・第714条第1項)。ただし、これは12歳前後までの年齢で問題になることであり、高校生などアルバイトをするような年齢では自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとされることはまずありません。監督義務者に請求できない場合、本人に請求することになります。
損害については、不法行為と因果関係があるものについて認められます。
名誉毀損や侮辱を内容とする投稿により社会的評価が下がることが認められますが、損害賠償額は多くはありません。
容器を舐められたといった実害があるのであれば、店内のすべての容器を取り換えたり、消毒するなどの対策をする費用が生じます。このような、加害者の行為により生じた費用については損害といえ、損害賠償請求をすることが可能です。
迷惑行為を内容とする投稿では、これにより株価が下がり、企業が大きな打撃を受けたなど主張されますが、企業の株価は市場の状況など様々な要素の影響を受けます。加害者の行為が原因で株価が下がりそれによりどれだけの損害が生じたかを証明するのは難しいでしょう。
迷惑行為に対して成立する犯罪により追及する
迷惑行為が犯罪に該当する場合、これを犯罪として追及する方法があります。
名誉毀損罪、侮辱罪
公然と事実を摘示して人の名誉を棄損、すなわち人の社会的評価を低下させれば、名誉棄損罪(刑法第230条)が成立します。事実を適示しなくても、公然と人を侮辱すれば、侮辱罪(刑法第231条)が成立します。侮辱は、人の社会的評価を低下させるような内容を発することです。容器を舐める様子をSNSに挙げるようなことは、お店の衛生管理ができていない様子を社会に知らしめることになりますので、お店の社会的評価を低下させ名誉毀損となるでしょう。もっとも、自分たちで迷惑行為を行い、この様子を撮影してSNSに挙げる場合は自分達で名誉毀損行為を行っているので問題になりませんが、ネットで出回っている画像を他人が転載するような場合は、社会に警鐘を鳴らしているとみる余地もあるため、公共性や公益目的があるという可能性があり、その内容が真実であれば、犯罪とはなりません(刑法第230条の2)。
業務妨害罪
バイトテロのような迷惑行為については、偽計業務妨害罪(刑法第233条)又は威力業務妨害罪(刑法第234条)が成立する可能性があります。
威力業務妨害罪の「威力を用いて」とは、人の意思を制圧する勢力を用いることをいいます。偽計業務妨害罪の「偽計を用いて」とは、人を欺き、あるいは、人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したり、計略や策略を用いるなど、「威力」以外の不正な手段を言うとされています。「威力」と「偽計」のいずれに該当するかを判断するにあたっては、行為の態様又は結果のいずれかが目に見えるものであれば「威力」に、目に見えないものであれば「偽計」になるとするのが一般的です。迷惑行為の様子をネットに上げることで、多くの人の目にさらされ、店舗内でそのような行為が行われているとか、自分が使った容器もそのようにされているのではないかと多くの人が不安に陥り意思が制圧されるといえます。したがって、「威力を用いて」に該当すると考えられます。
そして、迷惑行為がネットに上げられると、ネットで情報がさらに拡散し、利用者が不安に思って店に来なくなる可能性があります。また、調味料の容器を舐められたのであれば店内のすべての容器を入れ替えなければならないなど、迷惑行為に関係する備品を撤去するなどの対応が必要となり、通常の業務さえもできなくなります。これは業務の円滑かつ平穏な遂行そのものを妨害する行為であり、「業務を妨害した」といえます。
器物損壊罪
迷惑行為に当たり、お店に置いてある容器に手を付けるようなことをすれば、器物損壊罪(刑法第261条)が成立する可能性があります。
「他人の物を損壊」とは、物の効用を害することとされています。飲食店の容器を舐めるなどすれば、その容器はもはや客に提供することができなくなります。これは物の効用を害するに当たるといえ、器物損壊罪に該当する可能性があります。
まとめ
このように、SNSでの迷惑行為については、個人であれ企業であれ、様々な事情を考慮して対応していく必要があります。
SNSでの迷惑行為にお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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インターネット記事の削除-掲示板のスレッドや書込みの削除について解説
インターネットと闇バイトー闇バイトをした場合に成立する犯罪について解説

闇バイトが大きな社会問題となっています。
闇バイトの多くはインターネット上での募集に応じて参加してしまうことが多いです。
ここでは、闇バイトに関わった場合の刑事責任について解説します。
【事例】
Aさんは,インターネットの求人サイトをみていたところ,「荷物を運ぶだけの簡単なお仕事,未経験者歓迎 日給2万円」と書かれた求人を発見したため,求人に応募したところ,Bという会社に履歴書と,運転免許証,預金通帳の写しを送るように言われ,これらの書類を送りました。
面接に通過し,最初の仕事の日ということで呼び出され,行ってみたところ,Cさんと,Dさんがおり,Cさんから仕事の内容の説明として,深夜に金属加工工場に侵入して,くず鉄を持ち出し,会社に運ぶよう言われ,金属加工工場に到着したところ,Dさんが金属加工工場のくず鉄を運び出しました。
そのため,Aさんも同様にくず鉄を運び出し,トラックに詰めていたところ,B社の宿直の人に見つかり,警察を呼ばれ,現行犯逮捕されてしまいました。
以上を前提として,
①どのような犯罪が成立するのか,②犯罪が成立するとして,どのくらいの刑罰が予定されているのか
について解説していきます。
成立する犯罪について
・建造物侵入罪
まず,金属加工工場に立ち入っていることから,建造物侵入罪が成立します。
人の看守する建物に立ち入ることが必要で,今回のAさんは,人が看守している金属加工工場内に侵入していることから,この犯罪が成立します。
・窃盗罪
窃盗罪の成立が考えられます。
窃盗罪が成立するためには,「他人の財物を窃取した」という事情が必要です。
今回の事例の場合,くず鉄をトラックに詰めており,いつでも運び出すことができるような状態にしているため,窃盗罪も成立します。
また,窃盗罪と,建造物侵入罪は目的と手段の関係にあるので、法律上牽連犯の関係にあり,刑事手続上,一罪として扱われ,窃盗罪の法定刑の範囲で刑罰を負います。
見込まれる刑罰
窃盗罪の法定刑は,10年以下の懲役又は,50万円以下の罰金が予定されています。そのため,今回の事例の場合についても,この範囲で刑罰を負います。
実際の量刑傾向からすると,前科前歴のない人が,建造物に侵入し,窃盗を行った場合,多くの場合,執行猶予付きの有罪判決になっています。ただし,同様の余罪があったり,被害金額が多額だったりすると,実刑になる可能性もあります。
今回の事案の場合,Aさんに余罪はありませんし,くず鉄の時価相当額は不明ですが,多額に上るとは考えられないことから,執行猶予付きの有罪判決となる可能性が高いです。
そのため,今回の事例の場合,弁護活動としては,執行猶予付きの有罪判決を目指すよう活動していく必要があります。
闇バイト事件について注意すること
このような闇バイト事件はかつては,特殊詐欺に関するものが多かったのですが,
窃盗や強盗に関する闇バイトが存在するというような報道もあります。
また,普通のバイトを装って募集されていることから,犯罪行為に加担する気が無くとも加担することがあります。
そのため,普通のアルバイトの求人であっても,応募の際に免許証などの身分証明書を要求してこないかということや,現場での説明がどうなっているかということについて注意しておく必要があります。
特に,強盗に関わるような闇バイトでは,強盗殺人を命じられるケースがあるということも聞きます。
強盗殺人の場合,無期懲役か死刑しか予定されていない関係から,強盗殺人に該当することになった場合,実刑となり,社会復帰が困難になりますので注意が必要です。
ご自身又はご家族が闇バイトに関わっていないか心配な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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詐欺の方法を記載したマニュアルを配布したら詐欺罪に問われるの?ーインターネット上での投稿において注意すること
ネットトラブル

インターネットを利用する際に生じ得るトラブル
IOT(Internet of Things インターネット・オブ・スィングス)技術の向上により、世界中の人とつながることができ、自由に自己を発信できるようになるなど、一昔前では考えもしなかったことができるようになりました。
一方で、こうした技術が悪用されたり、言動にブレーキがかからなくなって、以前では考えられなかった形で被害に遭うことも見られるようになりました。
インターネット上の被害
性被害
マッチングアプリで知り合った人から、不同意性交等や児童買春などの性被害を受けるおそれが高まっています。
また、同年代の児童や同性に成りすまして裸などの性的画像を送るように要求することが見られます。、これにより入手した性的な画像を拡散したり、脅迫して性的関係を強要するなどの、更なる被害に繋がるおそれがあります。
また、近年では顔写真などの公開されている画像を使って顔が同じ人のわいせつな格好の画像を作成するといった、ディープフェイク・ポルノの被害も生じています。
情報漏洩
コンピューターウイルスに感染させたり、退職者が情報を持ち出すなど様々な方法で、国・公共団体や企業の保有する個人情報の流出がしばしば生じています。このような情報を使われて詐欺が行われる等の被害が生じています。また、自宅や家族構成などが公開され、住居侵入、窃盗・強盗、性犯罪などの被害に繋がるおそれもあります。
名誉毀損・侮辱
インターネットの発達により、投稿サイトやSNSで、匿名で自由に発言できるようになりました。このため発言のハードルが下がり、真偽を問わず個人の情報が勝手に拡散されたり、人格攻撃などが頻繁に起こることが見受けられます。
インターネット上の犯罪への対応
犯罪に該当するようなトラブルは、警察へ被害届を出して捜査してもらうことが重要です。
公然とわいせつな画像などをさらせば公然わいせつ罪となります(刑法第174条)。
わいせつ行為や性交等をすれば、不同意わいせつ(刑法第176条)や不同意性交等(刑法第177条)の罪に問うことができます。
児童買春、児童ポルノの所持・製造は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」により処罰されます(児童買春:同法第4条、児童ポルノ所持等:同法第7条)。
ネット上で投稿等により名誉毀損や侮辱をした場合、ネット上であっても名誉棄損罪(刑法第230条)や侮辱罪(刑法第231条)に問うことができます。
権限がないのに勝手にパスワードを使ってアクセスするような行為は不正アクセスとして処罰されます(不正アクセス行為の禁止等に関する法律第3条・第11条)。
不正アクセスや退職者が情報を持ち出すこと等により営業秘密を取得して使用するような行為は、不正競争に当たり、不正競争防止法により処罰されます。
発信者情報の開示
インターネット上で名誉毀損や侮辱に当たる投稿をされた場合、その投稿をした者(発信者)を突き止めることができます。「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)では、発信者情報開示の手続きが定められています。発信者情報を開示させることで発信者を特定し、刑事責任や民事責任の追及につなげることができます。
損害賠償請求などの民事責任
以上のようなネットトラブルで被害を被った場合、刑事処罰だけでなく加害者に損害賠償を求めることが重要です(民法第709条)。他にも、違法行為などをされるおそれがあれば差し止め請求をすることが考えられます。
まとめ
このようにネットトラブルは様々なものがありますが、それに対する対抗手段もあります。
ネットトラブルでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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ネットトラブルと裁判の証拠ーネットトラブルが起こった場合の証拠の取り方について解説
チート行為をしたら,刑事処分を受けるのか―チート行為で問題となる犯罪について解説

オンラインゲームでのいわゆるチート行為は、他のプレイヤーや監理者にも悪影響を及ぼしかねません。このような行為は犯罪となるのでしょうか。
【事例】
Aさんは,甲という多人数参加型のシューティングゲームを遊ぶ際に,相手プレイヤーのキャラクターの頭に自動で照準が合うチートツールを利用して,遊んでいました。
自動で頭に照準が合うことによって,他のプレイヤーのように自力で合わせること無く,ゲームの通常動作する動きと異なって相手プレイヤーを倒しやすくするため,ゲームを面白くなくするとして甲の運営会社は問題視していました。ゲーム会社は,Aさんを警察に通報しました。
そのため,Aさんは警察に呼ばれることになりました。
どのような犯罪が成立するのか
このような,ゲームでのチートツールの利用については,複数の犯罪を根拠として,捜査が行われます。
電子計算機使用詐欺罪:不正なデータを与えて,有料のコインを取得したり,有料のアイテムを取得したりすると成立する犯罪です。10年以下の懲役が予定されています(刑法第246条の2)。
電子計算機損壊等業務妨害罪:不正なデータを与えて,ゲームの運営会社などの業務を妨害したり,ゲーム会社のサーバーを使用不可能にした場合に,成立する犯罪です。5年以下の懲役又は,100万円以下の罰金が予定されています(刑法第234条の2)。
不正指令電磁的記録作成等罪:不正なデータを与えて,コンピュータに意図に反する動作をさせた場合に成立する犯罪です。3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が予定されています(刑法第168条の2)。
著作権法違反(翻案権侵害,同一性保持権侵害):著作物を変更するデータを与えることによって,著作物を改変したことを理由として成立する犯罪です。5年以下の懲役,若しくは500万円以下の罰金,又は,その併科が予定されています(著作権法第119条第2項第1号)。
今回のAさんのケースの場合どのような犯罪が成立するのか
今回のAさんのケースですと,有料コインを取得したりするものではないため,電子計算機使用詐欺罪は成立しません。
甲のサービスを止めるようなツールは使われておらず,甲を提供するゲーム会社の業務を妨害することはしていないため,電子計算機損壊等業務妨害罪は成立しません。
甲のキャラクターの見た目等の著作物と認められるものではなく,ゲーム内の照準の動きに対する改変しか加えられていないため,著作権法違反は認められません。
甲の運営会社のコンピュータやサービス提供に関して,意図に反する動作を与えていないため,不正指令電磁的記録作成等罪も成立しないと考えられます。
そのため,今回のAさんのケースですと,犯罪までは成立せず,刑事処分までは受けないと考えられます。
しかし,例えば,ゲーム内の有料アイテムを無料で取得するようなツールを作成したり,そのツールを利用して有料アイテムを無料で取得したりすると,電子計算機使用詐欺罪や,不正指令電磁的記録作成等罪が成立し,チート行為をしたことを理由として,処罰されることはあります。
また,このようなチート行為をした者が20歳未満だった場合,少年事件として,家庭裁判所の審判を経て保護観察処分を受けたり,厳重注意処分となることがあるようです。
そのため,どんなチートツールを作成したのか,利用したのかということが刑事処分を左右することになります。
刑事処分以外の処分はあるのか
Aさんのケースのようなチート行為をした場合には刑事処分にならない可能性が高いです。
しかし,刑事処分以外の処分を受けることは考えられます。
例えば,甲の運営会社によって,多人数型のシューティングゲームに参加できなくさせられる処分を受ける可能性が考えられます(アカウント凍結など)。
また,ゲームのプレイ人口を減らし,ゲームの運営に支障を与えたことを理由として,損害賠償請求を受けることが考えられます。
そのため,刑事処分を受けない可能性があるとしても,ゲーム運営会社による処分や,民事的な責任追及は行われます。
このような責任追及を受ける可能性があるため,チートツールの利用はやめた方が良いと言えるでしょう。
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チケットの不正転売ーチケットの不正転売に関わった場合にどのような刑事罰を受けるかについて解説
詐欺の方法を記載したマニュアルを配布したら詐欺罪に問われるの?ーインターネット上での投稿において注意すること

「いただき女子」と称する女性が詐欺を実行する際のマニュアルを販売しており,その販売行為が問題となった事件がメディアで取り上げられました。
このような詐欺を実行する際のマニュアルの販売行為については,詐欺幇助として刑事責任を負うことになります。
ここでは,このような詐欺を実行する際のマニュアルの販売行為が詐欺になるのか解説します。
・詐欺罪について
刑法246条1項の詐欺罪が成立するためには,「人を欺いて財物を交付させた」と言えなければならないとされています。
まず,財物交付の基礎となる重要な事実についてうそを言ったということが言えなければなりません。
財物交付の基礎となる重要な事実というのは,例えば,会社を設立するつもりが無いのに,「会社を作るから,株主になってほしい」などの事実を言うことを指します。会社を作るか作らないかということは,株を購入する株主にとって株式の価値を増加させることができるかどうかという関心ごとに関わることですので,財物交付の基礎となる重要な事実ということができます。
また,同様に,結婚するつもりがないにもかかわらず,「結婚するから,日々のアパートの家賃を払ってほしい」というのも,相手の歓心を買い相手と結婚するかどうかが重要な事実となっていることから,この事実を偽っている場合は,欺いたということに該当することになります。
・詐欺幇助について
そのため,詐欺幇助となる場合というのは,こういった欺罔行為を助けた場合です。
このように助けたということが言えるためには,他人の犯罪を容易ならしめる行為を,それと認識,認容しつつ行い,実際に正犯行為が行われたということが言えなければなりません。
例えば,名古屋地方裁判所令和6年4月22日判決によりますと,「いただき女子」のマニュアルに記載されていた内容について,「男性を篭絡して自己に好意を抱かせた後に同男性に対して家賃の支払いを滞納しているなど自分が経済的苦境に陥っている旨の種々のうそを告げて同男性から現金をだまし取る方法などを記載した」と認定されており,このマニュアルを使って男の篭絡方法について助言をし,実際に詐欺を行った人の犯行を容易にしたため詐欺幇助を行ったということが認定されています。
そのため,このようにマニュアルを販売し,助言をすることについては少なくとも,詐欺罪の幇助犯になるようです。
一方,ただマニュアルを販売した点について詐欺罪に問えるかということが問題になりますが,これについては,マニュアルというものは,詐欺にしか利用できないものではないので,具体的にある人物が詐欺に利用するという認識がありつつ,このようなマニュアルを提供したということが言える事情がなければ詐欺罪の幇助として刑事責任を問うことは困難であると考えられます。
・このような事件の弁護活動
近年,「いただき女子りりちゃん」のマニュアルを真似てインターネットで販売する例があるということをニュース等で耳にします。
「いただき女子」に限らず,詐欺の事件というものは,金額が100万円を超えたら,実刑になることが考えられる類型の犯罪です。
そのため,数百万円の示談を行い不起訴や執行猶予をねらうか,実刑の中でも軽い刑罰を目指すかということが重要な関心ごとになります。
このようなマニュアルの販売行為というものについて,マニュアルを販売しただけではなく,助言までしていたということであれば詐欺の幇助として,罪責を負うことは間違いないのですが,単なる販売のみをとらえて詐欺罪の幇助に問うことは難しいです。
この場合の弁護士の弁護活動としては,助言を行っていないということ,具体的に詐欺行為が行われることを認識した上でマニュアルを提供したわけではないということ,示談を行い被害回復を行ったことを主張することになると考えられます。
他にも,マニュアルを販売し,だまし取った犯人に代わって示談を行い,被害回復に努めることが考えられます。詐欺罪というのは,財産犯ですので,財産的被害の回復が行われた場合,被害回復が済んでいるということになり不起訴であったり,有利な事情として考慮されることになります。
このように、インターネット上で犯罪の方法を公開するようなことをした場合、罪に問われる可能性があります。
インターネットでの情報の公開について不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
