
現代の中高生にとってSNSで面白い動画を共有したり、友達の投稿にリアクションしたりするのは日常の光景です。しかし、その「指先一つの操作」が、取り返しのつかない事態を招いてしまうことがあります。
特に自分が撮影したものではない場合、「流れてきた動画をリポスト(シェア)しただけ」「悪いことをしている奴を晒しただけ」「だから、自分は関係ない」と安易に考えてしまいがちです。しかし、これは法的な責任を免れる理由にはなりません。
今回は、SNSでの動画の拡散、特にいじめ等の動画の場合に伴う法的リスクと、保護者の方が知っておくべき対応策について解説します。
1. 「拡散」だけで罪に問われる? 3つの主要な法的リスク
「自分は暴行などには加わっていないから」、「自分が撮影したわけではないから」というだけで、責任を負わなくて済むとは限りません。動画を拡散する行為は、主に以下の3つの責任を問われる可能性があります。
① 刑法上の責任(名誉毀損罪・侮辱罪)
動画をSNSに投稿・拡散する行為は、被害者の社会的評価を低下させるものとして、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当する可能性があります。
・名誉毀損罪: 具体的な事実を挙げて、他人の名誉を傷つけた場合に成立します。「〇〇さんがいじめられている」という内容の動画を広めることは、その事実の真偽に関わらず(事実であっても、逆に冗談であっても)処罰の対象となり得ます。
・侮辱罪: 事実を摘示しなくても、公然と他人を侮辱した場合に成立します。2022年の法改正により厳罰化され、「1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」などが科されるようになりました。
② 民法上の責任(損害賠償責任)
刑事罰とは別に、被害者側から慰謝料請求を受ける可能性があります。被害者が精神的苦痛を受けた場合、その損害を金銭で補償しなければなりません。拡散に加担した人数が多い場合でも、一人ひとりが全額の責任を負わされる可能性(共同不法行為)があります。
③ プライバシー権・肖像権の侵害
許可なく他人を撮影した動画をネット上に晒す行為は、プライバシー権や肖像権の侵害にあたります。一度ネットに流出した動画は完全に削除することは難しい場合があります。この場合も、金銭での賠償を求められる場合があります。
2. 子どもが「加害者」になったとき、親はどうなる?
お子さんが未成年の場合、親の法律上の責任はどうなるのでしょうか。
①少年法による手続
中高生であっても、犯罪行為を行えば、警察の捜査対象となり、家庭裁判所で少年審判が行われます。その結果、保護観察や少年院送致といった処分を受ける可能性があります。これは厳密には親の責任が問われる訳ではありませんが、手続の対応等が必要になります。
②親の監督者責任
被害者側は親に対して「監督義務者としての責任」を追及してくるのが一般的です。この場合、親が多額の慰謝料を支払う義務を負うケースもあります。
もし、お子さんのSNS利用に関して具体的なトラブルに巻き込まれてしまった場合は、ご遠慮なく当事務所にご相談ください。私たちは法的な側面から全力でサポートいたします。
