闇バイト・特殊詐欺について

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

特殊詐欺とは何か

特殊詐欺とは、犯人が電話やSNSなどを通じて、被害者と直接対面することなく信頼させ、犯人が指定する預貯金口座への振込みなどによって、現金等をだまし取る犯罪をいいます。警視庁では、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺、ニセ警察詐欺、キャッシュカード詐欺盗などに分類しています。

特殊詐欺は、複数の人物が役割を分担して行われることが多い点に特徴があります。例えば、被害者を電話でだます者、被害金を受け取る者、被害金を運搬する者などに分かれていることがあります。

そのため、実行行為の一部しか担当していない場合でも、他の者との共謀が認められれば、詐欺罪の共同正犯として刑事責任を問われる可能性があります。

詐欺罪

刑法246条1項は、人を欺いて財物を交付させた者を詐欺罪として処罰しています。また、同条2項は、人を欺いて財産上不法の利益を得たり、他人にこれを得させたりした場合を処罰しています。

詐欺罪が成立するためには、基本的に、人を欺く行為、相手方の錯誤、錯誤に基づく財産的処分行為、財物または財産上の利益の移転、故意などが問題となります。

「人を欺く」とは、財産的処分行為の判断の基礎となる重要な事項について相手方を錯誤に陥らせる行為をいいます。

例えば、被害者の息子が実際には不祥事を起こしていないにもかかわらず、犯人が息子になりすまして「会社の金を使い込んでしまい、補填するためにお金が必要になった」などとうそを言い、被害者がその話を信じて現金を交付した場合には、詐欺罪が成立する可能性があります。

特殊詐欺についての共犯関係で注意すること

特殊詐欺では、被害者をだます役割を担当していなくても、詐欺罪の共同正犯として責任を問われることがあります。

最高裁平成29年12月11日決定は、共犯者が被害者をだました後、その被告人が現金の受領役として加わった事案について、詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた受領行為に関与したことなどから、詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を認めました。

このように、いわゆる「受け子」であっても、単に現金を受け取ったというだけで直ちに共同正犯となるわけではありませんが、詐欺の実行について他の共犯者と意思を通じて役割を分担していた場合には、詐欺罪の共同正犯として処罰される可能性があります。

また、特殊詐欺では、本人が「詐欺とは知らなかった」と主張するケースもあります。

しかし、犯罪の故意は、本人が「詐欺だと確信していたか」だけで判断されるものではありません。具体的な仕事内容、報酬額、指示の内容、現金の受け取り方、身元を隠すよう指示されたかどうかなど、客観的な事情から、詐欺である可能性を認識していたかなどが判断されます。

したがって、「荷物を受け取るだけと言われた」「現金を運ぶだけと言われた」という事情だけで、当然に刑事責任を免れることができるわけではありません。

一方で、実際に詐欺であることを認識していなかったのであれば、故意の有無は重要な争点となります。具体的な事情を踏まえて、どのような認識で行為に及んだのかを検討する必要があります。

特殊詐欺に関わってしまったら見込まれる処分

詐欺罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑であり、罰金刑は規定されていません。

もっとも、特殊詐欺に関与したからといって、必ず逮捕されるわけではありません。逮捕するかどうかは、犯罪の嫌疑に加えて、逃亡や罪証隠滅のおそれなど、刑事訴訟法上の要件を踏まえて判断されます。

また、特殊詐欺事件では、複数の関係者や被害者について捜査が行われることがあり、関与した事件が複数の地域にまたがる場合もあります。ただし、逮捕の回数や捜査の進み方は個々の事件によって異なります。

不起訴になる可能性も否定できません。例えば、詐欺についての故意や共謀が認められない場合、証拠が十分でない場合などには、不起訴となる可能性があります。

また、犯罪が成立するとしても、犯行への関与の程度、被害額、被害弁償や示談の有無、犯行後の対応、前科・前歴などによって、処分や量刑は異なります。

特殊詐欺は被害額が大きくなりやすく、複数の被害者が存在することもあるため、重大な犯罪として評価される傾向があります。そのため、関与した役割が小さい場合でも、具体的な関与の内容を踏まえた慎重な対応が必要です。

被害弁償や示談が成立した場合には、量刑判断などにおいて考慮される可能性がありますが、被害弁償をすれば必ず執行猶予になるわけではありません。

特殊詐欺の加害者とならないために

特殊詐欺では、SNSなどを通じて「簡単な仕事」「荷物を受け取るだけ」「現金を運ぶだけ」などと勧誘され、犯罪に関与してしまうケースがあります。

仕事内容や依頼者が不明確であるにもかかわらず、高額な報酬が提示されていたり、匿名性の高い通信手段を使用するよう求められたりする場合には注意が必要です。

特に、他人から現金やキャッシュカードを受け取ることや、指定された場所へ現金を運ぶことを仕事内容とする場合には、特殊詐欺などの犯罪に利用される可能性があります。

少しでも不審に感じた場合には、仕事を断り、警察などに相談することが重要です。

特殊詐欺に関与した場合に考えるべきこと

特殊詐欺は、高齢者などから多額の財産を奪い、被害者に大きな経済的・精神的負担を与えることがあります。そのため、刑事責任を判断する際にも、被害の重大性は重要な事情となります。

一方で、特殊詐欺に関与したすべての人が同じ立場にあるわけではありません。主犯として計画を立てた者、被害者を直接だました者、指示を受けて現金を受け取った者など、関与の態様には大きな違いがあります。

また、犯罪への関与に至った経緯や本人の認識、報酬の内容、犯行後の対応なども、それぞれの事件で異なります。

そのため、特殊詐欺に関与してしまった場合には、「自分は一部しか関与していない」「詐欺だとは知らなかった」といった事情だけで判断するのではなく、具体的な事実関係を整理し、自分にどのような刑事責任が成立する可能性があるのかを検討することが重要です。

keyboard_arrow_up

0359890996 問い合わせバナー LINE予約はこちら